完璧会長と無関心な毒舌読書家
39
家を出た2人は、ゆっくりと歩きながら話していた。
「どうせ、お前の知りたい事は俺の過去の事だろう」
「そうね。じゃなかったら、ここまで来ないわよ」
「お前にならいいか」
「俺には幼馴染がいた。それは幼稚園からの付き合いで俺のこの顔を見ても他の女みたいな反応はしない、珍し奴だった」
「それなら、私もそうね」
「そうだな。だからなのかもしれない。こんなことを話すのは・・・」
「・・」
「その幼馴染は俺にとって別に好きって訳じゃなかった。でも他の俺の顔だけ見て近寄ってくる女よりかは良かった。恋仲になることもなく、過ごしていたが周りの連中はそれが憎かったらしい。まだ、小学生なのにな」
2人が辿り着いた場所は、墓地だった。
「アイツらは、まだ、小学生で物事の尺度が分からなかったんだ」
辿り着いた墓地には満11歳と書かれた墓誌があった。
「階段からアイツらは桜を落としたんだ。その後、よく確認もせずに立ち去った。落ちた当たり所が悪かったらく、先生たちが気付いた時には桜は息を引き取ってた」
神崎は線香を焚いて墓地の前で手を合わせた。桐野も神崎に習い手を合わせた。
泣くわけでもなく、悲しい顔をするわけでもなく、神崎は静かに祈っていた。
神崎は立ち会がると急に桐野を引っ張った。
「え」
「隠れるぞ、会長」
「急に何」
神崎に引っ張られて、桐野は10メートルほど離れた墓地の陰に隠れた。
少しすると神崎たちがいた墓地に一人の少女が現れた。
「あれは誰なの」
神崎が桐野から顔をそらす。
「誰なの」
「・・・妹」
「誰の?」
「・・・・桜の」
「なんで隠れたの」
「・・・・・合わせる顔が思いつかなくて」
「あの娘、完全に貴方を探してるわよね」
神崎が焚いた線香がまだついて、いることから、さっきまで誰かいたことに気付いたんだろう。
少女はキョロキョロと周りを見回している。
「ね―貴方――探して男はここにいるわよ――」
「馬鹿―」
桐野の行動によって、少女は2人の方へ近づいて来た。
「貴方が神崎さんですね」
「そうだよ。大きくなったね、向日葵ちゃん」
「やっとあなたにお姉ちゃんの最後を言うことが出来ます」
向日葵から、出てきた言葉は以外にも糾弾の言葉ではなく、遺言だった。
学校の放課後、桜は忘れ物をして教室に戻ろうとしていた。
教室に戻り、下駄箱に戻ろうとした所、階段上から声が聞こえてきた。
思わず、桜はその話が聞こえる方へ向かってしまった。
向かった先では、同じクラスの女子が話をしているようだった。聞こえてくる内容は神崎君に近寄ってくる女子は排除しようという話だった。
その話の内容を聞いてしまった、桜は思わず、その女子たちに向かって行った。そこから先は神崎が知っている通りである。
「お姉ちゃんはアイツらに貴方たちの所為で女子の友達ができないって言ってしまったんです」
「そんなこと、言わなきゃ、いいのに・・」
「これがお姉ちゃんの最後の言葉です」
「そう、こんな奴の為にわざわざ辛い思いをさせてごめんなさいね」
なぜ、死に際の言葉を向日葵が知っているか、その答えは決まっている。当事者に聞いたのだ。
「でも、私はお姉ちゃんの最後の言葉を伝えられてよかったと思います。今、貴方の様な人が神崎さんの隣にいることはお姉ちゃんの願いでもありましたから」
「ありがとう」
神崎は、向日葵から聞いた言葉を噛み締めるように静かにお礼の言葉を絞り出した。その頬には静かに涙が流れていた。
(その友達にはお前もいて欲しかったよ、桜)
心の中でそっと呟いた言葉には、まだ、悲しみがあったがそこで神崎の止まっていた時間は確かに静かに動き始めたのだった。
「どうせ、お前の知りたい事は俺の過去の事だろう」
「そうね。じゃなかったら、ここまで来ないわよ」
「お前にならいいか」
「俺には幼馴染がいた。それは幼稚園からの付き合いで俺のこの顔を見ても他の女みたいな反応はしない、珍し奴だった」
「それなら、私もそうね」
「そうだな。だからなのかもしれない。こんなことを話すのは・・・」
「・・」
「その幼馴染は俺にとって別に好きって訳じゃなかった。でも他の俺の顔だけ見て近寄ってくる女よりかは良かった。恋仲になることもなく、過ごしていたが周りの連中はそれが憎かったらしい。まだ、小学生なのにな」
2人が辿り着いた場所は、墓地だった。
「アイツらは、まだ、小学生で物事の尺度が分からなかったんだ」
辿り着いた墓地には満11歳と書かれた墓誌があった。
「階段からアイツらは桜を落としたんだ。その後、よく確認もせずに立ち去った。落ちた当たり所が悪かったらく、先生たちが気付いた時には桜は息を引き取ってた」
神崎は線香を焚いて墓地の前で手を合わせた。桐野も神崎に習い手を合わせた。
泣くわけでもなく、悲しい顔をするわけでもなく、神崎は静かに祈っていた。
神崎は立ち会がると急に桐野を引っ張った。
「え」
「隠れるぞ、会長」
「急に何」
神崎に引っ張られて、桐野は10メートルほど離れた墓地の陰に隠れた。
少しすると神崎たちがいた墓地に一人の少女が現れた。
「あれは誰なの」
神崎が桐野から顔をそらす。
「誰なの」
「・・・妹」
「誰の?」
「・・・・桜の」
「なんで隠れたの」
「・・・・・合わせる顔が思いつかなくて」
「あの娘、完全に貴方を探してるわよね」
神崎が焚いた線香がまだついて、いることから、さっきまで誰かいたことに気付いたんだろう。
少女はキョロキョロと周りを見回している。
「ね―貴方――探して男はここにいるわよ――」
「馬鹿―」
桐野の行動によって、少女は2人の方へ近づいて来た。
「貴方が神崎さんですね」
「そうだよ。大きくなったね、向日葵ちゃん」
「やっとあなたにお姉ちゃんの最後を言うことが出来ます」
向日葵から、出てきた言葉は以外にも糾弾の言葉ではなく、遺言だった。
学校の放課後、桜は忘れ物をして教室に戻ろうとしていた。
教室に戻り、下駄箱に戻ろうとした所、階段上から声が聞こえてきた。
思わず、桜はその話が聞こえる方へ向かってしまった。
向かった先では、同じクラスの女子が話をしているようだった。聞こえてくる内容は神崎君に近寄ってくる女子は排除しようという話だった。
その話の内容を聞いてしまった、桜は思わず、その女子たちに向かって行った。そこから先は神崎が知っている通りである。
「お姉ちゃんはアイツらに貴方たちの所為で女子の友達ができないって言ってしまったんです」
「そんなこと、言わなきゃ、いいのに・・」
「これがお姉ちゃんの最後の言葉です」
「そう、こんな奴の為にわざわざ辛い思いをさせてごめんなさいね」
なぜ、死に際の言葉を向日葵が知っているか、その答えは決まっている。当事者に聞いたのだ。
「でも、私はお姉ちゃんの最後の言葉を伝えられてよかったと思います。今、貴方の様な人が神崎さんの隣にいることはお姉ちゃんの願いでもありましたから」
「ありがとう」
神崎は、向日葵から聞いた言葉を噛み締めるように静かにお礼の言葉を絞り出した。その頬には静かに涙が流れていた。
(その友達にはお前もいて欲しかったよ、桜)
心の中でそっと呟いた言葉には、まだ、悲しみがあったがそこで神崎の止まっていた時間は確かに静かに動き始めたのだった。
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