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季節は移り変わり、湿気の多い季節に移り替わった。神崎の日常は桐野の登場で現在、平穏から騒がしいものとなっていた。

「神崎はどこだ――」
「あいつ、コロス、あいつ、コロス」
「八つ裂きじゃ――――――」

「全く、ここの生徒は騒がしいな」
「全部、貴方を探してる声だと思うのだけど」
「あんなの、いちいち相手にしてたらきりが無いだろ」
神崎は片手間に本を読みいながら怒鳴り声を完全に無視していた。

「櫻井君は何処――」
「今度こそ、見つけるわよ――」
「最近、神崎君が隣にいないからチャンスよ――」

「もう、出ていきたくない」
櫻井は女子の声に頭を抱えた。
「諦めろ」
「そんな～」

そんな３人がいるのは、いつもの屋上ではなく、生徒会室だった。
「全く、雨なんて降らなければいいのに」
「私としては、貴方に貸しが増えるから嬉しいわ」
現在生徒会室には、桐野と神崎と櫻井以外には誰もいなかった。

「ちっ、それにしても会長自ら、生徒会室を私的に利用してもいいのか」
「構わないわよ。生徒会の持ち物なんですもの。会長の私がどう使おうと構わないわ」
「こっちとしては静かに昼休みを過ごせていいけどな」

いつも通り、このまま昼休みがのんびり終わるかと思っていたが突然、櫻井から神崎に話が振られた。
「そういえば、今年も実家に帰るの」

「・・・そうだな」

「そうなんだ」

桐野は何も言えず、ただ見守るだけだった。普段なら何か話題を振って神崎を困らせてるだけなのだが、聞いてはいけないような予感がして桐野は沈黙を貫いた。

ここで昼休みの終わりのチャイムが鳴り、３人揃って教室に向かい出した。

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