冷たい部長の甘い素顔【完】
その後 第7話 惚気
お酒が届いて、社長が西野さんにお酌をする。
すると、将軍さんはスッと立ち上がり、社長と西野さんの間から、社長に「どうぞ」とお酌をする。
東堂部長と立川部長は、互いにお酌をし合っている。
私は、将軍さんが席に戻ると、
「将軍さん、どうぞ」
とお酌をする。
すると、将軍さんも、
「ほら、爽も」
とお酌をしてくれる。
すると、東堂部長がニヤニヤしながら、それを見ている。
「秦野もそんな顔、するんだなぁ」
東堂部長は、将軍さんが先に取締役になった後も、変わらず気のいいお兄さんのように振る舞っている。
「悪いですか?」
将軍さんも、東堂部長相手だと、どうも弟分に戻るみたい。
「いや、堅物を通してるより、よっぽどお前らしいよ。爽ちゃんが嫁に来てくれて良かったなぁ」
将軍さんは、何も答えず、ただお猪口のお酒をあおった。
「秦野さん、本当にご結婚されてたんですね。
その指輪、ただの女除けかと思ってました」
女除けって……
どこをどうすると、そういう発想になるの?
それとも、商社の男性は、そういう人が多いのかな。
「はい。というか、私に女除けは必要ありませんから」
将軍さんは、苦笑いしながら答える。
「確かに。社内じゃ、爽ちゃん以外、怖がって誰も近寄らないもんな」
東堂部長は、ケラケラと笑う。
「秦野さんのどこが怖いんですか? 私、1度も怖いなんて思ったことありませんけど」
西野さんは、首を傾げる。
すると、それに社長が答える。
「はははっ
それはね、西野さん。あなたがお客様だからですよ。秦野は出世が早すぎるせいで、自分より年かさの部下がいることを気にしましてね。怖い上司の仮面を被ったんですよ」
うんうん、私も最初は怖かったもん。
私は去年の秋のことを懐かしく思い出す。
「それを思うと、爽ちゃんって、すげぇよな。一体、いつから、秦野が怖くなくなったんだ?」
東堂部長が、また興味津々とばかりに身を乗り出す。
「えっ、それは……」
私は、将軍さんを見上げて、様子を伺う。
「言ってもいいの?」
私が尋ねると、将軍さんは、また苦笑する。
「まぁ、ほどほどにな」
私は、将軍さんの許可を得て、話を続ける。
「初日に食事に誘ってくれたんです、将軍さん。その食事に行く途中から、怖くなくなって、普通に喋ってました。だから、2日目にはみんなにも分かって欲しくて歓迎会を計画してましたよ」
私が答えると、東堂部長は、違うところに食いついた。
「それなんだよ! 秦野が初日から誘うって、お前、よっぽど爽ちゃんが好きだったんだな」
あ……
まさか、合コンをバラすって脅されたとは言えない。
「いい年して、2年以上の片思いですから、焦りもしますよ」
将軍さんは、さらっと言ってのける。
「お前、一途だったんだなぁ。それこそ、社外に出れば、いくらでも女なんて寄ってきただろうに」
うん、絶対そう。この西野さんみたいに。
それでも、私一人を思っててくれたなんて、神様がくれた奇跡だと思う。
「いくら寄ってきても、爽以上の女はいませんから」
ボッ!!
一瞬で顔が燃える。
今、思いっきりのろけたよね!?
「おお、おお、ご馳走さま。あんまりのろけると、爽ちゃんがのぼせるぞ」
東堂部長の一言で、社長も立川部長もくすくすと笑う。
もう、恥ずかしい。
私は、お猪口に残ってるお酒を一息に飲み干した。
「ほら、爽」
それを見ていた将軍さんは、すかさず空になったお猪口にお酒を注いでくれる。
「じゃあ、将軍さんも」
私は将軍さんに返盃をして、一緒にお酒を飲む。
「西野さんは、ご結婚されてるんですか?」
将軍さんにベタベタしてるんだから、結婚なんてしてるわけないと思いつつも、話のとっかかりとして尋ねてみる。
「ええ」
はぁ!?
うそ!?
なんで!?
信じられないながらも、私は心の声を押し殺して、会話を続ける。
「こんな素敵な奥様がいらっしゃったら、旦那さまもさぞ、お幸せでしょうね。ね、将軍さん」
私が将軍さんに振ると、将軍さんもポーカーフェイスで「ああ」と相槌を打つ。
「残念ながら、別居中ですの。水を差すようですけど、永遠の愛なんてないと思いますよ」
そういうことかぁ。
「そうかもしれませんね。私も、人を好きになるたびに、この人と永遠に一緒にいたいと思ってましたけど、実際には、そうはなりませんでしたから」
私は、まず同調してみせる。
「でも、気づいたんです。それはきっと、相手が将軍さんじゃなかったからなんじゃないかって。将軍さんだったら、きっと、こんな私でも一生、呆れることなく、添い遂げてくれるって勝手に信じてるんですよ、私」
私は、えへっと笑ってみせて、お刺身を口に運ぶ。
私は、終始、恥ずかしげもなく将軍さんとイチャイチャし続けて、会食を終えた。
どうやっても割り込めないって思ってくれてるといいんだけど……
すると、将軍さんはスッと立ち上がり、社長と西野さんの間から、社長に「どうぞ」とお酌をする。
東堂部長と立川部長は、互いにお酌をし合っている。
私は、将軍さんが席に戻ると、
「将軍さん、どうぞ」
とお酌をする。
すると、将軍さんも、
「ほら、爽も」
とお酌をしてくれる。
すると、東堂部長がニヤニヤしながら、それを見ている。
「秦野もそんな顔、するんだなぁ」
東堂部長は、将軍さんが先に取締役になった後も、変わらず気のいいお兄さんのように振る舞っている。
「悪いですか?」
将軍さんも、東堂部長相手だと、どうも弟分に戻るみたい。
「いや、堅物を通してるより、よっぽどお前らしいよ。爽ちゃんが嫁に来てくれて良かったなぁ」
将軍さんは、何も答えず、ただお猪口のお酒をあおった。
「秦野さん、本当にご結婚されてたんですね。
その指輪、ただの女除けかと思ってました」
女除けって……
どこをどうすると、そういう発想になるの?
それとも、商社の男性は、そういう人が多いのかな。
「はい。というか、私に女除けは必要ありませんから」
将軍さんは、苦笑いしながら答える。
「確かに。社内じゃ、爽ちゃん以外、怖がって誰も近寄らないもんな」
東堂部長は、ケラケラと笑う。
「秦野さんのどこが怖いんですか? 私、1度も怖いなんて思ったことありませんけど」
西野さんは、首を傾げる。
すると、それに社長が答える。
「はははっ
それはね、西野さん。あなたがお客様だからですよ。秦野は出世が早すぎるせいで、自分より年かさの部下がいることを気にしましてね。怖い上司の仮面を被ったんですよ」
うんうん、私も最初は怖かったもん。
私は去年の秋のことを懐かしく思い出す。
「それを思うと、爽ちゃんって、すげぇよな。一体、いつから、秦野が怖くなくなったんだ?」
東堂部長が、また興味津々とばかりに身を乗り出す。
「えっ、それは……」
私は、将軍さんを見上げて、様子を伺う。
「言ってもいいの?」
私が尋ねると、将軍さんは、また苦笑する。
「まぁ、ほどほどにな」
私は、将軍さんの許可を得て、話を続ける。
「初日に食事に誘ってくれたんです、将軍さん。その食事に行く途中から、怖くなくなって、普通に喋ってました。だから、2日目にはみんなにも分かって欲しくて歓迎会を計画してましたよ」
私が答えると、東堂部長は、違うところに食いついた。
「それなんだよ! 秦野が初日から誘うって、お前、よっぽど爽ちゃんが好きだったんだな」
あ……
まさか、合コンをバラすって脅されたとは言えない。
「いい年して、2年以上の片思いですから、焦りもしますよ」
将軍さんは、さらっと言ってのける。
「お前、一途だったんだなぁ。それこそ、社外に出れば、いくらでも女なんて寄ってきただろうに」
うん、絶対そう。この西野さんみたいに。
それでも、私一人を思っててくれたなんて、神様がくれた奇跡だと思う。
「いくら寄ってきても、爽以上の女はいませんから」
ボッ!!
一瞬で顔が燃える。
今、思いっきりのろけたよね!?
「おお、おお、ご馳走さま。あんまりのろけると、爽ちゃんがのぼせるぞ」
東堂部長の一言で、社長も立川部長もくすくすと笑う。
もう、恥ずかしい。
私は、お猪口に残ってるお酒を一息に飲み干した。
「ほら、爽」
それを見ていた将軍さんは、すかさず空になったお猪口にお酒を注いでくれる。
「じゃあ、将軍さんも」
私は将軍さんに返盃をして、一緒にお酒を飲む。
「西野さんは、ご結婚されてるんですか?」
将軍さんにベタベタしてるんだから、結婚なんてしてるわけないと思いつつも、話のとっかかりとして尋ねてみる。
「ええ」
はぁ!?
うそ!?
なんで!?
信じられないながらも、私は心の声を押し殺して、会話を続ける。
「こんな素敵な奥様がいらっしゃったら、旦那さまもさぞ、お幸せでしょうね。ね、将軍さん」
私が将軍さんに振ると、将軍さんもポーカーフェイスで「ああ」と相槌を打つ。
「残念ながら、別居中ですの。水を差すようですけど、永遠の愛なんてないと思いますよ」
そういうことかぁ。
「そうかもしれませんね。私も、人を好きになるたびに、この人と永遠に一緒にいたいと思ってましたけど、実際には、そうはなりませんでしたから」
私は、まず同調してみせる。
「でも、気づいたんです。それはきっと、相手が将軍さんじゃなかったからなんじゃないかって。将軍さんだったら、きっと、こんな私でも一生、呆れることなく、添い遂げてくれるって勝手に信じてるんですよ、私」
私は、えへっと笑ってみせて、お刺身を口に運ぶ。
私は、終始、恥ずかしげもなく将軍さんとイチャイチャし続けて、会食を終えた。
どうやっても割り込めないって思ってくれてるといいんだけど……
「冷たい部長の甘い素顔【完】」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
溺愛誓約~意地悪なカレの愛し方~
-
133
-
-
身代わり婚約者は生真面目社長に甘く愛される
-
160
-
-
どうにもならない社長の秘密
-
128
-
-
本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
-
80
-
-
【コミカライズ】寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
-
183
-
-
冷徹御曹司の無駄に甘すぎる豹変愛
-
89
-
-
わかりました、結婚しましょう!(原題:橘部長を観察したい!)
-
75
-
-
ただいま冷徹上司を調・教・中・!
-
58
-
-
嫁ぎ先の旦那様に溺愛されています。
-
75
-
-
お久しぶりです。俺と偽装婚約してもらいます。~年下ワケあり生真面目弁護士と湯けむり婚前旅行~
-
92
-
-
【完結】契約書は婚姻届
-
81
-
-
【完結】私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
-
50
-
-
Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~
-
83
-
-
戻ってきた初恋はバラの香り~再会した御曹司の豹変ぶりに困惑しています~
-
126
-
-
恋を知らない小鳥~幼馴染の愛に包まれて~
-
54
-
-
【完結】苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
-
96
-
-
星乙女の天秤~夫に浮気されたので調停を申し立てた人妻が幸せになるお話~
-
34
-
-
【完結】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです
-
142
-
-
同期の御曹司様は浮気がお嫌い
-
49
-
-
【書籍化】勤め先は社内恋愛がご法度ですが、再会した彼(上司)とまったり古民家ぐらしを始めます。
-
176
-
コメント