(旧)こっそり守る苦労人 中学生編

ルド@

こんな学校生活(こんな朝の教室)

己の買い言葉の所為で、凪の課題を引き受けるしかなくなった俺は
トボトボと凪と一緒に学校へ向かったのである。 


教室
「よぉ〜!零、聞けよさっき・・ん?どうした?
朝から顔がブルーだぜ?」
教室に入って早々、俺に声をかけて来た男子学生がいた。
「よぉ〜武・・
朝からお前の顔は草の様にミドリ・・・だぜ?」 
「ミドリ顔!?」 
どうでもいいトークにも良い反応してくれるこの男子学生の名は、石井 武
中学入って最初に出来た友人だ。
と言っても、まともに話すようになったのは、知り合って随分後になるが・・・  


「朝から仲が良いね」
俺に続いて凪も教室に入って来た。
「お、九条も一緒か、おはような」  
「おはよう武君
朝からムラサキ顔だけど大丈夫かい?」
「ミドリの次はムラサキ!? 
どんな顔してんだよ俺の顔!?」 
「「ピク◯ン?」」  
「ピク◯ン!?」   
ん?どんな顔をしてるか訊かれたから正直・・に答えたのに、何故か愕然として落ち込んでる武
ほれ、一緒に答えてくれた凪も不思議そうな顔してるぞ?  








「それより武、さっき俺に
何か言いたい事があったんじゃないのか?」


”そんな事って・・・おまえな”とブツブツ言っているが、さっき何を言おうとしたか思い出したのか 


「あーーそうだそうだ!
零、さっき隣のクラスの黒河がおまえに「バタンッ!」」    
武の口から何か恐ろしい名が聞こえた気がした瞬間
教室の引き戸が勢いよく開いた・・・・そこには1人のちびッ子・・・・。  
「泉〜〜〜〜!
待っておったぞ〜〜〜〜!」 
元気良く手を振ってるちびッ子・・・・・・・まじか・・。  
「・・・・・。」
呆然としている俺に武が肩を叩き 
「また勝負しに来たから気を付けろよ・・」
先程の続きの説明をしたのだが・・・・オイ
「遅えよバカ武・・」 
遅すぎるわ・・・。
あ〜、あのちびッ子女子生徒の名は黒河美希・・・・簡単に言うと小学生ぽい中学生である。 
本人には絶対言いませんが・・・。










「ふふふふッ!よく逃げずに来たの?泉」
腕を組みふふッと子供ぽく鼻で笑う黒河を見てると・・・最初の頃はイライラしてたが、今は・・・何処か微笑ましく思えてくる・・・これも環境の変化か・・ 
と言うか 
「別に逃げる以前に、今来たところなんだが・・」
て、言ってもしょうがないか?




何かヤル気満々になってる黒河を見て・・・疲れが出てきた・・・朝、凪にお仕置きされた所為だ。 
「な〜?黒河?また今度にしないか?
俺朝から疲れる事があってダルいんだが」
無理だとは思うが一応提案するが 
「イヤじゃ!ワシは土日の間の修業の成果を今こそ、貴様に魅せたいと楽しみにしておったのじゃ!
そして今度こそ勝つのじゃ!貴様にーーーー覚悟せい!泉!」
予想通りの回答でした。
ハァ〜〜〜〜〜 
「もう俺の負けでいいから寝させてくれよぉ・・・」
偶には、罰ゲーム位受けても文句は言わないからよ・・・  
「諦めなよ零・・黒河さん、じゃあ私が審判やるけど、良い?」
「うむ!頼むのじゃ!」
それまで傍観していた凪がいつも通りに黒河に聞き、準備を始める。


その間、周囲では
「お〜また始まるみたいだぞ。」


「今日何かしら?」


「月曜だから・・・アレか?」


「また泉の圧勝で終わるんじゃね?」


「黒河さん頑張って〜♪」


「うむ〜〜〜ココで黒河を応援すべきか?
それとも泉を応援すべきか?・・・・悩むな
罰ゲームが無ければ黒河推しなんだがッ」


「あ〜〜〜!泉を応援すると女子から冷たい目で見られるし」


「黒河を応援してもし勝っちまうと、罰ゲームが・・・ううう」 


「「「・・・・・。」」」


『どっちもがんばれ〜〜〜〜!』
・・・・・・。 
・・・・・・。
何ともまあ・・・少しはまともな奴は居ないのか?
「あいつら〜〜ッ」
「零、準備はいい?」


凪が聞いてくるので頷く。 


「あぁ、始めてくれ」
 「黒河さんも」
「うむ!」
黒河も準備オッケーのようだ。


では・・・始めるか 




「それでは第15回、月曜戦ーーートランプ勝負を始めます。」
凪の開始宣言で始まった・・・第15回・・・長くね? 
『おおおおおお〜〜〜〜!!!!』
凪の開始宣言に周囲の生徒が喚き出す・・・・るっせッ!!!
静かにしろ!!朝だぞ!?朝ッ!!  


「今回の勝負形式は『神経衰弱』となります。」
神経衰弱か・・・まあ大丈夫か?記憶力はそれなりに自信がある。
と、思っていると隣でさっきからハキハキはしゃいでいた黒河が・・・突然固まった?
「神経衰弱じゃと!?」
「?・・そうだけど?・・・・どうかしたの?」
「い、いや!・・・なんでもないのじゃ」
凪の質問に狼狽する黒河をみて俺は得心を得た。
「ん?」
「あんま聞いてやんな凪」
「零?」
不思議に思ってる凪を見て俺は、黒河が傷付かない感じ?で、説明した。 


「大方今回の勝負内容が『ババ抜き』か『ダウト』だと予想して、
そっちの対策ばっかして、それ以外は手付かずだったんだろうよ。」
「ぎ!ぎ、ぎく!?」
・・・・自分の口から”ギク”なんて出た奴、初めて見た。


「ん?でもなんで『ババ抜き』とかに、予想を絞ってたんだろう?」 
新たな疑問が浮かぶ凪に、補足説明をすることにした。 


「前回までの流れさ。
殆どが『ババ抜き』『ダウト』『ジジ抜き』『ポーカー』『大富豪』・・・大半が相手の表情で分かっちまうからーーーーー修業って言うのも、表情でバレないようにするためのーーーーポーカーフェイスの練習とかそんなもんだろ?」
「ぬぬぬぬぬ・・・!」
図星の様だ。
ぬぬぬぬぬって・・ 
「成る程・・・だからあんなに狼狽を・・・でもおかしいよ?それ」
「ん?」
「ぬぬ?」
何がおかしいんだ?
俺もそうだが、黒河も疑問顔になった。


 

「だって、先週の時に勝負内容がワンパターンになってきたから・・・ 
来週からは・・・・・新しい勝負内容に・・・・・・・・変更しよう・・・・・・・・って話になったはず?」
「なぬ!?」 
凪の発言に驚く黒河 
「零に言われたから、審判として新しい勝負方法を・・・決めてきたんだけど・・」
不思議そうに呟く凪 
「待つのじゃ九条!ワシはそんな話は聞いておらんぞ!?」
「?・・でも零が説明しておくって・・・・・・・零?」
どういう事だい?みたいな顔で見てくる凪・・・・あー  
「泉?」
凪の視線を見て、黒河も気づいた様だ・・・んー 






「あ〜〜〜〜・・・・・ワリィ♪」
忘れてましたわ♪
スマンスマン♪ 


・・・・・・・・・・・。 
沈黙する教室の中で・・・・黒河さんがプルプル震えてらっしゃる・・・うむ。
爆発3秒前・・・2・・ 
「ガァアアアアアアーーーーー!!!!」
1、言う前に爆発・・・と言うか憤慨したタタタタタタタタッ!?
「ギャーーーー!!?イッテェええええ!?
なに噛み付いてるんだ!!?」 
手に噛み付くなって!犬か! 


さすがにマズイと思ったのか、周囲のクラスメイト達が止めに入った。
「美希ちゃん落ちついて!」
「誰か黒河を止めろう!」
「無理だ!」
「ヘタに触ろうとしたら、噛み付かれる」
「泉がスッゴイ痛そうだ・・・」 
「とにかく落ちついて黒河さん!」
「誰かアメを!
子供落ち着かせる時はやっぱりアメが一番だ!」
ば、ばかッ!そんな事言ったら! 


だゔだれぇがぁごどぼ子どもじゃじゃ〜〜〜〜!!?」


「ギャ〜〜〜〜〜!? 
噛み付きながら喋るな〜〜〜!!」
噛み噛みすんなぁあああああーーーーー!!!! 


痛みに意識が朦朧とする中・・・武と凪の声が 
「どうするよ九条?」
「うーん・・・・ほっとくに限るだろうね。」
「・・・鬼だな」
全くだよ・・鬼ですか?凪さん 


*その後、ナントカ?美希の噛み付き攻撃から逃れゲームを始める事になった零・・・・結果としては、零の圧勝で終わったが(零の取り分が増える度、涙目になっていく美希と、そんな彼女を可哀想に見て自分をクズの様に、冷たく見てくるクラスメイト達の視線に、暫く苦しむ零であった。)


*因みに皆の視線に苦しんでいる零を更に追い詰めてみようと、『泣き顔の美希とその視線の先にいる零』という絵図らの写メをこっそり撮っていたが・・・その話はまた後日




「ぅ〜〜〜わ、ワシの負けじゃ・・
煮るなり焼くなり、好きにせい・・・」 
「・・・・。」
何その潔さは・・・
『・・・・・。』ジト〜〜〜 
あの〜みなさん〜?
そんなジト目でみなくても何もしませんよ? 
「それでは、今回の罰ゲームのお題を決めたいと思いますーーー零?この箱から1枚選んで引いてくれるかな?」
「・・・ああ」 
凪が用意した小箱に手を入れ中から一枚を選ぶ・・・ 
「じゃあ・・・コレで」
1枚選び凪に渡す。
「どれどれ・・・・・ふふッ♪」
「・・・・。」
スゲー面白そうな顔をした凪に・・・ブルッ!・・・・悪寒が・・ 


「それではお題を発表したいと思います。」
朝の朝礼まで時間がないのでパッパと済ます凪 
「一度だけ何でも言う事を聞くーーーーー『命令カード』です。」
・・・・・・パッパと済ませ過ぎではありませんか? 




「・・・・初め見るな、そのカード」
今までにこんなカードは無かった筈だが・・ 
「うん、勝負内容を変更するついでに、罰ゲームの方も、この際全部変えちゃおっと思ってね・・・・・色々組・・・み込んでみました・・・・・・・・。」
そのひと仕事したみたいな発言を聞くと・・・何故か冷や汗が出てくるんだが・・・マジですか? 
「凪・・・さすがにその『命令カード』ってのは、俺も了承出来ないぞ?
一度だけ・・・・とは言え・・・マズイって幾ら何でも」
しかも受ける対象は黒河だろ?
女子相手にそんな事・・ 
「構わん・・」
黒河が何か呟いた・・・え? 
「は?」
「ワシは、構わん・・・と言ったのじゃ」
真顔で言う黒河に、俺は溜息を吐きながら言う。
「構わんって・・お前なッ」
「毎回泉に無茶な勝負事を頼んどるワシが、どうこう文句を言うのはおかしいのじゃ 
この程度の罰位・・受けて当然じゃ」 
おいおい 
「当然なわけねーだろうが・・・何アホな事言ってんだ?
命令だぞ?命令・・ーーーもし俺が無茶な命令したら、お前は引き受けるのかって話だよ。」
「引き受けようーーーそれがえっちぃ・・内容だともな」 
「ーーーーーッ!」
『・・・・・。』
黒河の一言に俺だけでなくクラスメイト全員が言葉を失い黙り込んでしまう。
あの凪ですら口を閉ざしてる・・・ 
「もっと自分を大事にしろよ・・」
「これでも大事にしておる方じゃ・・・それにーーー相手がお主なら・・・・・・・ワシも文句は言わん・・・・・・・・・(ボソ)」
最後の部分がよく聞き取れなかったが・・・何かあんのか? 
「黒河?」
「何でもないのじゃーーーそれで、ワシは『命令カード』について異議はないが・・・そっちはまだゴネるのか?」 
「・・・・。」
「零、女の子がここまで言ってるんだから・・・少しは男気を見せて欲し?」 
黒河が了解を得たからか、凪まで・・男気って    
「誰の所為でこうなったと思ってんだ・・・あと、何で疑問系だよ?」


だが、ここまで黒河がいいって言ってるんだから・・・いいのか?
いやいや、待て待て、それでもやっぱ良くねぇだろ。
ん〜〜〜〜?どうしたもんか?
・・・・・・ん?いや待てよ? 
アレ・・なら・・・いや、けど・・・ぬ〜〜〜  
暫し考える俺にみんな黙って見守っている。
・・・何故か黒河が不安そうな顔で見てくるーーー何で!? 
「〜〜〜〜〜ハッ!・・・仕方ねー・・・」


こうなったら俺も覚悟を決めるしかねぇ! 


「黒河・・一度しか言わねーからよく聞け」
「う、うむ」
緊張した表情で見上げてくる黒河・・・そんな目をするなよ・・俺がイジメてるみたいだろうが 
・・・・はぁ 
「黒河?今 度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・DEーTOしね?」








『・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?。』
みんなから頭に”?”マークが見える・・・分かってます俺のせいですね? 
「ぬ?ぬ?ぬ?ぬ?」  
混乱中の黒河・・・分かってるから、そう動揺しないで
ガシッ!
突然背後から肩を掴まれた
「零」
凪です。
今一番顔を合わせたくない人物・・・ 
「何さっきのローマ字読みは? 
それにその前の間は?長過ぎでしょ 
あとヘタレ過ぎーーーーチキンですか?」    
 予想通り、罵声のオンパレードでした・・・・グスッ 
「・・・言うなよ」 
 

 取り敢えず、後で黒河に時間を取ってもらって、説明がしないとな・・・・はぁ〜〜先が思いやら《それは私の台詞だよ?》・・・・シメの時まで出てこないで下さい。




この後俺は、混乱している黒河をどうにか落ち着かせて、デートについて説明するのだが・・・
デート相手に黒河を選んだ事で、この後とんでもない事態に、発展する事を俺は・・まだ知らない・・

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