天才ダラダラしていたら家を追い出されたけど、結局、王都の学園で無双する

スリーユウ

37

次の日、宰相ガバラスは城内で動けない状態で、裏帳簿と一緒に発見された。それにより、王城では行政が混乱を極めていた。国のナンバー2の不祥事、これだけでも貴族たちには相当な動揺が走っただろう。数日はその混乱を収まらないだろう。


そんな中、1人、フェリクスは商会で考えに耽っていた。


「しかし、どうして、ガバラスはそうまでしたアリサ姫の暗殺を急いだんだ」


考えれれば考えるほど、疑問になってくる。恐らく、最初のテロは何か月も前から練られた計画だっただろう。あれだけの機材と人員を動員していたのだ一朝一夕で出来るものではない。しかし、武芸大会は違った。王女の強さが分かったと言うのに、あれだけの人員で来るとはそれでも尚、王女を狙う理由があったということだ。


「問題なのはそれが何なのか、調べてみるか」
これ以上ここで考えていても思考の無駄というものだ。答えが出ない以上、後はもう調べるしかない。


善は急是と、早速、混乱真っ只中の王城にフェリクスは潜入していた。どこから入手したのか、しっかりと見回りの兵士の姿で今は空席になってしまった宰相の部屋を物色していた。


「さてと、ここらへんかな」
あっさりと本をくり抜いて作られた秘密の隠し場所をフェリクスは見抜いた。そこには王女のスケージュールが事細かに書かれたものと他国からの秘密文書が隠されていた。


そこにはガバラスが他国から王女を殺すように指示されるような文面が書かれていた。そして、王女のスケジュールの一番最後には神落としと書かれていた。


「なんだ、この神落としってやつは?」
フェリクスは知らぬ単語に頭を捻るが廊下から足音が聞こえてきた。


「潮時か」
2つの文書を懐に入れるとフェリクスは宰相の机の下に隠れた。少しすると見張りの兵士の会話が聞こえてきた。


「それにしても、まさか、宰相のガバラス様がアリサ王女を狙うなんてな」
「しかし、なんでまたこんな時期にアリア王女を狙ったのかね」
「そんなのあの噂がホントなんじゃね」
「あの噂?」
「なんだ、お前知らないのか、だれにも言うんじゃねーぞ、今度、神落としって言う特別な儀式で王女様がまたスーパー強くなるらしいんだ、だから暗殺するならその前って思ったんじゃね」
「なるほどな」


兵士の会話と文書の資料から合わせても、この神落としと言う儀式がガバラスの暗殺計画を早めた原因らしい。


それが分かったフェリクスはさっさと王城を後にした。


「スーパー強くなるね、そんな都合のいいことがあるだろうか」
寮に戻ってきたフェリクスは兵士の言葉を思い出しながら神落としとアリサ王女のことについて考えていた。しかし、そんなことしなくてもあの王女は恐らくこの国で一番強いだろう。


「シルフ、神落としって知ってる?」
「知ってるわよ」
「へぇ、どんな儀式なの?」
「文字通り、神と呼ばれる存在を自分の身に落とすのよ」
「それって成功するとスーパー強くなる?」
「何よ、その言葉遣い、気持ち悪いわよ、でも、確かにそうよ」
「じゃあ、失敗するすると?」
「体に神が合わなかったら、体がバラバラになったり、定着したとしても、神に意識を奪われて暴れちゃうぐらいかしら」
「・・・」


その言葉を聞く限り、フェリクスは笑えなかった。あの王女が儀式に失敗しただけで、それはもう恐ろしいことになるだろう。しかし、王様はわざわざもう強い王女をさらに強くしようとしているのだろうか。


「なんでこうトラブルが舞い込んでくるかね」


フェリクスが問題を解決した矢先に、またすぐに新しい問題が転がり込んでくるのはもはや才能と言っていいかもしれない。宰相の王女のスケジュールを見る限り、1か月しないうちに王女の神落としが実行されることが書かれていた。



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