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冷たい部長の甘い素顔【完】

くっきぃ♪

その後 第5話 移り香

午後もその金髪さんとの会議は続いた。

私は、気になりながらも、自分の仕事をこなしていく。

午後6時。

私がそろそろ帰ろうと机周りを片付けていると、将軍さんたちが会議室から出てきた。

ほっ……

終わったんだ。

軽い安堵感を覚えて、私は、パソコンの電源を落とした。

すると、自分の席に戻ってきた将軍さんは、そのまま私のところへとやってきた。

ん? 何?

「爽、すまない。
 この後、会食になったんだ。
 夕飯はいらないから、先に食べて寝ててくれないか?」

将軍さんは、申し訳なさそうに言う。

まぁ、仕事上の付き合いだし、仕方ないよね。

私は、内心の不安を押し隠して、笑顔で答える。

「分かった。
 気をつけて行ってきてね」

将軍さんは、私の頭をくしゃりと撫でて、そのまま私より先に会社を出て行った。


大丈夫。
将軍さんは、絶対に浮気なんてしない。

私は、自分にそう言い聞かせながら、帰路に就いた。

ひとりで夕食を食べ、テレビを見る。

将軍さん、早く帰ってこないかな……

時計を見ると、すでに10時を指している。

でも、どうしても先に寝る気にはなれなくて、そのままソファーでテレビとともに待ち続けた。

深夜23時を回った頃、玄関で物音がした。

将軍さんだ!

私は、玄関へと走る。

「将軍さん、おかえりなさい!」

すると、将軍さんは、驚いたように目を丸くする。

「ただいま。寝てても良かったのに」

だって、なんとなく心配で……

「将軍さんに会いたかったから」

私がそう言うと、将軍さんの顔が一瞬で綻んだ。

いつもの銀縁眼鏡を外してテーブルに置くと、そのまま私を抱き寄せる。

「すぐにシャワーを浴びてくるから、ベッドで待っててくれるか?」

私は、将軍さんの背中をぎゅっと抱きしめ返して、

「うん」

と返事をした。

けれど……

内心、心穏やかではいられない。

将軍さんのワイシャツからは、甘い女物の香水の匂いがしたから。

あの人、匂いが移るほど将軍さんに近づいたの?

将軍さんの左手の薬指には、もちろん、私とお揃いの結婚指輪がはめられている。

それに気づかないほど、鈍い人だとは思えないのに……

つまり、既婚者でも構わないってこと?

将軍さんなら、大丈夫。

そう信じてはいるけど、相手が金髪美女だと、どうも勝手が違う。

思いっきり肉食系女子な気がして……



それでも、お風呂を上がった将軍さんは、いつもと変わらず、優しく私を包み込む。


私たちは、明日が休みなのをいいことに、また二人仲良く夜更かしをして、幸せな夢を見た。

大丈夫。

将軍さんは、今日も私だけを思ってくれている。

彼の腕の中にいる時だけは、そう信じることができるから不思議。

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