冷たい部長の甘い素顔【完】
第56話 将軍さんとランチ
・:*:・:・:・:*:・・:*:・:・:・:*:・
10月17日   水曜日
・:*:・:・:・:*:・・:*:・:・:・:*:・
今日も、朝から、興味本意の視線は、相変わらずだった。
昼12時。
「爽、お昼行くよ〜」
真由が、いつものように誘ってくれる。
だけど……
「ごめん、私、後からにするから、先に行って食べてて」
私は、両手を合わせて、「ゴメン」と首をすくめる。
私は、そのまま30分ほど仕事を続けた。
12時半になり、将軍さんが手を止めて声を掛ける。
「爽、飯、行けそう?」
「うん!」
私は、ご機嫌で返事をする。
私はお弁当を持って、将軍さんとと社員食堂に向かう。
すると、私たちが並んで食堂に入った途端に、辺りがざわめいた。
やっぱり、そうなるんだ。
分かっていたことだけど、やはり、周りの視線は気になるし、見られていると思うと、緊張もする。
だけど、私は気にしないようにして、空いている席にお弁当を置いた。
「今、お茶、入れてくるから、待ってて」
将軍さんにそう声を掛けて、私は、給茶機に向かう。
列に並んで、2人分のお茶を入れて戻ると、お弁当を広げた将軍さんが待っていてくれた。
「いただきます」
「いただきます」
2人で仲良く手を合わせて、お弁当を食べ始める。
今日は、誰も話しかけてこない。
ふふっ
作戦成功!
視線は、気になるけど。
「将軍さん、今夜、食べたい物、あります?」
昨日は中華だったから、今日はどうしようかなぁ。
好きな人に喜んでもらおうと、あれこれ考えるのも楽しくて、幸せな気分になる。
「爽の料理は何でもおいしいからなぁ。
じゃあ、今日は何か肉料理をお願いしようかな?」
あ、偶然……
「はい。
私も、今日はお肉の気分でした。
ふふっ」
些細な偶然に、思わず、笑みがこぼれる。
お肉、何にしようかなぁ?
そんなことを思っていると、一口かじった野菜の肉巻きを眺めながら、呟いた。
「これ、うまいな」
ふふっ
感慨深そうに呟くその台詞に、お世辞ではない実感がこもってる気がして、なんだかとっても嬉しくなる。
「良かった!
お弁当も、もし何かリクエストがあったら、遠慮なく言ってくださいね」
将軍さんのためなら、私、いくらでもがんばれそう。
「ああ。
でも、爽の料理はおいしいから、毎日、開けてみてのお楽しみっていうのも、嬉しいかもな」
将軍さんが、優しく微笑む。
「ふふっ、
そんなに褒めても何も出ませんよ」
私が嬉しくなるばかりで。
「別にほんとの事しか言ってないから」
そう言いながら、将軍さんは、次のおかずに手を付ける。
嬉しい……
好きな人に褒められるのって、こんなに幸せなんだ……
将軍さんの些細な一言で、一瞬で舞い上がるなんて、私って単純だなぁ……
私たちは、周りの目を極力、気にしないようにして、堂々と食事を終えた。
私たちは、休憩時間は恋人だけれど、休憩を終えて席に戻れば、上司と部下。
きっちりとけじめをつけて、午後の仕事に取り掛かった。
10月17日   水曜日
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今日も、朝から、興味本意の視線は、相変わらずだった。
昼12時。
「爽、お昼行くよ〜」
真由が、いつものように誘ってくれる。
だけど……
「ごめん、私、後からにするから、先に行って食べてて」
私は、両手を合わせて、「ゴメン」と首をすくめる。
私は、そのまま30分ほど仕事を続けた。
12時半になり、将軍さんが手を止めて声を掛ける。
「爽、飯、行けそう?」
「うん!」
私は、ご機嫌で返事をする。
私はお弁当を持って、将軍さんとと社員食堂に向かう。
すると、私たちが並んで食堂に入った途端に、辺りがざわめいた。
やっぱり、そうなるんだ。
分かっていたことだけど、やはり、周りの視線は気になるし、見られていると思うと、緊張もする。
だけど、私は気にしないようにして、空いている席にお弁当を置いた。
「今、お茶、入れてくるから、待ってて」
将軍さんにそう声を掛けて、私は、給茶機に向かう。
列に並んで、2人分のお茶を入れて戻ると、お弁当を広げた将軍さんが待っていてくれた。
「いただきます」
「いただきます」
2人で仲良く手を合わせて、お弁当を食べ始める。
今日は、誰も話しかけてこない。
ふふっ
作戦成功!
視線は、気になるけど。
「将軍さん、今夜、食べたい物、あります?」
昨日は中華だったから、今日はどうしようかなぁ。
好きな人に喜んでもらおうと、あれこれ考えるのも楽しくて、幸せな気分になる。
「爽の料理は何でもおいしいからなぁ。
じゃあ、今日は何か肉料理をお願いしようかな?」
あ、偶然……
「はい。
私も、今日はお肉の気分でした。
ふふっ」
些細な偶然に、思わず、笑みがこぼれる。
お肉、何にしようかなぁ?
そんなことを思っていると、一口かじった野菜の肉巻きを眺めながら、呟いた。
「これ、うまいな」
ふふっ
感慨深そうに呟くその台詞に、お世辞ではない実感がこもってる気がして、なんだかとっても嬉しくなる。
「良かった!
お弁当も、もし何かリクエストがあったら、遠慮なく言ってくださいね」
将軍さんのためなら、私、いくらでもがんばれそう。
「ああ。
でも、爽の料理はおいしいから、毎日、開けてみてのお楽しみっていうのも、嬉しいかもな」
将軍さんが、優しく微笑む。
「ふふっ、
そんなに褒めても何も出ませんよ」
私が嬉しくなるばかりで。
「別にほんとの事しか言ってないから」
そう言いながら、将軍さんは、次のおかずに手を付ける。
嬉しい……
好きな人に褒められるのって、こんなに幸せなんだ……
将軍さんの些細な一言で、一瞬で舞い上がるなんて、私って単純だなぁ……
私たちは、周りの目を極力、気にしないようにして、堂々と食事を終えた。
私たちは、休憩時間は恋人だけれど、休憩を終えて席に戻れば、上司と部下。
きっちりとけじめをつけて、午後の仕事に取り掛かった。
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