冷たい部長の甘い素顔【完】
将軍編 第1話 合コン
・:*:・:・:・:*:・・:*:・:・:・:*:・
9月7日   金曜日
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俺、秦野 将軍は、いつものように高校時代の友人、田代と中川と一緒に飲みに来ていた。
料理がうまくて、珍しい日本酒が置いてあるこの居酒屋は、とても居心地がよく、俺たちの行きつけになっている。
ただ、不思議なのは、毎週金曜日になぜか同じメンバーで合コンが行われている事。
入り口から見て、左奥は、毎週合コンをしている。
居酒屋で合コンなんて珍しくもないが、女子メンバーが毎週ほぼ同じとなれば、話は別だ。
男を取っ替え引っ替え、ワンナイトラブを求めているのか、理想が高くて好みの男性になかなか巡り会えないのか、理由は分からないが、そんなに合コンする女なんて、俺なら願い下げだ。
男たちは毎週変わるから、まさか今誘っている女が、来週も同じ場所で違う男に誘われるとは思ってもみないだろう。
静かに飲みたい俺たちは、毎回決まって合コンとは反対の右奥の席に座る。
そして、どうでもいい話をしながら、酒を飲む。
ある程度飲んだところで、俺はトイレに行くため、席を立った。
っ!!
園部 爽!!
いつもの合コンの席に、俺がもう2年以上想いを寄せている女が座っていた。
35歳にもなって片思いとは情けないが、会社の同僚とはいえ、部署が違うので接点も全くなく、アプローチのしようもない。
俺は年上の部下への発言力を維持するため、社内では堅物なイメージで通しているから、気軽に女性社員に声を掛ける事も出来ない。
それに伝え聞いた話では、長く付き合う恋人がいるらしい。
そんな彼女が、何故、合コンに!?
男漁りをするようなタイプには見えないのに。
俺は、混乱しながら、席に戻る。
「今、そこに俺の好きな女がいた」
今、一緒にいるのは、学生時代からの気の置けない友人。
だから、俺は、心の動揺をそのまま打ち明けた。
「声、掛けろよ。
何やってんだよ、情けない」
と田代は言うが、
「無理。合コン中」
と俺はため息をついて、ビールを飲み干した。
すると、中川が
「でも、合コン中って事は、彼氏いないんだろ?」
と言う。
「いや、いるって聞いたぞ?」
それは、間違いないはずだ。
「だったら、別れたんだろ?
ものにするなら、弱ってる今が、チャンスだぞ?」
田代は、そう、けしかける。
でも……
チャンス?
いや、どう考えても、全く接点がない俺にチャンスがあるとは思えない。
「無理だな。
同じ会社にいても、部署も違うし、話した事すらないんだ」
そう、俺は、彼女に惹かれてから2年以上、ただ見つめることしかできなかった。
我ながら、全く、情けないとしか言いようがない。
「異動ないのか?
社長に言って、同じ部署に異動させてもらえよ」
はぁ!?
中川は、無茶苦茶な事を言い始める。
酒のせいで気が大きくなってるのか?
「そんな公私混同できるかよ」
俺は、そう言うけれど……
「お前、あんなブラックな企業で仕事漬けだったから、20代でまともに恋愛出来なかったんだろ?   
そのおかげで、今じゃ、大企業になったんだから、ここでちょっとくらい、わがまま聞いてもらっても、バチは当たらないと思うけどな」
と田代まで言う。
「きっかけは、色恋の下心でも、お前はどうせきっちり仕事するんだろ?
だったら、問題ないと思うけどな」
それは……、そうかもしれないけど……
2人から入れ知恵されて、なんとなくその気になる俺は、社会人としてどうなんだ?
俺は、とりあえず、この合コンがうまくいかない事を祈った。
9月7日   金曜日
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俺、秦野 将軍は、いつものように高校時代の友人、田代と中川と一緒に飲みに来ていた。
料理がうまくて、珍しい日本酒が置いてあるこの居酒屋は、とても居心地がよく、俺たちの行きつけになっている。
ただ、不思議なのは、毎週金曜日になぜか同じメンバーで合コンが行われている事。
入り口から見て、左奥は、毎週合コンをしている。
居酒屋で合コンなんて珍しくもないが、女子メンバーが毎週ほぼ同じとなれば、話は別だ。
男を取っ替え引っ替え、ワンナイトラブを求めているのか、理想が高くて好みの男性になかなか巡り会えないのか、理由は分からないが、そんなに合コンする女なんて、俺なら願い下げだ。
男たちは毎週変わるから、まさか今誘っている女が、来週も同じ場所で違う男に誘われるとは思ってもみないだろう。
静かに飲みたい俺たちは、毎回決まって合コンとは反対の右奥の席に座る。
そして、どうでもいい話をしながら、酒を飲む。
ある程度飲んだところで、俺はトイレに行くため、席を立った。
っ!!
園部 爽!!
いつもの合コンの席に、俺がもう2年以上想いを寄せている女が座っていた。
35歳にもなって片思いとは情けないが、会社の同僚とはいえ、部署が違うので接点も全くなく、アプローチのしようもない。
俺は年上の部下への発言力を維持するため、社内では堅物なイメージで通しているから、気軽に女性社員に声を掛ける事も出来ない。
それに伝え聞いた話では、長く付き合う恋人がいるらしい。
そんな彼女が、何故、合コンに!?
男漁りをするようなタイプには見えないのに。
俺は、混乱しながら、席に戻る。
「今、そこに俺の好きな女がいた」
今、一緒にいるのは、学生時代からの気の置けない友人。
だから、俺は、心の動揺をそのまま打ち明けた。
「声、掛けろよ。
何やってんだよ、情けない」
と田代は言うが、
「無理。合コン中」
と俺はため息をついて、ビールを飲み干した。
すると、中川が
「でも、合コン中って事は、彼氏いないんだろ?」
と言う。
「いや、いるって聞いたぞ?」
それは、間違いないはずだ。
「だったら、別れたんだろ?
ものにするなら、弱ってる今が、チャンスだぞ?」
田代は、そう、けしかける。
でも……
チャンス?
いや、どう考えても、全く接点がない俺にチャンスがあるとは思えない。
「無理だな。
同じ会社にいても、部署も違うし、話した事すらないんだ」
そう、俺は、彼女に惹かれてから2年以上、ただ見つめることしかできなかった。
我ながら、全く、情けないとしか言いようがない。
「異動ないのか?
社長に言って、同じ部署に異動させてもらえよ」
はぁ!?
中川は、無茶苦茶な事を言い始める。
酒のせいで気が大きくなってるのか?
「そんな公私混同できるかよ」
俺は、そう言うけれど……
「お前、あんなブラックな企業で仕事漬けだったから、20代でまともに恋愛出来なかったんだろ?   
そのおかげで、今じゃ、大企業になったんだから、ここでちょっとくらい、わがまま聞いてもらっても、バチは当たらないと思うけどな」
と田代まで言う。
「きっかけは、色恋の下心でも、お前はどうせきっちり仕事するんだろ?
だったら、問題ないと思うけどな」
それは……、そうかもしれないけど……
2人から入れ知恵されて、なんとなくその気になる俺は、社会人としてどうなんだ?
俺は、とりあえず、この合コンがうまくいかない事を祈った。
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