【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

12.旦那様(ニセ)が、嫁(ニセ)の為に愛の大告白(ニセ)をしちゃいます!・その4

 

「彼女たちは前妻の不貞により、父、泰平ではなく、他所の男との間に出来た子。よって、三成家との関りが無くなった事が証明された今、彼女らの所有財産を差し押さえ、会社役員のはく奪、三成家を追放する事を宣言致します」


 会場が更にざわつき、スキャンダラスな発表に記者のフラッシュが一斉に一矢に向いた。


「突然の発表で、皆様を驚かせてしまい申し訳ございません。三成家と懇意にして下さっている、ここへお集まりの皆様に当家事情は関係の無い事でございますため、今後の会社間取引は全て、私、三成一矢が後を引き受け、全責任を負います。そして、皆様の会社繁栄の為に尽力をお約束致します。若輩者でございますのでご迷惑をおかけする事も多々あるかと思いますが、どうか温かく見守って頂きたく存じます。皆様のご指導・ご鞭撻、どうか宜しくお願い申し上げます」


 一矢が深々と頭を下げた。私も慌てて頭を下げると、更にフラッシュがたかれた。
 あああ、そんな重大発表をする予定だったなんて・・・・。多分私の事があったから、挨拶前に秘密暴露とかブッ込んで来たんだわあああ。だから原稿無しだったのね。


 でも、これで納得した。お義姉さまたちが、一矢を目の敵にしていたこと。
 それは、自分たちが本当の子ではないから。きっと二人は、この秘密を知っていたのね。
 お義姉さまたちからすれば、本当の子である一矢は驚異。この事実が露呈してしまったら家を追い出されるのは自分たちの方だって解っていたから・・・・だから一矢にあんなに辛く当たって、一矢を本家から遠ざけたんだわ。

 酷い。酷すぎる。
 本当の子供である一矢が、実は無血統だった二人に、あんなに苦しめられていたなんて。赦せない!


 だからこんな・・・・公開処刑みたいな事をしちゃったのね。さっきの私が襲われた事件もあったから、余計に赦せなくてこんな風に公表しちゃったんだ。スキャンダルは大企業の三成家にとってもダメージ大きいのに。それでも敢えてその道を選んだ。ダメージは自分で払拭するつもりで、自ら責任を取って頑張るつもりなんだ。


 一矢。本当に強くなったんだね。あの日、公園で見た可哀想な一矢は、もう何処にもいない。
 お義姉さまたちに虐げられて、それでも負けずに強い心で苦境を乗り越え、今日までやって来たんだね。

 立派に成長した一矢の姿に、何だか感動した。まるで母親の気分だ。



「三成柚香、並びに杏香。この場より退席を命じる。今後一切、我が三成家に関わる事を禁ずる。以上だ」



 一礼から顔を上げた一矢が、厳しい顔で柚香さんを見つめた。杏香さんはあんな事があったから、パーティーには出席できず、この場にはいない。想像するに、さっきのVIPルームでさぞかし困っている事だろう。



 有無を言わせず中松が、会場から柚香さんを引きずりだすと、場内がしーんと静まった。

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