【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

7.旦那様(ニセ)とのなれそめを思い出す嫁(ニセ)。・その4

 私の方が着替えに時間がかかるからという事と、先に眠られては困るという事で、一矢がお風呂から先に上がってしまった。今度は、一矢の方が寝室で待ってくれることになった。
 私はというと、今日も三成家の屋敷にお泊りになってしまったので、時間をかけて念入りに身体を洗いまくった。


 もしも、万が一、何か間違いが起こっては困るから――考えるだけで、恥ずかしい。



 だって一応、男女がひとつ屋根の下(ここはかなり広いが)で一緒にいて、同じベッドで眠るんだよ?
 何も無い方がおかしくない?
 まあ、私が貧相だから手を出すのを躊躇っているのかもしれないけど!



 くうっ・・・・! どうせ貧相ですよっ!!



 標準体型は今更どうしようもない。努力で何とかなるなら、とっくに頑張っているが無駄なので何もしていない。
 はー。もっとナイスバディ―で、一矢が一瞬でメロメロになるような美人になりたいわぁー。
 でも、きっと彼の周りにはそういう女性は山ほどいる。そんな中から女性を選り好みできちゃうもんねっ。わざわざ私みたいな女を選ばなくても、もっといい女性いっぱいいるでしょうし。

 はあー。自分で言ってて悲しくなってきた。

 もう、自分をディスるのは止めよう。これでも一生懸命頑張っているんだ。自分で自分を褒めてあげなきゃ。誰も褒めてくれないし。くすん。


 明日からはグリーンバンブーのキッチン業務も再開するし、束の間、一矢と楽しくお喋りして、契約ニセ嫁をしっかり演じ切って、ほとぼりが冷めたら一矢と別れて、誰か私だけを愛してくれる一般庶民の殿方を探そう。お金持ちじゃない人。


 何時までもバスタオル一丁ではいられないので、着替えの籠を見ると昨日とは別の召し物が用意してあった。オレンジや黄色のパステルカラーで花柄のパジャマ。私が好のむ柄を、中松はよく解っている。好きで似合いそうなものを買って用意してくれたんだろう。あの男は、そういう事が普通にできてしまう完璧執事なのだ。

 新品で洗い立てのパジャマに袖を通し、大きな鏡に自分の姿を映し見た。ほんのり上気した頬に、洗い立ての髪の毛。少しアレンジをして長い髪をアップにして、後れ毛を出した。

 一矢に少しでも可愛く思われたい。


 あっ。今からメイクするのもおかしいかな?
 どうなんだろう。
 淑女のたしなみ・・・・誰か教えてー!

 

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