完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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上でシャープペンを投げた神崎はアイドルを助けたなどという余韻には浸らず、すぐに櫻井を引っ張って、デパートの出口に向かった。
「痛い、痛い、そんなに引っ張るなよ。服が伸びちゃうだろ」
「うるさい、言いたいことは分かるだろ」
「目立つから、早くここを出るぞ、だろ。分かってるから、手を放してくれよ。自分で歩くよ」
「1つ違うな。走れだ」
「えー、逆に目立たない」
「大丈夫だ。事件の方に皆、目がいってるから、気にされないさ。それよりも早く、この場を離れたい」
「へいへい、了解です」


手を離した神崎は事件の所為で集まって来る人だかりに向かって走って行った。人が向かって来る状況で全力ダッシュでその合間を縫って、誰にもぶつかることもなくデパートの出口についてしまった。それについて来た櫻井の運動神経も流石である。


「さて、帰るか」
「あ」
「なんだ」
「俺のシャープぺン」
「お前が助けたいって言ったんだろ」
「そうでした」
ガックリと櫻井は肩を落としたが、それよりもアイドルを救えた方が嬉しかったらしく、すぐにいつもの調子に戻った。


「さてと、帰るか」
神崎はこれで自分の事はばれないと思ったが思わぬところから、噂が広がっていた。

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