【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ(旧さぶれちゃん)

4.ファースト・キスは、旦那様(ニセ)と!?・その6

 この年でキスもまだの生娘なんか、一矢に呆れられちゃう。
     ・・・
 もう少しそっちの修業をつんでおけばよかった! 料理バカがここへ来て仇となるなんて。
 学生の頃から、友達の誘いも断る毎日。カラオケさえ数回程度しか行った事のない私は、遊びも不慣れで女子力はゼロに等しい。どうするべき? どうすればいい?

 よし。ここは明日、恥を忍んで中松に相談・・・・ああ、ダメ! むかつくこと言われて憤慨して終わりそうな気がする!


 あんなクソに、絶対相談なんかするもんですか!!



 とりあえず用意してもらった就寝用のピンクのバスローブに着替えた。絹の滑らかな肌触りのローブは、専用の紐でさえつるつるしていて気持ちいい。ゴワゴワの安物パジャマしか着用した事が無い私にしたら、とんでもない高級着だ。

 カチコチになりながら一矢の寝室に向かった。お喋りして眠るだけ・・・・に持っていくようにしよう。


 でも、寝室でどうやって待っていればいいのだろう。
 こういうのも、ちゃんと中松に聞いておけば良かった・・・・!


 改めてご主人(ニセだけど)の一矢を待つのは、何だか照れ臭いし困ったなぁ。
 途方に暮れながら寝室へ向かい、またもその室内の内装から広さに驚愕した。
 うちは本当に狭いから、二人でセミダブルベッドとか、どんだけ贅沢ぅーって感じ!
 ザ・お金持ち! という寝室。広くてオシャレで、一矢は勤勉で努力家だから寝室には本棚もあって、様々な種類の本が綺麗に整頓されて収納されていた。
 主にビジネス書が多いわね。他にも海外の書物とか、見た事も無いような文字の辞典のような分厚い本が棚に入っていた。

 そういえば学生の頃、私が何時もテスト範囲の勉強を必死にやっていると、『こんな問題も解けないのか、これだから伊織は』とバカにされ、それでも丁寧に教えてくれたっけ。自分の勉強もあるのに、私に何時も付き合ってくれたなぁ。テストでいい点取れたことを一矢のお陰だよと言うと、当然だろう、私の教え方が上手かったのだからな、と嬉しそうにしてくれた。


 懐かしいなぁ。そんな一矢のニセ嫁やってるんだもんなあ。人生わかんないよ。


 ベッドに腰かけて気合入れてスタンバイするのもどうかと思い、とりあえずベッドに入ってみた。


 やーんっ。ふかふかで気持ちいい――!
 うちの布団と全然ちがーう!


 雑魚寝が当たり前のような我が家では、考えられない程の快適さだ。これだけでも、ニセ嫁引き受けてよかったと、価値を見出せた。
 ギンギラに目を開けて待っていたけど、いざ、ガチャっと扉を開ける音がしたら、咄嗟に寝たふりをしてしまった。

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