完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

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神崎が連れてこられたのは都内でも有名な撮影スポットの公園だった。


「なんで、こんな朝から撮影するんだよ」
「仕方ないでしょ。ここって公共の場所だから、人がいない時間なんて限られるし、太陽とかの位置もあってこんな時間しかないの。好きでこんな時間に撮影してないわよ」
「寒いのは苦手なんだよ」
「そこは昔から変わらないわね。ほら、行くわよ」


撮影機材を準備をしている集団に近くに行くと1人が2人に近づいて来た。
「あら~、理沙ちゃんじゃないの。隣の子は優君で合ってるかしら?」
「ええ、そうよ。今日もよろしく、石沢さん」
「よろしくお願いします、石沢さん」
神崎はさっきまで文句を言っていたとは思えないほどの完璧な笑顔を石沢に向けた。


「相変わらず、優君は変わってるわね~。こんなイケメンなのに顔を隠すなんて」
「それは、石沢さんには言われたくないですよ」
「それもそうね」
ここで石沢に向かってオカマなのにと言わないのがいつもの神崎とは違うところだろう。


「それじゃ、優君はあっちで髪を整えるわよ~」
「はい、お願いします」
「理沙ちゃんはまた、後でね」
「弟をよろしくお願いします」
そういうと理沙はまた別の集団に行ってしまった。


「そう言えば、今日は特別ゲストが来てるわよ~」
「そうですか、コーヒー作って来たので飲みますか?」
「優君のコーヒーあるの、飲む、飲むわ、むしろ飲ませてちょうだい」
「別にそこまで言わなくてもあげますけど」
「いや、優君のコーヒーはそこらへんのコーヒーと一味も二味も違うからそれだけ言う飲む価値があるわ~」
「そうですかね」
言いながら神崎はカバンからコーヒーの入った水筒を出して石沢さんに渡した。


「ありがとう。話がそれたけど、ホントに特別ゲスト琴吹響が来てるわよ~」
石沢はコーヒーをもらいながら神崎のヘアセットも始めた。
「あんまり、そういうの興味ないですよ、俺」
「まぁ、そうなのよね。優君って今、人気上昇中のアイドルが来てるのに全く興味を示さないんだもの」
「ニュースとかで見たりはしてはいるんですけどね」
「普通、高校生男子ってアイドルがいるだけもテンションが上がったりするものよ~」
「まぁ、興味がないですからね。一緒に撮影でもしなければ、何もないですよ」
「今日、するわよ~」
「何がですか?」
「だから、琴吹ちゃんと一緒に撮影するわよ~。理沙ちゃんに聞いてない?」
「聞いてないですね。俺の撮影はいつも1人なので今日もそう思ってました」


心の中で理沙のことを後で問い詰めてやろうと心に決め、それを顔に出すと来なく神崎は面倒だなと思いながらも石沢とヘアセットが終わるまで雑談を続けた。



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