オリジナルマスター
第2話 楽しむ。
(ありえない……ありえない!)
珍しく激しく動揺している自分を必死に抑えながら、ジークは思考を回していた。
(まさかそこを見破ってくるとは……しかも結構的確だし)
今ジークの体────というより魔力体は、その力を抑えるために、とある魔法を何重にも掛けて縛りあげているのだ。
ガーデニアンが視えたのは、おそらくその巻きついてる鎖の方であろう。
その結果、普段以上に制限が枷られた魔力、これがジークが考えた予選会、そして大会に向けての対策なのであった。
暴走しかねない魔力を抑える為、更に魔力の加減をつけ易くする為に彼が用意したのだ。
それが今、ガーデニアンの手によって完全に看破されようとしていた。
(ヤバいな。最悪、対戦する生徒にはバレてもかまないと思って付けたんだが……)
学生レベルの洞察眼なら、魔法の正体までは看破されないと踏んでいたジーク。
当然、その相手の中には目の前の教師は含まれていない。
別にルール違反でもないので、問題がないように思えるが、問題は掛けた魔法にあるのだ。
まず抑制しているレベルだ。今ガーデニアンが口にしたように、現在ジークの魔力体には尋常ではないレベルの魔力抑制の縛りがガッチガッチに掛けられているのだ。
この時点で既にバレると面倒なのであるが、ここに関しては最悪バレてもはぐらかせばいいと思っていたジーク。
だが、ここでさらなる問題があった。
(どうせバレても、魔法の種類は分からないと思って『行動禁止』を選んじゃったよ……!)
このぐらいの目立たない魔法なら通常魔法とオリジナル魔法の区別など付かないと判断してしまったジークは、【無属性】のオリジナル魔法『行動禁止』を選択してしまったのだ。
これは捕縛系の魔法であるが、同時に封印系の魔法でもある。
対象の体を見えない鎖で縛るのだが、魔力体も縛ることができ、魔力を抑えることが出来るのだ。
この能力を利用してジークは、動きを縛る方には力を入れず、魔力体を抑えることのみに能力を集中させている。
(マズイぞ。もし魔力の方も的確に感じ取れると、このハゲなら魔力の感じから、オリジナルだって気付くかもしれない)
ガーデニアンは元王宮直轄の魔導師であったのだ。油断ならない人物。ジークは常に警戒していたつもりであったが。
(っ、この人の言う通り迂闊過ぎた!)
さすが警戒が緩すぎたのだ。ジークは目先のことにしか目がいっておらず、普段の隠していた部分をガーデニアンの前で晒してしまった。
(けど、どうやって気づいた? 昔ならともかく今の俺の魔力────で出来た鎖を。ちゃんと見分けるのは、かなり困難は筈だが)
動揺のせいか、ついつい思考が迷走してしまいそうになるジーク。
だがそれは無理もないことあろう。
ジークの宿す魔力の影響で発動される発動される魔法は全部感知が難しくなり、魔力気配無しのような魔法に変わるのだ。
それが的確に見破られてしまったとなれば、今後の活動に支障が出かないと危機感を覚えているのである。
「どうやら知らんかったようじゃのう」
「……なにをですか」
ジークが目を白黒させて困惑していると、ふいにガーデニアンが苦笑気味に口を開いた。
「相手の魔力を認識する際、魔法師は五感のどれか一つを扱って感知している。その器官を極限まで鍛え極めれば、遠くにある魔力から微かな魔力、或いは異次元の領域に存在する魔力まで感知することが可能になるのだ」
「なにが言いたいんですか」
含みのあるガーデニアンの言い回しに、内心冷や汗をかきながらジークは口にする。
すると真剣な表情で、射抜くような眼差しとなったガーデニアンが、ジークにだけ聞こるように彼に告げた。
「ワシの場合、一番得意とする感知方法は目じゃ。……ワシの眼には、ぬしの身体巻き付く魔力の鎖が視える」
「ッ!」
「前にも言ったじゃろう。ワシはグラサンだが、人を視る目はあるとな」
ガーデニアンの話を聞いたジークは。
「……」
先ほど以上に激しく動揺するのかと思われたが、その心情は思ったより穏やかであった。
(嘘をついてるようには見ないが、鍛えたからってそんな簡単に感じ取れるものなのか? ────いや、相手は《老魔導師》だしな、可能なのかもしれない。……油断し過ぎた俺の落ち度ってわけか)
いくら反省を口にしても足りない。
そして先ほどの試合以上の疲労感を身に感じる中、ガーデニアンが得意げな表情で話を続ける。
「前から違和感は感じていたが、さっきの模擬戦、そして今纏っている鎖の魔力を視て確信が持てたわ」
「確信?」
「随分変わった魔力だのう? ──────鎖は無属性で間違いないが、それは表だけだけ─────唯のメッキじゃ。本命はさらに奥に隠れておるの?」
「……ほう?」
それはオリジナルがバレた程度の問題ではなかった。
(間違いない……。完全に視えてるよこの老師)
シャリアでもクーでも出来なかったジークの魔力の根源を。
ガーデニアンがその一端を触れた事実にジークは信じられない気持ちであった。
だが、同時に認めたのだ。ガーデニアンという魔導師の才を。
その証拠に心の中でもガーデニアンのことをハゲ呼ばわりしていたのが、真の敬意を込めた《老師》へと変わっていた。
(本当に大したもんだよ。この魔力は同列の存在でもなければ、完全には認識するのはできない筈なのに)
ジークが今発動させ纏わせている鎖は確かに無属性だ。
だが、それはジークが持つ魔力を無属性として適用させたからだ。
これはジークの魔力。異質が持つ能力の一つである。
彼の魔力はこの世の全て、ありとあらゆる種類の属性の代わりとなって、それに適した波長に変化して使用することが出来る。
────無属性の魔法なら無属性の波長へ。
────火属性なら火属性の波長へ。
それは派生属性でも同じ、彼の魔力は全てに適応させ掌握してしまうのだ。
(まあそれでも苦手な属性とかもあるし、使え難い魔法もあるけどな)
何よりこの能力は放出する魔力量とその濃度によって、効果の大小が決まる。
使用する魔力量が少量であれば、効果は乏しいのである。
(言い方によっては最強ぽいけど、実は結構危険な代物を体に入れ込んでるだ……)
彼が身に宿す魔力は、彼以外が宿す魔力と全く次元が違う存在なのである。故にソレを認識することは困難であり、たとえ出来ても掴み取れず、判断がつかず、どれだけ分析して正体を突き止められないのだ。
この世界に存在する全ての魔力の頂点に君臨する異質な存在なのだ。
(あの魔眼持ちのカムさんでも、その事態を掴むのにすごい苦労してたしね)
その昔、師匠の仲間に散々調べてもらったジークだが、ほとんど進展せず、数年かけても未だに謎のままな箇所も多々あったのだ。
そんな彼の魔力を僅かであれ見極めた、ガーデニアンの感知能力にジークは恐ろしく思ったが、決してと不快感とはならず、。
(俺の知る限り、俺の魔力をここまでハッキリ感じ取れたのは、これで3人目だな。……この《老師》やっぱり相当出来るのか)
ジークなりの尊敬の念をガーデニアンに込めながら、色々とバレることを覚悟して、彼の言葉に引き続き耳を傾けることにした。
───ところが
「それでスカルスよ。次の試合もあの戦法で戦うつもりか?」
と全く関係のない話に転換されていた。
「……え、しあい?」
思わぬ質問に惚けた顔で呟いたジーク。
「なんじゃ、まさかノープランか? それはどうかと思うがのぉ」
「い、いえ一応幾つか策は用意してきましたけど……」
多少どもりながら、口を開くジーク。
するとジークの返答に満足したのか、ガーデニアンがご機嫌な顔をして頷いた。
「ほー! それは楽しみじゃ。じゃワシは」
「あの、ガーデニアンせん……」
「スカルス」
ジークがさっきほどの話をしようしたところで、ガーデニアン口を挟み遮った
「ワシは別にぬしに隠してることを暴きたいわけではない」
「はぁ」
「だが興味が尽きんかった! 一年の頃にぬしと模擬戦をしたときからのぉ!」
「は、はぁ」
どこか楽し気な表情でガーデニアンが口にする。
対するジークは、少し呆れ気味な顔で短めに返答をする。
(やっぱりあの時の件が理由だったのか……。予想はしていたけど)
興味を持たれた理由はなんとなく分かっていた分、どうも返答しにくいのである。
「それにぬしがなぜこの学園に入学して、この街にやって来たか、気になったこともある」
「…………────」
だが、その顔を見ていると自然と表情がいつもののほほんとしたものではなくなり、真顔へと変化していた。
「だがしばらくして、そんな疑問などどうでもいいと思うようになったんじゃ」
────試しているかのうように。
サングラスを光らせ、ニヤリ顔を浮かべているガーデニアン。
すっかり真面目な面となったジークに、ガーデニアンが言ってのけた。
「スカルスよ、少しは目の前のことに向かって楽しんでみろ。目的有無を忘れてのぉ」
楽し気なまま、子供に軽く叱るように口にする。
「ワシに見せてみろ」
「……」
返答はしなかった。
だが、ジークの顔はいつの間にか真顔な顔つきのまま少しであるが、
(……楽しむか)
楽し気な雰囲気を醸し出していた。
─────そしてしばらくして。
「二年ジーク・スカルス。二年トオル・ミヤモト」
審判の声を合図とし。
「それぞれ、指定の位置について下さい」
「「……」」
呼ばれた者同士が向かい合う。
「……やるかジーク」
「……あぁトオル」
互い口元に笑みを作った後─────ジークとトオルの因縁の対決が始まったのだった。
珍しく激しく動揺している自分を必死に抑えながら、ジークは思考を回していた。
(まさかそこを見破ってくるとは……しかも結構的確だし)
今ジークの体────というより魔力体は、その力を抑えるために、とある魔法を何重にも掛けて縛りあげているのだ。
ガーデニアンが視えたのは、おそらくその巻きついてる鎖の方であろう。
その結果、普段以上に制限が枷られた魔力、これがジークが考えた予選会、そして大会に向けての対策なのであった。
暴走しかねない魔力を抑える為、更に魔力の加減をつけ易くする為に彼が用意したのだ。
それが今、ガーデニアンの手によって完全に看破されようとしていた。
(ヤバいな。最悪、対戦する生徒にはバレてもかまないと思って付けたんだが……)
学生レベルの洞察眼なら、魔法の正体までは看破されないと踏んでいたジーク。
当然、その相手の中には目の前の教師は含まれていない。
別にルール違反でもないので、問題がないように思えるが、問題は掛けた魔法にあるのだ。
まず抑制しているレベルだ。今ガーデニアンが口にしたように、現在ジークの魔力体には尋常ではないレベルの魔力抑制の縛りがガッチガッチに掛けられているのだ。
この時点で既にバレると面倒なのであるが、ここに関しては最悪バレてもはぐらかせばいいと思っていたジーク。
だが、ここでさらなる問題があった。
(どうせバレても、魔法の種類は分からないと思って『行動禁止』を選んじゃったよ……!)
このぐらいの目立たない魔法なら通常魔法とオリジナル魔法の区別など付かないと判断してしまったジークは、【無属性】のオリジナル魔法『行動禁止』を選択してしまったのだ。
これは捕縛系の魔法であるが、同時に封印系の魔法でもある。
対象の体を見えない鎖で縛るのだが、魔力体も縛ることができ、魔力を抑えることが出来るのだ。
この能力を利用してジークは、動きを縛る方には力を入れず、魔力体を抑えることのみに能力を集中させている。
(マズイぞ。もし魔力の方も的確に感じ取れると、このハゲなら魔力の感じから、オリジナルだって気付くかもしれない)
ガーデニアンは元王宮直轄の魔導師であったのだ。油断ならない人物。ジークは常に警戒していたつもりであったが。
(っ、この人の言う通り迂闊過ぎた!)
さすが警戒が緩すぎたのだ。ジークは目先のことにしか目がいっておらず、普段の隠していた部分をガーデニアンの前で晒してしまった。
(けど、どうやって気づいた? 昔ならともかく今の俺の魔力────で出来た鎖を。ちゃんと見分けるのは、かなり困難は筈だが)
動揺のせいか、ついつい思考が迷走してしまいそうになるジーク。
だがそれは無理もないことあろう。
ジークの宿す魔力の影響で発動される発動される魔法は全部感知が難しくなり、魔力気配無しのような魔法に変わるのだ。
それが的確に見破られてしまったとなれば、今後の活動に支障が出かないと危機感を覚えているのである。
「どうやら知らんかったようじゃのう」
「……なにをですか」
ジークが目を白黒させて困惑していると、ふいにガーデニアンが苦笑気味に口を開いた。
「相手の魔力を認識する際、魔法師は五感のどれか一つを扱って感知している。その器官を極限まで鍛え極めれば、遠くにある魔力から微かな魔力、或いは異次元の領域に存在する魔力まで感知することが可能になるのだ」
「なにが言いたいんですか」
含みのあるガーデニアンの言い回しに、内心冷や汗をかきながらジークは口にする。
すると真剣な表情で、射抜くような眼差しとなったガーデニアンが、ジークにだけ聞こるように彼に告げた。
「ワシの場合、一番得意とする感知方法は目じゃ。……ワシの眼には、ぬしの身体巻き付く魔力の鎖が視える」
「ッ!」
「前にも言ったじゃろう。ワシはグラサンだが、人を視る目はあるとな」
ガーデニアンの話を聞いたジークは。
「……」
先ほど以上に激しく動揺するのかと思われたが、その心情は思ったより穏やかであった。
(嘘をついてるようには見ないが、鍛えたからってそんな簡単に感じ取れるものなのか? ────いや、相手は《老魔導師》だしな、可能なのかもしれない。……油断し過ぎた俺の落ち度ってわけか)
いくら反省を口にしても足りない。
そして先ほどの試合以上の疲労感を身に感じる中、ガーデニアンが得意げな表情で話を続ける。
「前から違和感は感じていたが、さっきの模擬戦、そして今纏っている鎖の魔力を視て確信が持てたわ」
「確信?」
「随分変わった魔力だのう? ──────鎖は無属性で間違いないが、それは表だけだけ─────唯のメッキじゃ。本命はさらに奥に隠れておるの?」
「……ほう?」
それはオリジナルがバレた程度の問題ではなかった。
(間違いない……。完全に視えてるよこの老師)
シャリアでもクーでも出来なかったジークの魔力の根源を。
ガーデニアンがその一端を触れた事実にジークは信じられない気持ちであった。
だが、同時に認めたのだ。ガーデニアンという魔導師の才を。
その証拠に心の中でもガーデニアンのことをハゲ呼ばわりしていたのが、真の敬意を込めた《老師》へと変わっていた。
(本当に大したもんだよ。この魔力は同列の存在でもなければ、完全には認識するのはできない筈なのに)
ジークが今発動させ纏わせている鎖は確かに無属性だ。
だが、それはジークが持つ魔力を無属性として適用させたからだ。
これはジークの魔力。異質が持つ能力の一つである。
彼の魔力はこの世の全て、ありとあらゆる種類の属性の代わりとなって、それに適した波長に変化して使用することが出来る。
────無属性の魔法なら無属性の波長へ。
────火属性なら火属性の波長へ。
それは派生属性でも同じ、彼の魔力は全てに適応させ掌握してしまうのだ。
(まあそれでも苦手な属性とかもあるし、使え難い魔法もあるけどな)
何よりこの能力は放出する魔力量とその濃度によって、効果の大小が決まる。
使用する魔力量が少量であれば、効果は乏しいのである。
(言い方によっては最強ぽいけど、実は結構危険な代物を体に入れ込んでるだ……)
彼が身に宿す魔力は、彼以外が宿す魔力と全く次元が違う存在なのである。故にソレを認識することは困難であり、たとえ出来ても掴み取れず、判断がつかず、どれだけ分析して正体を突き止められないのだ。
この世界に存在する全ての魔力の頂点に君臨する異質な存在なのだ。
(あの魔眼持ちのカムさんでも、その事態を掴むのにすごい苦労してたしね)
その昔、師匠の仲間に散々調べてもらったジークだが、ほとんど進展せず、数年かけても未だに謎のままな箇所も多々あったのだ。
そんな彼の魔力を僅かであれ見極めた、ガーデニアンの感知能力にジークは恐ろしく思ったが、決してと不快感とはならず、。
(俺の知る限り、俺の魔力をここまでハッキリ感じ取れたのは、これで3人目だな。……この《老師》やっぱり相当出来るのか)
ジークなりの尊敬の念をガーデニアンに込めながら、色々とバレることを覚悟して、彼の言葉に引き続き耳を傾けることにした。
───ところが
「それでスカルスよ。次の試合もあの戦法で戦うつもりか?」
と全く関係のない話に転換されていた。
「……え、しあい?」
思わぬ質問に惚けた顔で呟いたジーク。
「なんじゃ、まさかノープランか? それはどうかと思うがのぉ」
「い、いえ一応幾つか策は用意してきましたけど……」
多少どもりながら、口を開くジーク。
するとジークの返答に満足したのか、ガーデニアンがご機嫌な顔をして頷いた。
「ほー! それは楽しみじゃ。じゃワシは」
「あの、ガーデニアンせん……」
「スカルス」
ジークがさっきほどの話をしようしたところで、ガーデニアン口を挟み遮った
「ワシは別にぬしに隠してることを暴きたいわけではない」
「はぁ」
「だが興味が尽きんかった! 一年の頃にぬしと模擬戦をしたときからのぉ!」
「は、はぁ」
どこか楽し気な表情でガーデニアンが口にする。
対するジークは、少し呆れ気味な顔で短めに返答をする。
(やっぱりあの時の件が理由だったのか……。予想はしていたけど)
興味を持たれた理由はなんとなく分かっていた分、どうも返答しにくいのである。
「それにぬしがなぜこの学園に入学して、この街にやって来たか、気になったこともある」
「…………────」
だが、その顔を見ていると自然と表情がいつもののほほんとしたものではなくなり、真顔へと変化していた。
「だがしばらくして、そんな疑問などどうでもいいと思うようになったんじゃ」
────試しているかのうように。
サングラスを光らせ、ニヤリ顔を浮かべているガーデニアン。
すっかり真面目な面となったジークに、ガーデニアンが言ってのけた。
「スカルスよ、少しは目の前のことに向かって楽しんでみろ。目的有無を忘れてのぉ」
楽し気なまま、子供に軽く叱るように口にする。
「ワシに見せてみろ」
「……」
返答はしなかった。
だが、ジークの顔はいつの間にか真顔な顔つきのまま少しであるが、
(……楽しむか)
楽し気な雰囲気を醸し出していた。
─────そしてしばらくして。
「二年ジーク・スカルス。二年トオル・ミヤモト」
審判の声を合図とし。
「それぞれ、指定の位置について下さい」
「「……」」
呼ばれた者同士が向かい合う。
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