完璧会長と無関心な毒舌読書家

スリーユウ

2

今日は入学式なので、午前中に学校が終わる事になっている。
しかし、神崎は帰らずに学校の図書館に来ていた。


神崎は1人読書をしていた。
「なぁ、帰ろうぜーー」
「うるさい、邪魔するなら帰れ」
その横で櫻井は読書をすることもなく、神崎に話しかけていた。


「えー、だってお前がいないと女子に囲まれて帰れないじゃん」
櫻井は神崎を女子除けとして、神崎の周りにいるのだ。女子は神崎の拒絶オーラが怖くて近寄ってこない。
前に神崎に近寄った女子は軽くトラウマになるような目に遭った。


「それが嫌なら、人がいなくなるまで1時間ぐらい待ってして帰ることだな」
「腹が減って、お腹と背中がくっ付きそうだーーー」
櫻井はダダをこねたが、神崎は無視して読書を続けた。
結局、神崎が本を読み終えたのは30分後だった。


「さて帰るか、起きろ櫻井」
そう言って、神崎は隣で寝てしまった櫻井の頭を殴った。


「イテッ」
櫻井は身体を起こして、眠気を覚ますように首を振る。
「もっと、優しく起こしてくれよ」
「お前がゆすったぐらいで起きるのならな」
「それもそうだな」


「いくぞ」
「ああ」
そう言って、2人は席を立った。
図書館から出ると、ほとんどの生徒が帰ってしまって廊下は静まり返っている。


「さすがに、もういないな」
「居たら、困るのはおまえだろ」
「それもそうなんだが、なんか、こう寂しくね」
「そう思うなら、今度から女子に囲まれて帰るんだな。ほら、いくぞ」
そう言って、神崎は櫻井を置いて廊下を歩きだした。


「あ、待ってくれよ~」


その頃、生徒会室では桐野 雫が書類の整理をしていた。
そこにドアがノックされる。


「どうぞ」


入ってきたのは生徒会のメンバーだ。
「失礼します。会長」
「で、調べた結果はどうだったの?副会長」
「はい、会長のおしゃった通り、少しおかしいですね。成績がすべてオール5しかも先生に聞いたところ、たまたま、平常点とテストの点を合わせたところ、ギリギリで5だったという事でした」
そういいながら副会長は調べた資料を会長に手渡した。


「おもしろい人も居るものね。全部計算しているのかしら」
「その可能性が高いですね」
「でも何のためにそんなことをしているのかしら?」
「さぁ、見当もつきませんね」
「わかったわ。もう帰っていいわ、副会長」
「はい、失礼します。会長」


副会長が帰ったあと、桐野はしばらくその資料を見ていた。
「明日から楽しい1日が始まりそうね」
そう言って桐野はその資料を机の上に置いた。
そこには、神崎 優と名前が書かれていた。





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