冷たい部長の甘い素顔【コミカライズ連載中】

くっきぃ♪コミカライズ配信中

第55話 明日からは……

18時。

定時を過ぎ、私は、机の上を片付けて席を立つ。

「お先に失礼します」

私が挨拶をすると、

「お疲れ様」

と将軍さんが微笑んでくれる。

先週までは、絶対なかった優しい笑顔に胸の奥がキュンと音を立てる。

私は、嬉しくなって、うきうきと帰宅する。
将軍さんの家へ。

今日は、麻婆豆腐にしよう!

スーパーで、豆腐や豆板醤、葱、生姜、にんにく、小松菜などを買い、帰宅する。

青菜炒めと麻婆豆腐、中華スープなどを作って、将軍さんの帰りを待つ。


ピンポーン

チャイムと共に、将軍さんが帰ってきた。

「おかえりなさい!」

待ちきれなかった私が、将軍さんの首に飛びつくと、将軍さんは、

「ただいま」

と私を抱きしめてくれる。


2人で夕飯を食べながらも、上る話題は、今日のお昼休みのこと。

「将軍さんだけ、涼しい顔して、ずるいよ〜」

私が口を尖らせると、

「そうだよなぁ。
 あいつらも、爽ばっかりに聞かずに俺にも聞けばいいのに。そしたら、思いっきりのろけてやるのになぁ」

と将軍さんは、楽しそうに笑う。

もう!
私にとっては、全然笑い事じゃないんだけど。

「明日から、将軍さんとお昼食べようかなぁ?」

私は、つい、昼間思ったことを呟く。

すると、将軍さんは、驚いた顔をして、

「余計に何か言われないか?」

と、心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「仕事中は、言われないもん。
 視線はいっぱい感じるけど。
 お昼休みが1番質問ぜめに合うけど、将軍さんと一緒だとみんな寄ってこないでしょ?
 ふふふっ」

私は、1人で空想をして笑みをこぼす。

私が、ずっと将軍さんといたら、今日、あんなに質問責めにした人たちは、一体、どうするんだろう?

「じゃあ、明日からそうするか?
 俺は爽を独り占めできて嬉しいよ」

将軍さんは、少し照れたように微笑んで、そう言った。

「うん、そうする!」

ふふふっ、嬉しい。



食べ終わると、また将軍さんが食器を片付けてくれる。

「将軍さんの方が仕事大変なんだから、私がやるよ」

私は、慌てて立ち上がって、将軍さんを追いかける。

けれど、将軍さんは、

「大丈夫。片付けは、俺の仕事。
 爽は、座ってて」

と言って、聞いてくれない。

私は片付けをする将軍さんを眺めて、つい見惚れてしまう。

カッコいいなぁ……
袖をまくった腕とか、すごく好きかも。

いつも優しいし、大人だし、私、今、世界一幸せなんじゃないかな……

ふふふっ

そんなことを考えながら、洗い物をする将軍さんを眺めていると、

「爽、何、にやにやしてるんだ?」

と言われてしまった。

「え? あっ、えっと……
 ふふふっ、なんでもなーい!」

私は、笑ってごまかす。

ふふふっ

笑いが止まらない。

将軍さんと出会えてほんとに良かった。

もう、将軍さんのいない生活なんて、考えられない。

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