(旧)こっそり守る苦労人 中学生編

ルド@

こんなデートその2(美希編)

最初に着いた場所はーーーーとある喫茶店である。
ココはくろか・・・じゃなくて美希の行き付けのお店らしく。
このお店のケーキやクレープ・・・そしてパフェなどが絶品だそうだ。


・・・・今度葵におみやげで買って来ようかな?    
とか俺が考えるほど美味そうであった。


ただ
「零よアーンじゃ」
「・・・・・。」
『・・・・・。』(ジー)
 

なにこの状況・・? 
俺にスプーンでパフェを食べさせようとしている美希。
それを見て固まる俺。
その俺たちを興味深そうに興奮したカップルの客や店員さん。


おい・・・難易度高くねぇか・・・!? 




時刻は少し遡り、合流して歩いているところに戻る。






「うむ、今日は良い天気なのじゃ!」
「ああ、ある意味当たりの日かもな。」


最初は2人とも落ち着きがなく、緊張していたが。 
すっかり落ち着いて、自然に話している・・・・その間大変であったが。


「・・・今日は悪かったな美希」
「ぬ?何がじゃ?」


なんの事か全然分かっていない美希に言うのは、ちょっと精神的にキツイものがあるが・・・。


「どうしても、一度謝りたかったんだ。済まない俺のムチャな頼みを聞いてくれて。」


正直デートの日まで、俺の心は罪悪感で満ちて、どうしようない状態だった。 
  

あったのは後悔だ。あの時・・・ナゼ?美希にデートを頼んだのだと。
自分に何度も自問自答した。・・・・取り消そうか考えた程にだ。


けど、そんな俺に気付いた凪が


『零、今キミが考えている選択はーーー間違ってる・・・・・
デート課題を提示したのは私だけど・・・それでもその選択は・・・自分勝手だ。』


『自分の都合で相手を巻き込んでしまったという、キミの中の正義感がキミをその選択へ導こうとしている。』


『けどそれは、どんなに考えても自分勝手なんだ。相手の事を何も考えてない。自分の都合を相手に押し付けている。さっきキミが思った事だ。』


『考えている?違う。それは、キミが勝手に解釈しただけだ。それともキミはーーーー彼女の心が読めるのか?』
 

『読めないだろう?・・・・もう一度言うけどその選択は・・・間違ってる。』


『例えデートでボロボロになったとしても、その選択だけはーーー絶対取ったらいけない・・・・。』


『それをしたら・・・・ダメなんだ。』


とまあこんな風に説教?的な立ち位置で凪に言われてしまったので、直前で中止ということはしなかった俺である。


・・・でも
やっぱり一度・・・ちゃん謝罪したかった。
例えこのデートが台無しになっても・・・。


「・・・・・・。」
「・・・・・・。」


美希の返答を待つ俺・・・・彼女は黙ったまま俯いている。
帽子のせいで顔色が伺えないが・・・・恐らく怒っていると思われる。


「零・・。」
「ーーー!」


遂に来た。彼女から飛ぶのは・・・罵声か非難か軽蔑か・・・どれも一緒か
何が来るのか身構えているとーーーー。


「零よーーーーーーバカかお主は?」


・・・・・バカ呼ばわりされた・・・このチビに


「だれがチビじゃ!!」
「おっと声に出てたか?」 
「なのんじゃとっ!?」 


悪びれもしない俺に憤慨する美希・・・俺も少しイラついてしまったようだ。
しばらくすると、美希がぜぇぜぇと荒れる息を整えてから言う。
まだ、目つきがギロンッと険しくなっているが・・・これはしょうがない。


「気にせんで良いのじゃ零。」


気を取り直して美希が呟いていく。


「今回の件はワシとしても悪い話でないのじゃ。このデートのおかげで出来なかった事も出来るしのぉ・・・・それに零よ。」


顔を上げ、目を合わせると・・・そこには、イタズラ好きのいつもの美希がいた。


「せっかくデート中なのにその女性相手何度も謝ていてわ、逆にワシとデートしたくないと、解釈してしまうぞ?」 
「いや、そんなつもりはないって・・!俺も嬉しいし!」
「ほう・・・?」
「・・・・・聞かなかった事にしてくれ。」 


は、恥ずかし過ぎる・・・。
そんな俺を微笑している美希であるが、フイっと背を向け。


「イヤじゃ」


あっさり断ってきた・・・て、おいおい。


「鬼ですかあなたは?」
「それそれ早く行くぞ零よ・・!」
「ああ・・・無視か。」


こりゃしばらく弄られ確定だな・・・ハァ 


「ココなのか?」
「そうじゃ。」


俺たちがとある喫茶店である。
入ってみると割と広くて客が多かった・・いや、カップル・・・・が多かった。 






「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」


しばらく席に座っていると、店員さんがやって来て、こちらの注文を聞いてきたので美希が笑顔・・で答える。


「うむ。このカップル限定・・・・・・パフェ・スペシャルを頂くのじゃ!」 
「ーーーーまぁ♪!畏まりました。暫くお待ち下さい。」
「うむ。よろしく頼む!」
「・・・・・。」


カップル限定・・・・・・
聞きました?カップル限定だって・・・そう、これが美希が頼みたかった


「ふふふっカップルしか食えんくて、残念で仕方なかったのじゃがーーー遂にこの時がきたのじゃ!」


大喜びの美希である・・・・それに引き換え俺は


「カップル限定・・・。」


呆然と呟き、空を見るばかりであった。








そして現在、目の前には用意された特大パフェをスプーンですくい、俺に食べさせようとしている美希がいる。   
そんな彼女に困惑する俺を察してかどうかは分からないが、店員さんが説明しだす。


「こちらの限定パフェは言葉の通り”カップルのみ”が注文出来るメニューですが、その代わりまず最初にお二人がカップルである証明として、そのパフェを相手にア〜〜ン♪をして頂く決まりになっています。」


なんとまぁ、俺のキャラが崩壊してしそうな注文ルールである。ビックリし過ぎで、目が白目になりそうだ・・・・意識よ飛んで送れ・・。
 

「零・・ア〜〜ンじゃ♪」
「・・・・。」


なんでノリノリなのおまえも? 


「(ニコニコニコニコ♪)」


店員さん、ニコニコしてないで、早く消えてくれないか?


「確認です。お客様。」


素晴らしい理由だ。嬉しくて涙が出そうだよ。


『・・・・・。』(ジ〜〜〜〜)


あ、あのー、他の方々はなんで・・?


『確認です。彼氏さん。』


そうですかそうですか・・・。完全にアフェイだな。


「零・・?いやか・・・?」
『・・・・・・・。』(ジィィィィィィィィ!) 


泣きそうな顔で見てくる美希・・・・そして周囲の殺気・・・・なんの拷問?


「ううっ・・。」


そ、そんな悲しそうな顔すんなよ・・!・・・・ハァ〜〜〜!


「・・・・・。」
「あーーー♪」


無言で食べる。
さすがに”ア〜〜ン”はないな。


もぐもぐ食していると、美希の嬉しそうな声が聞こえるが、今はそれどころではない。  
 周囲の視線に晒されながらの食べる俺・・・・・あ、味が分からん! 


「美味しいか?」
「・・・味が分からん。」


困惑してしまう俺に美希がこれまた嬉しそうな顔で


「では、もうひと口食うと良いのじゃ!」


・・・・失言だったようだ。


もう一度”ア〜〜ン”で食べる俺。
また周囲に視線が・・・・女性のキャーキャーという悲鳴が聞こえてきてうるさい。
お味は・・・・・・・・・。




・・・・・ーーーー甘いな。
改めて味わうとスッゴイ甘いパフェである。


「どうじゃ?」
「激甘」


感想も短め。それだけ、俺は今喋りたくなかった・・・・既にボロボロだから(精神が)。 


「では、次はワシに頼むのじゃ。」


・・・・なんと?
美希の言葉を理解する前に 


「ア〜〜ン♪」


既に待ち構えている彼女・・・・。


「・・・・・。」
「ア〜〜ン♪」


この後、俺はさらに精神的ダメージを負うのだが・・・・主に甘さで(場の空気とか味とかで) 



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