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(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

卓球戦 後編

とある教室


「やぁ凛さん、さっきは思わぬ登場の仕方で驚いたよ。」


いつもの笑顔でそう言う英次にジト目で答える凛 


「昨日振りです英次さん、笑うのを堪えていた・・・・・・・・・の間違いではありません?」


彼の性格を知ってる彼女にとって、さっきの光景が彼にとってのご褒美だと理解しているから 


「あはは・・・ごめんごめん、だってまさかーーー従姉妹して堂々と入ってきたから・・・君も思い切ったね?」
「っ〜〜〜!」


瞬間赤面する凛・・・余程恥ずかしかったみたいだ。


「コホンっ、いいえ、すべては零さん・・・・・のアイデアのおかげです。」


つい、零のせいにしてしまう凛であるが、すかさず感謝の言葉を口にする。
 



「うん、そうだと思ったよ。君にそんな度胸・・なんてないもんね?」  
「・・・・・喧嘩売ってるんですか?」


英次の言葉にカチンとくる凛だが 




「だったら、そんなマジメな口調・・・・・・なんてやめてーーー素で話しなよ・・・・・・。お嬢様学校の『鬼の副会長』の凛さん」
「・・・・・。」


英次から『鬼の副会長』と呼ばれ固まってしまう凛だが・・・少し間を空け溜息をつく。




「・・・・・分かった・・・・。これで良いか?英次・・」      


先程と違い、鋭く険しい顔つきに変わる凛・・・これが本来の彼女・・というかもう一つ・・・・の顔である。


「うん!実に君らしいよ。」
「フンッ」


嬉しそうに答える英次に鼻で笑う凛・・・・先程と大違いの対応だ。 


「前にも言ったけど、あの口調はどうにかならない?ーーーーさすがに引くよ?」 
「幾らでも引けば良い。私は・・・ただ零さんに気に入・・・・・・・・・って貰いたいだけだ・・・・・・・・・。」


ハッキリ口にする凛に眉を上げイタズラ顔で英次が尋ねる。 


「ん〜〜〜自分を偽ってまで?」


彼の一言にビックッと反応してしまう・・・自覚があるんだろう。 


しかし  


「・・・・偽ってるつもりはない・・・だが」


震える声・・・怯えているのか・・その口で彼女は言う。  


「あっちの私もーーー私だ。それは断言できる。」


嘘偽りのないことを証明するためーーー凛は口にする。


「猫被ってるさ・・・けど・・それでもーーー彼に対しては、礼儀を尽くしたい」


これがーーー彼女の本心である。  


「礼儀?」
「零さんは私の恩人であり、私の親友の兄でもある。」
学校でも、外でもよく一緒にいる親友を思い出す。
「そんな人に対し、礼儀を尽くさないなんてーーー恥じ以外のなにものでもない。」


真っ直ぐ英次を見据えそう宣言する凛 




「なるほど・・・それが君の覚悟か」 


何処か納得顔の英次・・・同時に嬉しそうにしている。 


「君がそれで良いならそうしなよ。ーーーでも僕と話す時ぐらいは、昔のように話して欲しいな?」 
「嫌です。」


険しい顔つきから涼しい凛とした表情に変わる。


「もうおしまい?」
「学校以外では、こうするようにしてるんです・・・少しでも大人ぽくなりたいから」


最後の部分は、小さくぽつりと呟く・・・頰が微かに赤い 


「・・・それが本音か・・・乙女だね〜」 
「何か言いましたか?」


ギロリと睨む凛・・・さっき以上の鋭い目付きだ 


「何でありません独り言です」 


冷汗を流しながら乾いた笑み英次・・・失言だったと後悔する。


「本題に移ってください英次さんーーーー今何が起・・・・きてるんですか・・・・・・・?」
「・・・・・。」


凛の問いに無言になる英次・・・そろそろ切り替えないといけないと、真面目になる。


「そうだね・・・予想してたより進行が早いようだ。」  


真面目な口調で凛に言う。決戦の為に 


「凛さんーーー仮装と偽装の世界パレードの準備を」    
「・・・・何ですかそのネーミング?ただの想像空間イメージですよ?」  
「・・・・・。」


下らないネーミングに真顔で苦情を出す凛
やっぱないかな?と別の案を考え直す必要あると英次は思った。


******** 
『それでは、各自試合を始めて下さい。』
「行ってくるっす!」
「がんばって莉緒ちゃん!」
「あ、がんば・・・」  


実行委員の声とそれに合わせて動き出す莉緒と応援する沙耶の聞こえる中、零は放心していた。 


「私・・行く」
「お願いします土宮つちみや先輩」


莉緒の対戦相手は先輩女子である・・・ほとんど無口だが、その目には確かに闘志が感じられる。


「「イッテクルデス、ツチミヤ・・・・デス」」 
「・・・・・。 」


武の隣にいる女子・・・彼女から聞こえてくる片言二重デス声に無表情になってしまう零・・・どんな表情をすれば良いのか分からないのだ。
しかし心の中では


(どうなってんのぉぉぉぉぉ!?アレぇぇぇぇぇぇ!?
というか、なんで皆自然に話してるの!?おかしいだろ!?あの目が濁って真っ白に近い顔立ちに小刻みに揺れる小さい身体、特にあの口調っーーー!声が変だろ!2重になって違和感あるし、片言だし、語尾が”デス”だぞ!?ーーーそれとも何か?アレが普通なのか!?アレがカイチョウさんの何時もの状態なのか!?・・・・いやいやいやいやいやっそれはそれでやっぱ変だろ!)  


絶賛混乱中であった。


(沙耶さんと同類って由香さんが言ってたけど・・・・・これはヘタしたらそれ以上かも知れ)
「イッケ!イッケ!莉・緒ちゃんっ!」
「・・・・。」
(・・・そうでもないか) 


結局似た者同士かと零は納得して、頭痛に襲われるのであった。




「行くっすよっ!」
「・・・倒すっ」


試合が開始しされ白熱する2人  


「イケぇーー!莉緒ちゃ〜〜〜ん!」
「先輩ファイトだ〜〜!」 


各チームの応援が聞こえる中、零は考える。


彼女は対戦チームである部活会委員長ーー愛佳と呼ばれる女子 
遅れて登場した彼女から、異質な気配を確かに零は感じ取った・・・・だがこれは


瘴気・・じゃない?)


彼女から感じるのは瘴気ではなかった・・・けどその正体は分からない。  


それともう一つ


(瘴気でないのは明らかだが・・・なんだ?この不快感は?) 


先程から彼女から感じる謎の気配ーーーそれは口では言い表せない程の不快な感覚である。


悪意・・とでも呼ぶべきか?) 


そう結論する零 


だが問題は 


(どうする?何かが取り憑いてるのは間違いないが) 


零は既に十中八九間違いなく彼女の中に新種の魔獣が寄生していると考えている。 


(明確な証拠はない・・・だが)


長年の経験が彼に教えているーーーあの中に自分が滅すべき対象・・・・・・がいると


しかし


(どうやって仕留める?)


この状況では、ヘタに動くのは、かえって危険な気がすると零は踏み止まっている。


そうこうしてる間に


「勝ったっす!」
「やったね莉緒ちゃん!」


1ゲーム目が終わったようだ。勝者は莉緒である。


「次はゼロ君だよ。」
「あ、ああ」


沙耶に促され卓球台へ向かう零 


対戦相手は勿論


「へへへっ勝負だれ「「ワタシガヤルデス」」へ?」 


なんと意気込む武に割り込み・・・愛佳が零と挑むこととなった。


「ちょっとぉ!会長何してんですか!?零はオレと」


当然、文句をいって台を譲ろうとしない武だが 
「カイチョウメイレイ・・・デス」」
「すまん零」 
「折れるのはやッ!」


愛佳の命令にあっさり引いてしまうのであった。


そんな光景を見て困惑する零 


(会長命令てそんなに凄いのか?ただのこどもの我が儘にしか思えないが・・・・けどこれで)


急展開であるが、零にとっては寧ろ好都合だ。
(上手くいけば、この場で自然に倒すことが出来るかもしれん!)


零が思い付いた策がーーー1つある。  
  

だがそれは


(この大会をぶち壊すことに繋がるなぁ・・・)


とても、スマートに終われそうにないと諦め風な溜息を吐く零・・・しかしそれもやむ負えない。


(これ以上学校を危険に晒す訳にはいかない・・・なにより)


彼の視界に映る女子ーー目が濁り、不健康そうに見える彼女・・・急がないと手遅れになるかも知れない。


(さっきよりも、少しばかり、白差が増してる気がすると・・・心なしか生気が薄まってる気が) 


彼女を見ている人達も少しずつではあるが、違和感を感じ始めている・・・あの沙耶も愛佳の表情を見て、不信感と心配の表情になって見守っている。


(心力の状態は平均女子と同じくらいだ・・・少なくとも喰われてる訳ではないな)


【詠み手】を使い彼女の体内心力を把握する零・・・平均と同じくらいと言ったが、僅かに揺れ・・を感じる・・・異能者特有の・・・・・・ 


覚醒・・してる?・・・いや体質か)


 異能者でなくても、中には心力を無意識的に動かす者・・・・・・・・・もいるのでそこまで驚かない零 
 

(チャンスは一度だな。)


考えてた手段が通じるのは恐らく一度きり・・・失敗すると強引に動かないといけない。


零はラケットを持ち彼女に近づく。
試合を始める前に互いにラケットを確認する時があるーーーー狙うならココ・・だ。


「「ヨロシク・・デス」」
「あぁ・・よろしく」


愛佳が手を出すとその手を握り答える零ーーーーこの瞬間零は動いた・・・・・・・・・ 


(【心衝】!)     


握った手から自身の心力を流しーー叩き押し込む。  


【心衝】  
相手に接触する事で、使用可能な心力技法
自身の心力を相手の体内に一気に流し内部の瘴気(もしくは心力)に衝撃を与える技
簡単に言えば、電気ショックーーー自作スタンガンとでも言ったところか 


これが零が考えた手
彼女と取り込んでいる魔獣を気絶もしくはショックで硬直させ移動させてるーーーその後人気の無いところで仕留める。
   

周囲には保健室連れて行くと言って足止め食らう前に素早く移動すれば・・・後は簡単だ。


凛もいる・・・・・・・ここまでくれば上手く誤魔化せるはずだ。


(その為にはーーーここで魔獣コイツを抑えねぇーーーーとっ!) 


流す心力の出力を今出せる・・・・最大値まで引き上げる。


 「「ーーーーーッ!」」


さすがに気付いたか、握った手を驚愕な顔で見た後、すぐに顔を上げ零を見る愛佳・・・いや魔獣が見ている・・・・・・・
だが既にグラついているーーー食らったのだ。 
(もう遅いーーー終いだ!)


勝利を確信した零であった。










「「ソウカーーーヤハリキサマガ『ーーーー』カ、デス」」   
 

そんな声が聞こえたと思ったらーーーー零の意識が途切れた・・・・・・・・・


変わらない決意へ続く。




おまけ 
こんな会話
英次「昔は零にもそんな風に話してたよね?」  
凛「・・・昔の話だ。」


英次「・・・・もしかして、あの時、零にツンケンしてたことーーーー気にしてるの?」


凛「ッ!」 


英次「僕として黒歴史アレ黒歴史アレでいい思い出だと」


凛「それ以上言ったらーーー凍りつかせますよ?その口を」 
英次「・・・・・難儀だね零 (ぼそ)」 


どうせ異能が使えれるなら時間を戻す異能が欲しかったと・・・・常々願っている凛であった・・・・時々昔の自分を思い出し悶えている。 

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