天才ダラダラしていたら家を追い出されたけど、結局、王都の学園で無双する

スリーユウ

4

「うーん、よく寝た」
フェリクスは睡眠から目覚めると、体を起こした。


「今は夕方か」
昼から寝たフェリクスは夕方まで熟睡していたのだが、腹の虫によって目が覚めた。思えば、睡魔に負けて昼から何も食っていない。フェリクスはリズに説明された1階にある食堂に向かった。


「おい、平民そこをどけ」
フェリクスは食堂に入った瞬間、開口一番聞こえてきた言葉に眉を顰めた。集団が出来ており、そこにフェリクスは向かって行く。近づくにつれて、言い争いをしているのが2人が見えてきた。


「もともと私がここに居たんだ、あっちに行くの貴方だ」
「平民、この僕に向かって、お前だと、君は僕のことを知らないと見える」
この国では、ほとんどの貴族が金髪、銀髪で占められている。おそらく、そのことにつけこんで金髪の生徒が茶髪の生徒に配膳口から近い席を譲るように迫っているようだ。


「知ってますとも、クラレンス・スコット様」
「なんだ、君は横からしゃしゃり出来て」
「私はフェリクス・クレソンです。あのクレソンです」
「ほう、最近、一番勢いのある、あの商会か。君ならば、分かるだろう。そこの彼に説明しやってくれにないか」
クラレンスは話が分かる人が来たと思い、つい饒舌になったがその予想は裏切られる。


「いえ、正しいのは彼ですね。スコット様、この学校では校則で貴族も平民も等しく扱われると明記しあります。つまり、この場を離れていただくのはスコット様です」


「なんだと、貴様」
「それ以上言うので有れば、学院の方に報告しますがそれでよろしいでしょうか」
「貴様の顔、覚えたぞ、フェリクス・クレソン」
恨みの籠った捨て台詞共にクラレンスは去って行った。


「さて、そしてここにいるのはお金持ちのただの平民かそれとも別の国の王子かどちらなんでしょうね」
フェリクスの一言に茶髪の生徒は露骨に警戒心を高めた。


「何故、フェリクス君はそう思うのかな」
「いえ、ただの簡単な推理ですよ、平民でこの学校に入れるような金持ちはすべて記憶しているのですが、貴方はそのどれにも該当しなかっただけです。となると、残りの可能性は貴族ですが、茶髪の貴族も数えるほどしかこの国にはいませんのでこの可能性も低いです。そうなると他国の方が一番が有力ではないかと」
「そこまでは分かるが何故、俺が王子だと」
「それは職業柄情報には耳が早いので」




「商人か、厄介なものだ」
その言葉は自分を王子と認めたと同義の発言だった。
「褒め言葉と受け取っておきます。所で食事をとってくるので隣、宜しいでしょうか」
「人を待ってるのだが、君なら彼女にも歓迎されるだろう。お互いの自己紹介はその時にでもしようか。先に食事をとって来てくれて構わないよ。あと、敬語はやめてくれ」
「わかった。じゃあ、俺は食事を取ってくるよ」
その発言に王子は驚いたように目を見開いた。言われたからと言って王族に対して直ぐに敬語を無くすとは思わなかったのだろう。


フェリクスは配膳口に向かうと列に並んだ。前に状況を見る限り、その日決まったメニューが提供されている。勿論、貴族たちが食べるようなレベルの物が。モノの値段がわかるフェリクスはよく清算が取れているなと考えさせれてた。少し列が出来ていたが、慣れている様子で配膳口の奥にいる職員が食事を出していくのでどんどん列は消化されていった。


フェリクスの順番にくるまでそこまでの時間が掛かることはなく、フェリクスはその食事を受け取り元いた場所に戻った。


勿論、配膳口に一番近い席なので、王子の他に誰かが来たのがフェリクスには直ぐに分かった。
あの遠目からでもわかるプラチナブロンドのロングヘアーはこの国の王女アリサ姫だった。
(トラブルね。起こんなきゃいいね、親父)
まだ、トラブルは厳密には起こっていないので、フェリクス的にはトラブルメーカーの名を返上したい所だったが、ダルクスの予感は見事に的中するのだった。

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