完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

35

いつも神崎がバイトしてる喫茶店に桐野は来ていた。


「へい、いらっしゃい」
読んでいた新聞をたたみ、顔を上げると大輔は入って来た方を向いた。いつも通り、店には誰一人も客は座っていなかった。


「こんにちは、マスタ―」
「ちょっと今日は聞きたいことがあってきました」
桐野の真剣な雰囲気から、ただ事ではないと思ったのか、大輔は適当に椅子を座ってたのを座り直した。


「なんだい、いつもに増して真剣な顔して」
「神崎君の昔のことを聞きに来ました」
「普通なら、昔のことを詮索するなんて野暮な真似はするなと言いたい所だけど、桐野ちゃんのことだ。アイツを思ってのことだろう」
桐野は神崎がいない時にも何度かGrand Bleuに足を運んでいた。その時に神崎の話を何度も大輔から聞いている。


「まぁ、だいたい予想は着くがアイツは多分、これ絡みだろう」
小指を上げながら、大輔は説明を始めた。そこは桐野にもクイズラリーの一件から予想がついていた。


「そう、言っても俺も知っていることは少ない。恐らく、アイツの実家で何かあったんだろう」
そう言って大輔が出したのは、神崎の履歴書だった。個人情報の漏洩だとかはこの際、2人は触れなかった。


「なぜ、そう思うんです?」
「それはこの履歴書を見てもらえば、分かるだろうさ」
大輔に言われて、桐野はさっと神崎の履歴書に目を通した。


「これは、、、、」
「そう、アイツの実家は、ここ東京から飛行機で行かなきゃいけないぐらい、遠い、あいつにはそこまでして実家から離れてたい理由があったってことだ」
そこには熊本と書かれた、履歴書があった。





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