完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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午後が始まり、全体のそれぞれ団の応援合戦が始まった。もちろん生徒は全員、応援席にいて、今現在学校関係者には、すべての範囲を警戒できる人はいなかった。しかし、何故か、琴吹のファンたちは、応援席に入れないでいた。生徒側と一般人側の敷居には黒ずくめのガタイのいい人たちが並んでいたからだ。
突然のことで困惑している生徒もいたが、一人事情の知っている生徒がいた。
「全く、神崎君はいろんなところと知り合いがいるのね」


それはさっきの昼食が終わるときのことである。神崎から伝えられたことである。
「桐野、さっき連絡して、もうすぐ、黒ずくめのボディーガードの人たちがくる、出来れば配置を考えてくれるとありがたいんだが」
「え、それって、どうゆう――」
「体育大会を成功させるんだろう、そのための必要なものだ、ありがたく使っとけ」


その後、すぐに先生から連絡が来て、今の運びとなった。
(急すぎてお礼を言うのも忘れちゃったじゃない)


ボディーガードの人たちのおかげで、午後からは安心して体育大会を行えるだろう。琴吹のファンたちからは。


ここに学校中の男子から恨みを買っている生徒がいた。


学年で騎馬戦があり、神崎は待機列に並んでいたが、周りの目はずっと神崎を睨みつけていた。
(まぁ予想はしていたが、しょうがないな)
それもそうだろう、神崎は桐野と二人三脚をしたこともさることながら、今日ずっと琴吹と行動していたのだから。おそらく、団対抗のはずだが、神崎VS全員になることだろう。


「さぁ、やってきました、学年ごとの騎馬戦、体育大会と言ったらこれがないと始まりません。果たして今年はどんな勝負を見せてくれるのでしょうか」
今、思うと琴吹のファンたちに集中しすぎて、ちゃんとして聞いてなかったんだが、実況していたんだなと神崎は思ったが、今は神崎はそんな場合ではない。


「櫻井、頼むぞ」
「去年もそうだけど、今年は特に大変そうだね」
神崎の所の騎馬は櫻井が前、そして後ろにあまり知らない男子が騎馬を組んでくれていた。


「さて、騎馬戦、相手チームからより多くのハチマキをとれるかと言う勝負なのですが、上のハチマキを巻いている人が地面に落ちても失格になるので気を付けてくださいね」


始まろうとしているが、周りの男子生徒は待ったく話を聞かずに神崎の方を見ている。
「それでは、よーい、スタートです」


スタートの号令と共に神崎の後ろの支えていた2人が手を離した。
「それは予想済みだ」
神崎はそれと同時に櫻井の背中にしがみついた。
「やっぱりこうなったね」
「まぁ、あいつらの目もおかしかったからな」
それと同時に櫻井は全速力で中心に走った。周りも同調するように櫻井、神崎の所に集まってきた。


「さて、やるか、下は頼んだぞ」
「負かしといて」


そこから壮絶な戦争が始まった。


10分後、そこには神崎がすべてのハチマキを取って佇んでいた。


四方八方からくる生徒を力で引きずり降りしたり、殴ってきた者に対してそのまま同じ方向に力を加えてやり遠くへ飛ばした。櫻井も必死に妨害を受けたが流石のガタイの良さか、ぶつかれてもびくともしなった。


何回も同じようなことをやらているのにも関わらず、相変わらずの所業である。これにより、女子からは神崎と櫻井の株が上がり、逆に男子生徒の株はダダ下がりである。


「これは、なんということでしょう、神崎選手と櫻井選手、学年全員を相手にしたも関わらず、全員を慈悲もなく叩き潰すという所業、あっぱれというしかありません。正に1人勝ち、いや2人勝ちといっても過言ではないでしょう。私としては残念ですが、これでこの競技は終わりです。皆さん、撤収まででひとくくりですからね。そこで倒れている人たち早く起き上がってください」


他の学年の男子生徒が倒れいる生徒を回収し始めたがその眼にはがんったなと慈愛の目で背中を叩きあっていた。


「さて、俺たちもいくか、櫻井、流石に疲れた」
「そうだね」
「後は最終競技だけか、無事に終わるといいが」
「うーん、無理じゃないかな」
「・・・考えたくない」


とりあえず、疲弊した2人は自分の応援席に帰るのだった。

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