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王都のとある豪邸、そこでは宰相ガバラスが怒り狂っていた。
「また、失敗したのか―、この無能がっ」
「予想外の事が起こりまして」
「また、それか、この前の時もそうだ、あれを解呪できる奴がいるはずないとお前が言ったではないか、だが実際解呪されたではないか」
「面目ありません」
「早くあの娘を殺さなければ」
「早急に次の計画を立てます」
「早くしな――」


突然、家の正面から爆発音が鳴り響いた。


「な、なんだ、この音は」
精霊使いは部下に合図を送った。
「自分も見てまいります」
「ああ、行ってこい、ラクスキー、何だ、こんな時に」


フェリクスは正面玄関に音と光だけを放つ魔法を放つとゆっくりと正面から歩いて家に入っていった。


「とりあえず、落とし前はつけてもらうよ」


「なんで、こんなに周りは静かなんだ」
見張りの兵は呆然と周りを見渡した。確かにここは少し王都でも大きな屋敷の分類に入るが決して、他の場所から離れているわけではない、爆発音や光を発して気づかれないはずないのだ。そんなことを考えるていると急に視界が１８０度回転した。そしてなぜか、兵の視界は地面に迫っていた。見張りの兵はそこでようやく自分の首が飛ばされたことに気づくのと同時に絶命した。


しばらく、金属音や爆発音が続いたが、急に静かになった。


それに不安になるガバラスだがゆっくりと書斎の扉が開いた。
「なんだ、貴様は、ラクスキーはどうした？」
「こいつの事か？後はお前だ、ガバラス」
フェリクスが書斎に入るとそこにいたガバラスに精霊使いラクスキーの頭を投げた。


「貴様、私にこんなことしてただで済むとともっているのか」
「それはこっちの台詞だ、あんな事をして、ただで済むと思っているのか」
フェリクスはガバラスに瞬時に近づくと足を拳で折った。


「がっ」
ガバラスは苦悶の声を上げるが足が折れていると言うのにフェリクスに向かって這いつくばってきた。
「貴様ぁぁああ」
その精神力は驚嘆に値するがフェリクスには関係ない。
「ちょっと黙ってくれる」
魔法でガバラスの口を防ぐとフェリクスは静かに書斎を探し始めた。探し始めて、すぐにフェリクスは隠し金庫を見つけた。
「う――、う――」
「そんな風に唸っても何も変わらないよ」
金庫の中を物色するとそれは、ガバラスの裏帳簿だった。ペラペラと捲るだけで、フェリクスは裏帳簿を閉じる。


「さて、これだけでお前を破滅させるのには十分だが―」
フェリクスはそこでガバラスの魔法を解いた。
「絶対、貴様を殺すぞ」
「その前にお前は牢屋にぶち込まれるけどな、それともここで死ぬか」


現状、フェリクスの手にはガバラスの生死が握られている。フェリクスにとってこのまま証拠を隠滅してガバラスだけを殺すことは指して難しいことではない。


「や、やめろ」
「どうした急に声に元気がなくなったな、安心しろ、お前は殺すだけでは生ぬるい、地獄のような苦しみを与えてやる」
フェリクスはガバラスにの足に治癒魔法をかける。


「ぐあぁああああ」
治癒魔法をかけたがガバラスの足は通常ではなく変な方向を向いたままだ。


「き、貴様何をしたのだ」
「何って、足を直したんだよ、別の方向に」
ガバラスには最初、フェリクスが言っている意味が分からなかったが、言っている意味を理解すると悪寒が止まらなかった。


「そんなこと――」
「したら、普通はお前は一生歩けないな、安心しろ、腕のいい治療魔法を使えるものなら直せなくはない、それまでは足に激痛がいつまでも走り続けるけどな」
ガバラスの顔は苦悶に満ちていた、いつまでこの痛みに耐えなければならないのかと。


「大丈夫だ、明日にはお前は王城にこの帳簿と一緒にいる」
「い――」
ガバラスの言葉を聞く前にガバラスを気絶させたフェリクスは少しだけため息をついた。


「俺の行いは、ダメなものか、シルフ」
「別にいいんじゃないかしら、いつだって人間は醜い」
「アリサ姫の言う通り、証拠を集めてから摘発するべきだったのか、正直わからない」
「何が正しいかなんて、後でわかるものよ」
「そうか」


それだけ聞くとフェリクスはガバラスを背負って屋敷を去っていった。