【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです
2.ニセ嫁修行、始めました。・その7
あ! ヘアセットするって言ってくれたけれど、遅番の午後五時からの仕事はどうしたらいいのだろうか。グリーンバンブーは、午前十一時から午後三時までがランチ時間、午後五時から八時までが夜の営業時間だ。
「中松」私は外の廊下へ続く扉を開け、すぐ傍で待機している彼に夜の営業時間に間に合うように店に帰れるかを尋ねた。「五時からお店だけど、帰ってもいいの?」
「パーティーのある来月まで、伊織様の夜勤はグリーンバンブーではなく、こちらへお勤め頂きます。緑竹様の許可は取得済みでございます。休日以外の朝七時半と午後三時にはお迎えに上がります」
三成家での修行時間は非常に短かい。来月までに偽令嬢(嫁)に仕立て上げなければならないので、店の仕込みはお父さんやギンさんに任せ、朝の八時から十時四十五分までと、午後三時から五時までの間、営業が終わってから修行を再開させるのかと思っていたが、中松の言いようでは午後三時から花嫁というか令嬢になる為の修業の方をみっちりする模様。多分そうしないと付け焼刃でも令嬢にはなりきれないのだろう。なんせ元がこんなだし。
折角焼き場を任されたばかりなので、グリーンバンブーでの修業はやめたくないからそれだけは続けたい、ニセ嫁を引き受ける絶対条件だと訴えたので、グリーンバンブーでの仕事も兼用とかなりハードになりそうだと気合を入れていたのだが、夜の営業の方の出勤は勝手にカットされていた。
だったら遅番は不要だと、ちゃんと言ってよ! 帰ってお父さんに文句言わなきゃ!
中松も同罪よ。
「それ、早く言ってよ。引継ぎもせず、何も言わないで来ちゃったじゃない」
思わず睨みつけ、つっかかった物言いになってしまった。
「でしたら、お電話なさいますか?」
しかし中松は気にもせず、涼しい顔をしている。この冷徹鬼!
「あ、うん。言っておきたい。琥太郎に伝言しておく。今日は土曜日だから、私の代わりに焼き場に入って貰うよ」
「では、どうぞ。終わりましたら、スマートフォンをお渡し下さい。お帰りになるまで、お預かりさせていただきますので、そのつもりで」
中松が私のスマートフォンを返してくれた。
持っていちゃダメなのね。というより、用意されたドレスか何か知らないけれど、そんなものにスマートフォンを突っ込んでおけるようなスペースなんかは無いから、どっちみち要らないけれど。どうせ使うのは、一矢からのお弁当感想のメールへの返信と、たまに連絡くれる仲のいい友人からの連絡か、常連さんからの他愛もない連絡だけだし。
返してもらったスマホで早速琥太郎に連絡を取ると、彼はすぐ電話に出てくれた。『はーい』
「あ、琥太郎? 私だけど」
『姉ちゃん、どうしたの? あっ、修行はもう終わり? 早いね!』
明るい口調で琥太郎が言った。彼は私が契約偽装嫁になる事を最後まで反対していたから、早く帰るのが嬉しいのだろう。でも、違うんだな。
「中松」私は外の廊下へ続く扉を開け、すぐ傍で待機している彼に夜の営業時間に間に合うように店に帰れるかを尋ねた。「五時からお店だけど、帰ってもいいの?」
「パーティーのある来月まで、伊織様の夜勤はグリーンバンブーではなく、こちらへお勤め頂きます。緑竹様の許可は取得済みでございます。休日以外の朝七時半と午後三時にはお迎えに上がります」
三成家での修行時間は非常に短かい。来月までに偽令嬢(嫁)に仕立て上げなければならないので、店の仕込みはお父さんやギンさんに任せ、朝の八時から十時四十五分までと、午後三時から五時までの間、営業が終わってから修行を再開させるのかと思っていたが、中松の言いようでは午後三時から花嫁というか令嬢になる為の修業の方をみっちりする模様。多分そうしないと付け焼刃でも令嬢にはなりきれないのだろう。なんせ元がこんなだし。
折角焼き場を任されたばかりなので、グリーンバンブーでの修業はやめたくないからそれだけは続けたい、ニセ嫁を引き受ける絶対条件だと訴えたので、グリーンバンブーでの仕事も兼用とかなりハードになりそうだと気合を入れていたのだが、夜の営業の方の出勤は勝手にカットされていた。
だったら遅番は不要だと、ちゃんと言ってよ! 帰ってお父さんに文句言わなきゃ!
中松も同罪よ。
「それ、早く言ってよ。引継ぎもせず、何も言わないで来ちゃったじゃない」
思わず睨みつけ、つっかかった物言いになってしまった。
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しかし中松は気にもせず、涼しい顔をしている。この冷徹鬼!
「あ、うん。言っておきたい。琥太郎に伝言しておく。今日は土曜日だから、私の代わりに焼き場に入って貰うよ」
「では、どうぞ。終わりましたら、スマートフォンをお渡し下さい。お帰りになるまで、お預かりさせていただきますので、そのつもりで」
中松が私のスマートフォンを返してくれた。
持っていちゃダメなのね。というより、用意されたドレスか何か知らないけれど、そんなものにスマートフォンを突っ込んでおけるようなスペースなんかは無いから、どっちみち要らないけれど。どうせ使うのは、一矢からのお弁当感想のメールへの返信と、たまに連絡くれる仲のいい友人からの連絡か、常連さんからの他愛もない連絡だけだし。
返してもらったスマホで早速琥太郎に連絡を取ると、彼はすぐ電話に出てくれた。『はーい』
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