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(旧)こっそり守る苦労人

ルド@

いつもの生活 前編

──チリチリチリチリッ!


ベットの上で爆睡する俺の耳に耳障りなアレの音が聴こえる。……き、煩いぃ。


「うむ……朝か」


眠いけど嫌々目を開く。傍に置いていた目覚まし時計が『チリチリチリチリッ!』と自己主張している。起床時刻を示して俺に「さっさと起きなベイビー?」と告げていた。……キザっぽくてなんか腹立つ!


「ってなに目覚まし時計に敵意向けてんだ俺は」


ボケているのか、思わず顔に手を当てる。2つ下の妹に見られたら何言われるか。……たぶん心配されて休まされて、親にバレて知り合いにバレて精神科に連れて行かれるか、死ぬほど爆笑されてしばらくネタにされるだろうな。


しかし、朝は眠いんだよ、俺夜行性だから(自称)。
いや、言いたいことも分かるよ? 「ようやく出番が来たのになに寝落ち宣言してんだ」って言いたいんだろ? 分かるよ? 
けどね、俺こといずみれいっていう主人公は、基本夜しか活躍の場がないナイトヒーローな───チリチリチリチリッ! 


「……」 


チリチリチリチリチリチリ───カチッ! 


…………諦めました。


止めない限りエンドレスで鳴り響いて、このくだり・・・・・も終わりそうにないので目覚まし時計を切る。……腹いせに電池も抜いてごみ箱に放り捨てる。なかなかのコントロールで離れていたゴミ箱にナイスシュートした。……ちなみに夜には回収しました。


「う〜〜! ……やっぱ眠い」


やっぱり二度寝しようかなぁ? と8割ほど本気で考えてしまう。
だが、そこへ一足早く起床していた愛しの妹マイシスターからお呼び出しが掛かった。


「兄さん〜? 朝ですよ〜? 朝食ですよ〜? 寝坊しますよ〜? 起きてくださぁーい」
「1分で降ります!」
 

寝ぼけていた思考が一瞬で晴れた!
下の階からボイスが聞こえたので眠気も覚めたぜ! 起きると何処かの怪盗のモンキーのように一瞬で制服に着替えてみせた!


え、二度寝? ナニソレ? オイシイノ? 
『妹1番』な俺にとって全てのことなど二の次なのだ!
……なんだかんだ言って3分くらい掛かったけど。




*******




身だしなみを整えて下の階へ降りる。
リビングに入るとキッチンで妹様が制服姿にエプロンでご降臨していらっしゃる! おお! あなたは何処の天使様ですか?(注意:主人公の妹で人間です)
ああ、さっきの目覚ましとの死闘? で受けた心の傷が癒されるぅ……! まさかあなたは聖女様でしたか!?(注意:いいえ、ただの妹です)


「おはようございます、兄さん」
「おはよう」


うん、天使の微笑みがより癒しとなる。


───いずみ 葵あおい
薄めの茶髪ロングで両端のリボンが特徴。2つ年下で兄の俺が言うのもなんだが……美少女だっ!
まだ中学2年生でスタイル的にはまだ発展途上であるが、後2〜3年も経てば……ゴクリン・・・・。 


「はい、兄さん。こちらは出来立てですよ」


「う、うむ……」


いつも通りの朝(目覚まし時計:マイナス100点・愛妹のモーニングコール:プラス1000点)。
いつも通りの可愛い妹の笑顔(プラス2000点オーバー!!)。
可愛らしいエプロンに大変お似合いな気品ある制服姿(お嬢様中学校の制服)、2つが合体した見事な『神の装備』となっている。な、なんて戦闘力だ、もう点数なんて付けらないわ!?


まぁ、ここまでなら最高なんですけどね。


「……」


「? 兄さん?」


そして、いつも通りの食卓。
お嫁さんスタイルな妹様がより輝く光景である。


……ただ。
……ああ、相変わらず料理だけは───。


「兄さん? いま何か変なこと考えましたね・・・・・・?」 


うん、天使様がジト目サイコー!
……ていうのは冗談です。葵さん決め付け怖いですよ?


「そんな訳無いだろう? ……葵さんや」
さん・・?」
「あ、葵っ!」
「男らしく言ってなんですか? 格好良いですよ兄さん?」 
「いや、言ってみただけです。だから可愛らしく小首傾げないでっ!」 


純粋無垢な瞳が脆い心を抉ってくる!
年々大人びている反面、汚れてない瞳に安堵するけど見つめられると自分が汚れている気がして辛い! ……汚れてないよね? お兄ちゃん大丈夫だよね?


「大丈夫だと思いますよ?」


「平然と兄の心読まないで」


「『読心』も兄を想う妹の必須スキルですよ?」


気遣いも出来た素晴らしい妹だけど、時々お兄ちゃんの常識を超えたスペックを隠し持ってるからお兄ちゃん戸惑ってしまう。
さらにお嬢様学園に入っているため凄く礼儀正しい。頭も良く運動神経も抜群で学校では生徒会長を務めるほど。 
知り合いの親友? からは「本当にお前の妹か?」と冗談抜きの真顔よく尋ねられるが、俺も時々疑ってしまう。 あと『親友?』の部分ついては触れなくていい。


しかし、残念と言うべきか義理ということはない。確認しましたから(号泣)!!


……べ、別に怪しいことはしてないぞ! ちょっと合法的な確認をしただけで! ただ、一時期「───まさかっ!?」と思うことがあって、その……、それとな〜くではあるが、調べてみたのである…………あははははっ!(汗)


ちゃんと血の繋がった妹でした。……きっ!(悔涙)


まぁ、とにかく俺には勿体ない妹です。葵は基本何でも出来る万能者だ。勉強は既に高校レベルに達している上、運動神経も抜群でまさに超人である。……ただ、料理に関してだけは呪いと言ってもいいくらい、負の根源を印象させる……。


「む! また兄さんから変なオーラ・・・・・を感じましたが?」
「いやいや、またって何も変なことなんて……え、オーラ? 何それ?」
「兄さんがおかしなことを考えると出てくるオーラです。学校では『帝王学』『冥土学』『覇王学』などのカリキュラムが存在しますが、人を操……導く『帝王学』の授業には『読心術』がありそれと一緒に見極める技術も受けてるんです。……ですから私にはそれが見えるんですよ?(ドヤ顔)」
「……」


何それ? 怖いんだけど。
時々お兄ちゃんでも理解できないこと言い出すことがあるけど、全部怪しげマックスのカリキュラムの所為か!? 自慢気でドヤ顔な妹には悪いがドン引きだよ!
ていうか『冥土学』とか『覇王学』って何!? ……受けさせる学校、お兄ちゃん間違えたかな? 純粋な妹が年々変なスキルを習得して行っているよ。


「あっいけません! 早くしないと遅刻しますよ、兄さん」 
「あ、うん、確かに……急ぐか」 


悩みの種が大量が芽吹いて頭抱えたくなる中、気が付いたら時間が無くなっていた。正直すぐに家族会議すべき問題ではないかと思うが、本人が満足しているなら良いのか? うん、良しとしておこう。


さて、パッパと済ませますかぁー。




5分で済ませました。感想? オイシカッタヨ??




******




「じゃあ、兄さん。私はこちらなので」
「ああ、気を付けてな」


妹の学園は俺の学校とは反対方向なので途中で別れる。
歩いて行く妹に手を振って送ると、自分もまた学校を目指し……走った。
距離的にこっちの方が遠かったのさ。


「うっうっ目、めまいが……」 


ただ間に合うかどうかは、体を巡る毒の具合次第ですが。
あ、相変わらず葵の料理は謎めいているな。……恐るべし『愛妹料理』ならぬ『曖昧料理』! ……あ、やべぇ、つまらんボケが出てきた。脳にまで異常が……!


いっそのこと倒れてしまば? なんて天のお声が聞こえた気がしたが、どうにか体勢を立て直す。フラつきながらではあるが、気力を振り絞って学校へ向かった。




******




ゲホ、ギリギリセーーーーフッ!  
息切れです! 誰か酸素プリーズ!
た、体力には自信がある方だが、教室に着いた頃には酸欠状態で倒れかけていた。


「よっ! 零。いつも通りだが……遅かったなぁ」
「……うっさい」


出て来ましたよ、鬱陶しい奴が。
この疲れている時に一番会いたくない奴。だが、クラスが一緒なので諦めるしかない……くう! おのれぇ……! たけしの分際で!


「もう少し余裕を持って来たらどうなんだ? 毎回これだとシンドイだけだぞ」 
「ふふふふっ俺には使命がある。絶対的に優先的に森羅万象的に、兄としての……使命があるのさ」  
「いや意味分かんねーよ。不敵な笑みで何そのとんでもない理論は。森羅万象的って何? お前はこの世のことわりを全て知ってんの? 単純にシスコンってだけだろ」
「俺はただ兄として妹を見守っていきたんだ! 親が海外だから俺しかいないんだよ」 
「零……」
「だからこそ、この世の全てを支配することで、妹を悪い虫から守るのさ! 害虫は全部駆除だ!」
「やっぱりただのシスコンでしかないっ! しかも重度のシスコンだったとか超怖えぇー!!」  


なんか武の奴がさっきからうるさいなぁ。「何とかしないと!」とか「どうしたらいいんだ!?」とか意味の分からんことを言っているが、まぁ気にする必要もないか。


「いや気にしろよっ! お前の問題だぞっ! このシスコンが!」


って、自然と割り込んでくるなぁ。こいつも読心術使いか?


まったくこいつ……紹介が遅れたが、石井いしい たけし
紹介したくもないが、中学時代からの腐れ縁で残念ながら高校も同じでクラスも同じで毎回絡んで来るツッコミ病な暑苦しいキャラ。


「オイ、待てやコラ! 何か今、引っ掛かるモノローグが聞こえたぞ! 誰がツッコミ病だ!?」


だから割り込むなって……、とりあえずこの学校では何人か中学時代の同級生や先輩がいる。こんな面倒なタイプが何人居ても困るけどな。癖の強い連中が多すぎってどんだ学校だよ!
このクラスでもあと3人ほどいるが、そっちついてはまた後程。


キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン


「ッ、ヤバ! 早く座らねぇと!」
「オイ!? まだ話が!」
「おーい、いま席に座ってない奴は欠席扱いにするぞ〜?」 


のんびりとした様子で先生が教室に入って来る。
視線を向けられる前には既に座っている。ふっ流石俺だ……ん? 


「おい武、早く座れよ。朝っぱらから先生を待たせるなって」
「誰のせいだぁぁぁぁぁぁ!!」 


さてさて本日も始めますか。 
先生、出欠お願いしまーす!


「勝手に話を進めるなああああ!!」 


なんか武が叫んでいる。
まあいつものことか、アイツが珍妙なことするのは。  
クラスメイトどころか先生すらリアクションゼロ。武が残念キャラなのは教室どころか学年の共通認識であった。


「え、そうなの?」
「「「……」」」


呆然と周囲に尋ねるが、誰も答えることはなかった。
……教室の沈黙が重いなぁ。




****** 




午前の授業が終わり、昼食の時間になりました。
え、じゅぎょうないよう? 爆睡するしかなかったから覚えないけど。


「それで質問されたら平然と答えるもんな。……チートだろ」


なんって武が言っている失敬な奴だ。
無視して机の上に妹の手作り弁当・・・・・・・を置く。
静かに目を瞑って祈りを捧げる。意味ないけど。


『にいさぁーん』(エプロン姿な妹様)


「……」
「どうした零?」 
「いや何でもない」


今なにか背筋に悪寒が。素晴らしい光景が見えた筈なのに。  


「ふーん? ───にしてもよく食べれるな? それ・・」 


購買の焼きそばパンを食いながら、武の奴が弁当を覗いて来た。て、キサマァァァァァァァ!! 俺がたった今忘れようとしてた現実を・・・


*弁当の中身については一切表現しない。しないったらしない!


「ふ、ふっ! 妹からの愛妻弁当だからな! 俺にとっては、一番の至福の時なんだ!」   


「なんでツンデレみたいに言う……流石シスコン。明らかに無理してんのに」 


感心したような顔で頷く武。……ふっ。 


「食べないと葵が泣くんだよぉ(虚無)」 
「……大変だな兄も(涙目)」
「お前もな弟よ(涙目)」


あの人・・・の弟とか、絶対無理だな。
可哀想過ぎるわ、色んな意味で。俺も余程のことがない限り会いたくないな。やり難い相手だから。


「そういやぁー姉貴から伝言。放課後に生徒会室へ来て欲しいとさ」  
「……マジ」
「ああ」
「……」
「夢じゃないぞ?」 


のようだな……オワッタ。
どうやら俺の苦難は弁当だけではないらしい。
まったく困った話だぜ!


「ああ、本当に困った話だ。シスコンがここまで行くともう致命的だ」


呆れた顔で武が何か言っていたが、弁当を口に入れている俺は……何も言えんかった。




******




午後の授業もあっという間に終わる。内容? 間違っている箇所を指摘したら諦めてくれた。大人気ないとか苦笑いで武が言っていたが、教師の方が大人ですよ?


で、そんなどうでもいい時間を過ごして、俺は生徒会室の前まで来ている。いや、来てしまった……! 


「遅いよ、零くん!」  


生徒会室に入ると1人の女子生徒が待ち構えている。膨れた顔で到着が遅かった俺にプンプンと怒っていた。ご立腹のご様子だよ、この女神様は。  


「すみません、由香ゆかさん。遅くなりました」 
「もう! しょうがないなぁ!」


どうやら許してくれたらしい。おお、なんて御心が広い女神様だ。
石井いしい由香ゆか。2年生で生徒会副会長を務めている。同じクラスの武の姉で中学時代からの知り合い。お姉さんキャラで世話付きな人だけど、同じくらい昔から色々と付き合わされてきた(主に面倒ごと全般)。


「む、何か変なこと考えてたでしょう」
「そ、そんなことないですよぉ〜?」 
「零くん、私の直感を舐めない方がいいよ?(ジト〜〜〜)」   


う、ジト目で攻めて来たよ、この女神さん!
ていうか何で俺の身近にいる奴らは、どいつもこいつも人の思考が読めるんだ!? エスパーか、何かか!?
いや、それはないか……逆に気付く・・・


「どうかしたの?」
「いえ……で、用件は何です? 他の方々は居ないようですが?」 


何故かいつも面子が居ないので訊いてみる。女性が多いから対応に困るけど、1人も居ないとこの人を1人で対応しないといけないから、別の意味で大変なんだが。


「あー……沙耶さやちゃんは教員の人達と会議中。他は風紀委員の人達と一緒に学校周辺を巡回中・・・だよ」
「巡回? 何かあったんですか?」


前半はともかく後半はちょっと引っ掛かった。『巡回』とは穏やかではないな。歯切れも悪いし、頰をかいて言い辛そうにしている。


こういう時はよく勘が働く。いわゆるイヤな予感が。    


「実は最近、学校付近で連続で行方不明事件が起きてるの」


的中した。しかも事件とは。 


「行方不明ですか……いよいよ穏やかな話ではなくなりましたね」 


少々厄介ごとレベルではないな。なんて言えばいいか分からず、困った顔で由香さんを見る。  


「うーん、そうなんだけどね」 


何故か難しい顔で考え込んでいる。何か思うところがあるのか?


「実は事件とは言ったけど、事件性が薄そうなの」 
「どういうことです? 行方不明なら警察とかが動くのでは?」


話を聞く限り十分事件性があると思うが、由香さんは首を横に振り何処か悔しそうにして続けた。


「その警察機関様は「事件性は薄そうだ」って言ったの。約3週間で10人ぐらい行方不明になってるんだけど、街の監視カメラを調べたら他の行方不明の人達とバッチリ映っていたらしくて……。集団による家出の可能性が高いと言うのが警察の結論なの。しかも全員学生らしいから……その」


「家出も珍しくないんだって?」と続けて言う。
しかし、悔しそうに言う由香さんの他所に俺は静かに思考を巡らせていた。  


「……」


……まさか、だが可能性はある。
取り敢えず学校帰りにでも、あそこに行って情報がないか訊くか。話を聞きながら色んな可能性を頭に浮かべて、頭の中で今後のプランを練っていた。


「ただ保護者にしては心配でしょうがないから、警察に届け出はしてるようだけど、家出だから……探すのは難し……ってどうしたの零くん?」
「いえ、ちょっと」


む、表情に少し出てたか? 心配そうな顔がこっちに……気を付けないとな。変に怪しまれても困るので話を進めることにした。


「それで話を戻しますが、俺を呼んだのはどういう用件で?」
「あっ、忘れてた」 


忘れちゃってたかぁー。予想はしてたけど。
言われて思い出したか、こちらの様子を窺いながら話し出す。……あ、また嫌な予感が。


「あのね? まだうちの学校ではそう言った事件は起きてないけど、付近の学校は既に何人か行方が分からないみたい。だから私達生徒会と風紀委員会は、事件性があると考えた上で、しばらくは学校周辺の巡回を行なうことにしました」


後半は副会長モードで説明する由香さん。だから巡回しているのかと納得しつつ、彼女の考えに俺も賛同する。警察では事件性はないと判断されたが、周辺で10数人が行方不明。学校側として警戒するのも分かる。


しかし、問題は俺に何をさせるかだ。
まぁ、ある程度検討は付くが、視線で促してみると。


「で?」
「……(チラ)」
「……俺も手伝えと? その巡回を?」 


うわ、上目遣いで頷いて来た! きたないなぁ〜。
何で毎回なのかと言いたい。ていうか一学生でしかない俺が対応出来るレベルかとも言いたいが、さすがにそこまで希望している訳ではないだろう。要するに信頼出来て戦闘方面・・・・で頼れる人材が欲しいんだろう。生徒会も風紀委員会にも戦闘キャラ結構いるけど。


「あははは……やっぱりダメかな?」


普通にダメでしょう。と言いたいが、ちゃんとしたアテがあるなら最初から頼まないよな。学校側が非協力的である証拠だな。役員ことしか言わなかったから、恐らく自主的な活動であるのだろう。普通なら認められないかも知れないが、学校対生徒会と風紀委員会で妥協し合った結果ということか。


実際かなり無理がある。だから若干俯き加減で由香さんも言っている。……はぁ、そんな風にされたら折れるしかないじゃん。


「軽く見回るだけなら」 


どっちにしても俺も動くからな。いざという時の口実として使えるなら寧ろ有り難い。そういうことにして納得することにした。無理矢理。 


「───っ! う、うん! ありがと零く〜〜んっ!!」ハグ〜〜〜!
「ッ! おわっ!?」ヒョイッ!


「「……」」


「何で避けるの!? お姉さんからの優しい抱擁ほうように何か不満があるの!?」 
「前から言ってますが、抱き付くのは勘弁してくださいよ、マジで(汗)」 


ヒヤヒヤしたよ! 俺が抱擁を避けたことでまたプンスカ怒っているけど、俺の気持ちも分かってほしい……! ただただ切実にぃ……! 


「も〜〜〜! 何で駄目なの!? 何が嫌なの!?」
「なんでもですっ!」


あなたね? もっと自分の容姿を考えて行動しなさいよ! 一般の女子と比べるとずっーーーと上級者なんだよ、あなたは。
高校生とは思えない男女魅了させる顔立ちと、出ているところは出ている体つき。あと細い腰から下の脚までのライン…………トンデモナイカラダノモチヌシダ……!  
流石は全学年の男子総合の美少女ランキング(非公式)トップ!! 2位が見た目だけは美女な宇宙人会長だけど。中身が残念だからよく3位とか4位に繰り下がるらしいけど。


「ブゥ〜!」


納得がいかないのか膨れっ面だ。いや、アカンよ由香さん、それだど完全にブタさんですから。ファンな男子達が見たら卒倒するから。俺が悪者になるからマジでやめてね?
ホント見た目はすっごい美人なんだがなぁ。沙耶さやさんも見た目・・・は超が付く美人だけど中身が宇宙人過ぎる。


アレに惚れたら負けだと思います! なんかウチのクラスの美希みきが何度も羨ましいそうに見て……時々、机に伏せて泣いてたなぁ。ああ、なぜに天は平等に美女を生み出さないのか。ロリ枠はさすがに不憫だろ。
 

「とにかく! もう中学生じゃないんですから、もと慎みを持つべきです! あんまりあれだと勘違いしますよ!」 
「……勘違いしてくれていいのに(ボソ)」
「……」


……生憎と俺は鈍感ではない。
彼女が俺に対して友達以上の気持ちがあるのは、なんとなくだが……分かる。……いや……知ってしまった。
……だが。 


「学校周辺を軽く見回るだけでいいですか?」


それは駄目だ。
最悪の場合、彼女だけでなく周りの人達にまで被害が出る可能性がある。……それに今は恋愛なんて、とても考えられない。


「う、うん、それだけで十分だよ……?」
「了解です」


先程と変わらず接する俺に戸惑う由香さん。聞かれたと思って身構えてたんだな。ホントに申し訳ない。


「ごめんね零くん」
「いいですよ。困ってたらお互い様です」


由香さんが謝る理由なんてない。多分この人なりに考えたんだ結果だ。
事件性が薄いから警察は相手にしてくれない。風紀委員会の委員長とは、友達同士だから話を聞いて貰えたが、学校側はそうはいかなかった。沙耶さんが学校側と話合ってるみたいだが、恐らく厳しい。


そして、風紀委員会も生徒会も常に全員動けるわけではない。
そうなっては由香さんが頼よる人材なんて……俺しかいないか。
実は適材適所と言っていいかも知れないが、さすがにそれは言うと由香さんが本当に怒るので間違っても口にはしない。


「いつも部外者の零くんに頼ってると思うと……申し訳なくて」
「いいですってば。こっちもいつもお世話になってますから、これぐらいは余裕です」


そうだ、この言葉に嘘なんてない。いつも無茶振りばかりで大変だが、それと会いたくない理由は違う。


……会いたくないのは、彼女に対して後ろめたさだ。……そして、答えてやれない自分自身。


「ありがとね零くん」
「いえいえ」


ホント自分が嫌になる。何故、彼女達は俺みたいな人間に……。
らしくなく暗い気分になる。せめて顔は笑顔でいようと、作り笑みを浮かべようとするが。


「あっそうだ! 今度、お礼にお姉さん特製のお弁当を作ってあげるから、零くんの好きな物を全部教えてね?」
「それも、勘弁してください!」


閃いたみたいに言うけど、それはもう罰ゲームですよ? 
妹と同じで万能タイプな由香さん。ただ、これも呪いなのか料理に関してだけは、妹といい勝負で、子供の頃は武の奴がよく死に目に合っていたとか(汗)。


ちなみに石井家では武が作っている。自分の昼飯は作るのが面倒とのことで、本人は購買か食堂で食べていることが多いが。




*********




同時刻、人気のない街中。


『……』


そのモノは、突然現れた。
辺りを見渡して探す。


『ウゥウゥ……』


自身の獲物を───探す。




“いつもの生活” 後編へ続く。






おまけ───『とあるお嬢様学園』


葵「皆さん、ごきげんよう」


生徒「「「ごきげんよう、会長」」」


舞「あっ、葵ちゃんおはよう!」


凛「こら、舞! きちんと挨拶しないか! ……葵会長ごきげんよう!」


葵「はい、まいさん、りんさん、ごきげんよう」


舞「ブ〜凛ちゃんは固過ぎるんだよ〜!」


凛「お前が緩過ぎなんだ!」


葵「まぁまぁ、凛さんそのぐらいで」


舞「葵ちゃんはやっさしい〜!」ダキッ!


葵「ギュむっ! く、苦しいです舞さん」


凛「コラ! 離れないか舞!」バシッ!


葵「っぶは〜! 苦しかったです」


舞「えへへゴメンね?」


凛「まったくお前は、なぜ毎回毎回会長に抱き付くんだ」


舞「だって〜抱き心地が最高なんだも〜ん」


凛「だからと言っていきなり抱き付く奴があるか!」


舞「う〜ん、そうだね。ホントごめんね?」


葵「いいんですよ。でも、そんなに良いんですか? 自分では分かりませんが」


舞「うん! 男ならイチコロだね!」ニヤニヤ


葵「そうですか……」メラッ!


舞・凛「「───!?」」ビクッ!?


葵「どうかしましたか?」


凛「いっいえ、何でもありません(汗)」


舞「うっうん! 何でもないよ葵ちゃん!(汗)」


葵「そうですか」ニコリ


舞・凛「「……」」


葵「では、行きましょう」


舞・葵「「は、はい!(よく分からないけど、時々会長・葵ちゃんが怖い!!」」






おまけ───『とある教室』


武「はぁー、零の奴大丈夫か?」


美希「うん? なんじゃ武よ」


武「美希、いやチョットな……(こいつに話すと面倒くさそうだから黙ってよう)」


美希「うむ、そうか。……ところで零の奴は何処じゃ? 一緒じゃないのか?」


武「なんか野暮用らしいぞ(こう言うしかない、お願い気付かないで!)」


美希「…………生徒会・・・(ボソ)」


武「ッ!?(ヒッ!?)」


美希「ふふふ……そうか、やはりそうか! ……おのれ、何故いつも奴のところなのじゃ!?」


武「あ〜……姉貴からの頼みごとらしい、いつもの」


美希「それが納得イカンのじゃ! 毎回毎回! 零は生徒会ではないじゃろ!? 職権濫用ではないか!」


武「いやーまぁ仕方ないって、姉貴の頼みだ。あいつも断り辛いのさ(いろいろ思うことがあるだろうしな)」


美希「断り辛いこと……ハッ! 胸か!? 胸に引っ掛かったのじゃな!? おのれ〜〜! あのデカ乳めぇ……!」


武「いや、それは違うと思……」


美希「間違いない! あの胸じゃな! クッ〜〜!」


武「お、おい、聞いてる? 美希さんや(汗)」


美希「そう言えばあそこの会長・・も胸が大きかったな! 他の面々も巨乳が多いし、やはり原因は胸か!」


武「だから落ち着けって! 美希さんよ!」


美希「誰が落ちた胸じゃ〜!!」空中回し蹴り!!


武「や、そんなこと言ってな───ぶはッ!?」


ドンッ!! 
バタン、キュン……


美希「はぁはぁ……」


クラスメイト「「「「(怖〜〜!!)」」」」


美希「ふん……!」


一部男子「「「(けど、スカートの中がチラッと見え───)」」」


美希「見・た・な」ギロッン!!


一部男子「「「(ひぃ〜!?)」」」ガタガタッ!


*翌日、クラスの男子の大半が、昨日の記憶を失っていたそうだ。





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