(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

招かねざる客

零が英次と話をしている時
同時刻校舎裏で 
「あ、あなた達」
佳奈は今校舎裏にやって来ていた。
昼休みの時間に入った頃に急にメールが来て、嫌な予感がありながらも指定された場所に着いてみるとーーーーーよく知る2人がいた。


「ヤッホー!佳奈〜♪」  
「ご無沙汰です。佳奈さん」 
「エリちゃん・・・レン君・・」  
最初に元気よく佳奈に挨拶してきた女の子ーーー篠崎しのざき 江梨えり
行儀良くお辞儀をして佳奈に敬語で話す男の子ーーー篠崎しのざき れん 
「な、なんでココ学校に?」 
「ふふッ♪来ちゃった♪」
「来ちゃった♪ーーーじゃなくてッ!」
ツッコミを入れてる佳奈の隣で蓮が申し訳なそうにしている。  
「済みません佳奈さん・・・・タカさんの指示で」   
「だろうね・・」
一瞬で納得する佳奈と理解が早くて助かる蓮であった。 
「本当に済みません」
「いいよいいよ、いつもの事だし」 
ハァ〜と溜息吐く二人 
「なによ2人して〜」
そんな2人を見て頰を膨らませる江梨
だが、そんな彼女を無視して頷き合う2人
(いつも済みません佳奈さん) 
(そっちも苦労してるね蓮君) 
そんなアイコンタクトをしてまた溜息を吐くのであった。
「なんなのよ〜〜〜〜!!!!」 
2人の溜息に憤慨する江梨である。




 

「それで?一体何しに来たの?」
昼の時間にも限りがあるんだ。
余りのんびりできないのである。
「ひど〜い!そんな言い方しなくたっていいでしょ?」
佳奈の言い方に少し不機嫌になる江梨をよそに蓮が説明し出す。
「例の新種がこの街に潜伏してないか調査しに来たんですよ。」
「え?そうなの?」 
「はい、この街以外の付近の街については、それぞれ近くのチームが対応してますが・・・・此処までは」
佳奈はここでしまった!と思った。
前日に零にこの街の対魔獣用のセキュリティについて聞かされてたが上司タカさんに報告するのを忘れていた。 
「そ・こ・で♪私たちの出番ってことよ佳奈」
そんな彼女を置いて江梨が蓮から引き続き説明する。
「本来であれば翔子さんが来るのが1番だと思いますが・・・」
例の新種を発見して交戦したのは翔子のチームだ。
彼女が担当するのがベストだと蓮は思っているのだが  
「・・・・翔子さんの所は今手が離せないね。」
と、言う佳奈の言葉にその通りだと頷く蓮
それが出来たらと今一番思っているのが翔子だと、この場の全員が思っているのである。 
「えぇ。それで翔子さんの次に交流があり、実力も・・・・それなりにですが・・ぼくたちが選べれました。」
最後の部分だけ言い辛そうにいう蓮に苦笑する佳奈
「相変わらず謙虚だね。」
「事実です。江梨はともかく、ぼくはまだまだです。」 
ハッキリ言う蓮に佳奈と江梨は呆れ顔になってしまう。
特に江梨は 
「ハァ・・本当ダメね蓮は」
と駄目だしする程だ。




しばし、そんな雑談が続いていると
不意に江梨が神妙な顔で佳奈に近づく
「ねぇ佳奈」
「うん?なに?」
急に接近して神妙な顔付きなる江梨に不審に思うが佳奈であるが、いつもの事だと解釈する。
一方江梨は、続けて質問しようとしているが、なんだか  蓮とは別の感情で言い辛そうにしているみたいである。  
「貴方って今ーーーーー【魔獣狩り】と一緒に行動してるのよね?」
「・・・そうだけど?」
「・・・・。」
「・・・江梨ちゃん?」 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソイツ・・男よね?」 
すっごい間の後、江梨がポツリと呟く。
「うん」  
「・・・・。」
佳奈の言葉に黙り込んで、目を瞑り何か考え込む江梨にさすがに変だと感じて、江梨に聞こうとする佳奈であるが 
「え、江梨ちゃ「佳奈」」
だがそんな彼女の声に重ねて江梨が口を開き、妙な事を佳奈に聞く。
「ソイツに変な事・・・・・・されて無いわよね?」 
「へ、変なこと?」
あまりに予想外な質問につい声がどもってしまう佳奈である。
彼女の反応に顔が凍り付く江梨
「ね!?何でそこで口がどもっちゃうの!?佳奈!?」   
「え、江梨ちゃん落ち着いて!」  
「佳奈って可愛いし天然だから心配なのよ!」
「天然!?」
「でッ!?どうなの!?佳奈!!」
「ちょっ」
「佳奈!!」
「落ち着いて江梨、佳奈さんが引いてるよ。」
何かヒステリックになりかけてる江梨とそんな彼女に若干引いる佳奈の間にさっきまで黙っていた蓮が割り込む。
「はっ!」
蓮に言われて正気に戻る江梨であるが、
「・・・・・。」
顔を真っ青にして自分を見ている佳奈を見て慌てて謝る江梨。
「ご、ごめんね佳奈!チョット興奮しちゃって!」 
「うん・・そっちも相変わらずだね・・」 
何処か諦めた様な顔で言う佳奈に今度は江梨が顔を真っ青にするのである。
「あーー!!ごめんなさい佳奈ーーーー!!!」 






「本当にどうしましょうか・・・・これから」       
助け舟のつもりで蓮が不意に質問するのだが、  
「ねぇ!お願いだからそんな顔しないで!!(涙目)」
「はははは、なに言ってるの?江梨ちゃん私たちは友達でしょ?(棒読み)」
「あ〜〜〜佳奈〜〜〜〜!!!ごめんなさ〜〜〜〜い!!!(号泣)」  




「・・・・。」
誰も聞いていなかった。
********
 零視点
英次のヤロー色々知ったかぶったセリフを言いやがって・・・
「ハァ〜」
考えててもしょうがない。    
みんなの所に戻るか・・・・む?
不意にポケットから振動が
メール・・・いや 
「電話か」 
誰かな〜?と携帯を見ると相手は
「・・・・。」
少し間を持ち、電話に出る。
「よぉー久しぶりだなーーーーリン・・
『お久しぶりです零さん』
少し口調が大人ぽくなったか?
以前はまだ子供ぽい口調だったが・・・てか相変わらず敬語か 
「敬語で話す事ねーぞリン」
『いえ、目上の人が相手ですので、そこはしっかりしないといけません。』
頑固なとこも相変わらずだな・・・ 
「元気そうだなぁ。」
『零さんもお元気そうで何よりです。』
口調は硬いが心なしか嬉しそうに聞こえるのは気のせいではないだろうな 
『英次さんから話は聞きました。』
「・・・・そうか悪いな」
後で何か礼をしないとな・・ 
『問題ありません・・・・そ、それで・・あの』 
「ん?」 
何かもごもご喋るリンにどうしたんだ?と思う俺 
『・・・その、ご、午後からそちらへ到着する予定だったのですが・・』
「ああ、そう聞いたぞ?」
それがどうしたんだ? 
『えーと・・・じ、実は・・ちょっ、ちょっとした手違いで・・・来ています。』
「・・・え?」
来ています?・・・・此処学校に? 
早くねーか? 
『ち、違うんです!別に待ちきれなくて来てしまった訳ではなくて、・・時計ーーそ!時計が壊れてて、時間がズレてしまって!』
なんか焦り出すリン・・・うむ  
『で、ですからあ、あの・・ご、ご迷惑だと思いますが・・・一度!説明も兼ねて・・・・おあいできにゃいでしょか!?』 




最後ら辺がカミカミになってしまっているが一応理解する俺だったので 
「良いぞ。」
と言い、答えることにした。
『あッ!ご迷惑でしららこっちも待機ちてーーーーふぇ?』 
「そうだな〜一度話でもするか・・・よし!リン!」
『ひゃっ、ひゃい!』
「学校にいるなら今から校舎裏に集まらねーか?彼処ならひと気も無いしよ。」
『わ、こ、コホンッ・・・分かりました。今から校舎裏へ向かいます。』
俺の言葉に一度咳払いをしてキチンとした口調で了承するリン
・・・・何か物足りないな  
「あぁ俺も向かうよ・・・・それとリン」
『?・・・はい』
「相変わらずーーーーー可愛いな」 
『へ?ふぇえええええええええええ!!?』
リンの驚き声で耳が潰れる前にピッと電話を切った。 
 「ウンウン良い反応ですな〜♪」
やっぱりアイツリンは弄ると面白いな〜♪ 
まぁ英次やスノウからやめなよって言われてるけどあんな可愛い反応をされては  
「これだからやめられないな」
ん?ドS?違う違うただ、後輩みたいな子を弄ってるだけだよ? 
「行くか」 
そう言って校舎裏へ向かった俺であった。 


********
校舎裏に来た俺であったが・・・どうやらリンはまだ来てな・・・ん? 
「何だ?・・・・リンか?」
異能者特有の気配がするからリンかと思ったが・・・違うみたいだ。  
「・・・・【詠み手】」
何だか嫌な予感がした俺は感知技法を気配があった場所に集中する。 
「数が3か」
複数感知した時点でおかしいな・・ 
感知技法【詠み手】 
異能者は感知技術を磨かなくても、瘴気を感知する事が出来るが異能ーーつまり心力の感知が出来ない。
いや正しくは感知する方法を知らないと言った方が正しい。
一般の異能者の恐らくほぼ全員が肌で瘴気を感じ取っている。
その結果瘴気の場合は違和感があっても、自分も体内に宿している心力については違和感が全く無いので感知が出来ない。(中には他者の心力に不快感を感じ取り、感知する人もいる。)
俺が今使っている【詠み手】は、簡単に言うと手繰り寄せる技法だ。
全身の感覚器官を使い、波の様に・・・・なっている心力・・・・・・・を引き寄せて感じ取っているのだ。
異能者が常時発している心力は一般人と違い波の様にうねっている。
使い慣れているせいなのだろう、その結果心力が異能者の動きに交応してるかの様に動くのだ。
俺はそれ・・を感覚的に感じ取り、異能者と一般人を区別している。(一般人の心力は全然動かないし放出されていない。中にはそんなタイプもいるが) 
他にも心力を温度・・として感じ取ったりする方法も一緒に使っているが 
まあ【詠み手】なんて呼ばれているが感知する方法は、これ以外にもあるがな。
トレーニングしていけば、手繰り寄せるという工程が自然に出来る様になるしな。
・・・・・・今度転校生にも教えようかな? 
それは置いといて
気配の内、1つはあの転校生で間違いないが・・・残りは知らんな(心力の動きには個人差があるため、それを覚えれば誰が誰なのか簡単に分かる。)   
「転校生も近くに居るが気配からして戦闘中ではないって事はーーーー四神の人間・・・・・か」
・・・少し様子でも見るか 
そう考えた俺は校舎裏で生えている木を壁にしてチラっと見てみる事にする。 




・・・・するとそこには 




「佳奈〜〜!!」
「あはははは」
「・・・・。」
慌てた様子で転校生に両肩を掴みブンブン前後に振っている女子と乾いた笑い声を出してされるがままの転校生   
そしてそれ見ながら手を顔に当てて、俯いてしまっている少年の3人がいた。
・・・・・。
・・・・・。
うん。
「何かカオスだな・・・見事に」
正直あんな場所に立ち入りたくないのが今の俺の心情である。
色々と聞いてみたいこともあるが、今は此処から離れるのが先だ。
「リンに連絡して場所変えないとな」
そう思って携帯を開きながら移動しようする俺であったが
ここでミスを犯した。
ここは周囲が多くの木で覆われている校舎裏で、現在天気が曇っているが・・・僅かに日が出ている。
その微かな光が多くの木を抜けて、俺が開いた携帯の画面に当たり反射して・・・・あ 
「だからお願いよ!佳奈ーーーッ!誰!?」 
転校生に掴んでいた女性がその光に気付き、その光が出ている方角ーーー俺の隠れ・・・・ている木の背後・・・・・・・
「やば」
どうにかして逃げようと思ったが既に手遅れの様だ。
「動くな!」
不意に女性の心力が高まるのを感じた。 
「隠れてないで出て来なさい!」 
・・・何時でも発動できるみたいだな 
「え、江梨ちゃんッ!」
そんな彼女に焦りの声を出す転校生と 
「何処?江梨」
何処か刃の様な鋭さを感じさせる声で江梨と呼ばれている女性に聞いている少年 
「彼処!」 
彼女が指差す先には・・・・俺はいますね。はい。
「完全に気付かれてるなぁ・・」 
身体強化の【武闘】を使えばこの場から離脱できると思うが 
「・・まあいいか」   
必要ないだろう。そもそもやましい事なんてないんだからよ。
そう考え着いた俺は木の陰から出て3人に近付く。
「・・誰アナタ?」 
「江梨ちょっと落ち着く。」
「泉君!?」
それぞれが別々の反応をする中、転校生は俺の顔を見て驚きの余り名前を口にする。  
「いずみくん?」
「あの佳奈さん・・知り合いですか?」 
戸惑ってしまう2人にあっ、と口元に手を当てる転校生  
「あ、え〜と」
額に汗を流し始める転校生を見て俺は思った。
・・・・この反応・・・・言ってなかったのか?
既に報告されていると思ってたがな・・・ちょっと意外・・・・でもないか、多分忘れてただけかも知れんし。
「佳奈?」
「佳奈さん?」
「ううう」
・・・・・仕方ない。
「あんまりそいつを攻めんなって」 
「「?」」 
「泉君?」
「と言うか知らないのか?」
「何が?」  
少し笑みを浮かべながら次のセリフを言う俺 
「俺がそいつ転校生と協力しているーーー異能使いだ・・・・・。」
「「ッ!!」」
「・・・・・。」
そんな俺の言葉暴露に驚きの顔する2人とポカ〜ンとした顔で目が点になってる転校生 
「い、異能使いってあの」
「貴方がそうなんですか?」 
「あぁ泉零ってんだ。そっちは?」 
続けて名前を明かす俺に更に驚く2人ーーー面白な兄妹か?どこか似てる気が     
「泉君!?!?」 
一方俺の暴露二連発に今度は目が飛び出そうになる転校生に俺は 
「別に隠すほどじゃ無いだろう?ーーーーーそっちも異能者同業者なんだしよ?」
ちょっとニヤけながら言う俺に転校生は顔からさっきまでとは違う汗を掻きだしてる・・・呼吸が荒いぞ?  


お話という名の尋問へ続く。


おまけ
由香「次はいよいよ委員会戦だね?」
比奈「そうね・・・修羅場になるだろうね。」
由香「うん?」
比奈「ううん何でも、それより聞いた?レイ君所のC組、リオのトコのB組に勝ったんだって?」
由香「うん知ってる!私は見てなかったけど凄かったらしいよ?」
比奈「うんうんそうみたいだよ・・・・・・・・・特にリオとレイ君との戦いがね(ボソ)」
由香「え?なに?」
比奈「ううん何でもないから(今度これをネタにあの子をイジろうかな?♪)」 


*後日、莉緒の一件をネタにこき使われる零であるがそれはまだ先の話である。   
 


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