冷たい部長の甘い素顔【コミカライズ連載中】

くっきぃ♪コミカライズ配信中

将軍編 第3話 同じ部署へ

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  10月1日   月曜日

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俺は、社長の鶴の一声で、無事、企画部に異動することができた。

その初日の18時。

さて、無事、企画部に異動にはなったけど、どうやって園部 爽を落とそう!?

俺は、休憩時間にコーヒーを飲みながら、ひとり思案していた。

すると、そこへ、彼女、園部 爽が現れた。

「あ、部長、こんな所にいらっしゃったんですね!
 探しましたよ〜!
 先程の資料、こんな感じで大丈夫ですか?」

彼女は、明るい笑顔を浮かべて、人懐っこく歩み寄ってくる。

企画部全員が、俺を恐れて、腫れ物を触るように近づいてくるのに、彼女1人だけが、平気な顔で話し掛けてくる。

俺は、きっと、彼女のこんなところに惹かれたんだ……

「手直しする所があったら、すぐに直すので、おっしゃってくださいね」

にこにこと笑顔を浮かべて話す彼女は、やはり誰よりもかわいい。

「いや、よく出来てる。
 数字はここでは確認できないが、完璧か?」

俺は、うっかり緩みそうになる頬の筋肉を引き締めて、いつも通りの厳しい上司を演じる。

「はい!
 数字だけは、何度も確認したので大丈夫なはずです」

少し褒めるだけで、とても嬉しそうに笑う。

このままこの笑顔が、俺のものになったら……

そう思うけれど、そんな簡単にいくものじゃないことくらい、俺にだって分かってる。

「得意なのは、男漁りだけじゃないんだな。
 安心した」

思わず口をついて出たのは、全くかわいげのない憎まれ口だった。

好きな子に無意識に意地悪するなんて、俺は小学生か!

「あ、あの、部長………」

一瞬で彼女の顔から、笑顔が消えて、あたふたとうろたえた表情を浮かべる。

でも、焦る彼女もかわいくて仕方ない。

「俺は、仕事さえ出来れば、プライベートに首は突っ込まん。
 堅物でも尻軽でも構わないから、気にするな」

なおも虐めるとは、我ながら大人げない。

これじゃ、彼女を落とすどころか、嫌われてもおかしくない。

けれど、ずっと仕事漬けで恋愛経験値の低い俺は、こんな時、気の利いた言葉のひとつも持ち合わせていない。

「あの、それについては、出来れば言い訳をさせていただきたいです」

言い訳?
何か理由があるのか?
合コンに?

「俺は、構わないと言ってるんだから、言い訳は必要ないだろ?」

好きな女が合コンに行く理由なんて、聴きたくはない。

「いえ!
 私の尊厳に関わりますから。
 部長、この後、お時間ありますか?」

これ、どういう意味だ?
社内で…ってことか?
それとも社外で…ってこと?

「俺は、プライベートでいくら男漁りしても構わないと思ってるが、社内でナンパはいただけないな」

彼女がほぼ初対面の男を誘う女だとは思いたくはない。

けれど、社外だとすれば、またとない初デートのチャンスでもあるわけで……

「っ!!
 違います!
 誰が、部長なんかナンパするんですか!?」

これ以上、怒らせちゃダメだ。

俺の頭の中で、何かが警告を鳴らす。

けれど、これまでの全てを、なかったことにする技量も、持ち合わせてるわけでもなく……

「くくっ
  『部長なんか』?」

結局、ツッコミを入れることしかできない。

「あ、いえ、今のは言葉のあやで……
 とにかく、説明させてください!」

俺は、卑怯だとは思ったが、必死になる彼女の弱みに付け込むことにした。

というより、他に女性と接点を持つ方法を知らなかった。

「まあ、いい。
 30分後に駐車場で待っててやるよ」

俺は、偉そうに待ち合わせ場所を指定する。

「ありがとうございます」

彼女は、ぺこりとお辞儀をして席に戻っていった。

あれ?
これは……
もしかして、初デート!?

だったら、今度こそ、ちゃんと彼女を思いやってかわいがらなくては!

そもそも、俺は、社内での評判は、はっきり言って、全く良くない。

むしろ、悪い。

ただでさえ、不利な条件なのに、これ以上、自分の株を落とすわけにはいかない。

俺は、残ったコーヒーを一気に飲み干すと、席に戻って、さっさと残った仕事を片付ける。


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