完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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体育大会が終了して、テントの片づけをしている最中に桐野は神崎に話しかけてきた。
「彼女には何か言わなくてもよかったのかしら」
「誰のことだ」
「貴方に心酔しきってる女の子のことよ」
「あいつは相手にするだけ、あいつを喜ばすだけだから、何もしないのが一番だ、それよりも何で桐野がそなことを知っておるのか、教えてもらおうか」
「あまり乙女に質問するもんじゃないわ」
「なぁ、それずるくないか」
「ずるくないわ」
「それはいいとして副会長はどうするんだ?」
「別に何もしないわ、彼有能だし」
「そうか」
「それとも彼の代わりに貴方が生徒会に入ってくれたりするのかしら?」
「それは勘弁だな」
「別に遅かれ早かれ、同じような事態になったのは間違いないわ、ある意味早めに次回の対策を練れるから、彼がしたことはあまりマイナスにならないのよ、文化祭も、もうすぐだし」
「桐野がそう思うなら俺からは何も言うことはないな、まぁ、今回は琴吹が普通に体育大会を楽しめたのっぽいし、それで良しとするか」
「それが今回の一番の実りあることかしらね」
結局、そう落ち着いて、なんだか、神崎は笑いが込み上げてきた、それに釣られて桐野にも笑いが起こる。


「おーい、神崎く―ん、桐野さ―ん」
話題の本人が来て、さらに2人の笑いが止まらない。
「え、どうして笑ってるの、2人とも」
「なんでもないwww」
「ちょっとねwww」
「ねぇ、ほんとにどうしたの、私にも教えてよ」
わけがわからない琴吹は困惑するばかりだったが、2人の笑い声は止まらない。


「ともかく、今回はありがとう、神崎君、桐野さん、人生で一番楽しい運動会だったわ」
琴吹はこの言葉を言いに来たのか、頭を下げてお礼を言った。
「それは良かった、でも訂正が一つ、この学校では運動会じゃなくて体育大会だぞ」
「そこはいいの~」
真面目な雰囲気を出したのに神崎に一言によってぶち壊しにされた琴吹は顔を真っ赤にしながら、可愛く声を出した。


「ほら、遊んでないで早くやらないと、日が暮れるわよ」
さっきまで一緒に笑っていたくせにそんな台詞を桐野は言ってきた。
「はいはい、ほら、琴吹も」
「はーい」


最後は仲良く3人でテントの片づけは終了した。

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