完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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結局、帰りの車で琴吹から弾丸の様に質問を浴びたが神崎ははぐらかすことなく、全部の質問に答えた。と言っても、内容的には姉の手伝いをいることと、面倒事が嫌なので顔を隠していることを話しただけだ。そして、しっかりと夏休みのどこかで遊ぶ約束までさせられた。連絡先も握られたのでその内、連絡があるだろう。


以外にも琴吹が神崎に質問してるときに、桐野は何も言わずに神崎の横に座っていた。というか、車に乗ってから喋っていない。そのまま桐野は喋らず、学校近くまで送ってもらった。


「また、連絡するから、じゃあね、神崎君、桐野さん」
「ああ、またな」
「それじゃね、琴吹さん」
明日、仕事でもあるのか、琴吹は短く別れの挨拶をすると車に乗り込んで帰って行った。


「さて、優、行くわよ」
「え、どこに?こんな時間だぞ」
いきなり桐野は神崎を名前で呼び捨てで呼ぶと腕を引っ張った。心なしか、神崎には桐野が笑っているように見えた。


「貴方の家によ」
「今からか?」
「今からよ」
「親御さんは大丈夫なのかよ」
「今日は友達の家に予め泊まるって言ってあるわ」
「友達って、流石に男子の家は問題だろう」
神崎は桐野の発言に頭を抱えたがそれを構わず、桐野は神崎の腕を引っ張って歩き出した。


「ほら、行くわよ」
「待て、何で家の方向を知ってる?」
「私は貴方の学校の生徒会長なのよ、知ってて当然じゃない」
「うちの学校の個人情報の取り扱いはどうなってんだ」
家を知られている以上、無理だと判断した神崎は桐野に引っ張られながら、空を仰いだ。


そして、学校から歩いて20分、2人は神崎の家に到着した。



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