冷たい部長の甘い素顔【完】
第33話 例の子
「何、お前、金曜はムリって言っといて、今日、飲みに来てんの? ってか、何でお前がこんなかわいい子連れてんの?」
と言って、私の顔を覗き込む。
えっ、どうしよう。
「はじめまして」
私が笑顔で挨拶をすると、将軍さんは、
「こいつに挨拶なんていらない。
喋らなくていいから」
と言う。
なんで?
お友達でしょ?
すると、田代さんと呼ばれた彼は、将軍さんの隣に当然のように座った。
「お前、何、座ってんだよ。あっち行け!」
将軍さんは、しっしっと言うように手を振る。
「何で? 紹介してくれないの?」
田代さんは、将軍さんの手を無視して続ける。
こういうのを気のおけない友人って言うのかな?
私は、2人のやりとりを微笑ましく見つめる。
「もったいなくて、紹介なんてできるか!
ほら、邪魔だから、あっちへ行け!」
将軍さんはそう言うけれど、田代さんは、将軍さんを無視して続ける。
「田代 雄司です。
将軍とは、高校の時の友人なんです」
私の方を向いて人懐っこい笑みを浮かべ、自己紹介してくれる。
「園部 爽です。
秦野部長の下で働いてます。
よろしくお願いします」
私も自己紹介をして、会釈をする。
すると、田代さんは、途端に驚いた顔をした。
「え?
将軍、彼女、もしかして、例の子か?」
例の子?
何の事?
「ああ、だから、邪魔すんな」
ああって、何?
私の噂話でもしてたの?
「うまくいったのか?」
「ああ」
えっ?
「よかったなぁ。
あ、将軍、取っつきにくい所もあるかもしれないけど、いい奴だから、見捨てないでやってね」
と田代さんは、私に言う。
どういうこと?
よく分からないまま、私は
「はい」
と返事をする。
すると、
「じゃ、お邪魔さま」
と田代さんは席を立ち、別の席へ移動した。
「あの……?」
私は将軍さんを見た。
「例の子って……?」
将軍さんは、なんだかバツが悪そうに目を逸らす。
「いや、何でもない。
大した事じゃないんだ」
何?
聞かれたくない事?
気になるけど……
ま、いっか。
将軍さんが言いたくなさそうなので、私はそれ以上は聞かない事にした。
2人でビールと共に食事をして、帰りは代行運転を頼んだ。
後部座席に2人で座る。
すると、将軍さんがそっと腕を伸ばして肩を抱く。
えっ、これ、どうすれば……
私は一瞬、戸惑うけれど、将軍さんの腕も肩もその温もりも心地良くて、そのまま頭を将軍さんの肩に預けて帰った。
ふふっ
なんだか、とっても幸せな気分……
うちのマンションに着くと、将軍さんも1度車から降りた。
「今日は、楽しかったです。
ありがとうございました」
私がお礼を言い終わらないうちに、将軍さんはそっと私を抱き寄せた。
「俺も楽しかった。
明日も誘っていいか?」
低い声で囁かれて、ドキドキが止まらなくなる。
「……はい」
私はそれだけ返事をするのがやっとだった。
「おやすみ、爽」
「おやすみなさい、将軍さん」
将軍さんは腕を緩めると、私の額にそっとキスを落とした。
「明日は昼頃、電話するから、ゆっくり寝てていいぞ」
と言ってくすっと笑った。
ああ!
朝、寝ぼけて電話に出た事を言ってるんだ。
「はい! 今夜はぐっすり寝ます!」
と私もくすりと笑った。
それを見届けて、将軍さんは、自分の車の助手席に乗り込み、手を振って去っていった。
と言って、私の顔を覗き込む。
えっ、どうしよう。
「はじめまして」
私が笑顔で挨拶をすると、将軍さんは、
「こいつに挨拶なんていらない。
喋らなくていいから」
と言う。
なんで?
お友達でしょ?
すると、田代さんと呼ばれた彼は、将軍さんの隣に当然のように座った。
「お前、何、座ってんだよ。あっち行け!」
将軍さんは、しっしっと言うように手を振る。
「何で? 紹介してくれないの?」
田代さんは、将軍さんの手を無視して続ける。
こういうのを気のおけない友人って言うのかな?
私は、2人のやりとりを微笑ましく見つめる。
「もったいなくて、紹介なんてできるか!
ほら、邪魔だから、あっちへ行け!」
将軍さんはそう言うけれど、田代さんは、将軍さんを無視して続ける。
「田代 雄司です。
将軍とは、高校の時の友人なんです」
私の方を向いて人懐っこい笑みを浮かべ、自己紹介してくれる。
「園部 爽です。
秦野部長の下で働いてます。
よろしくお願いします」
私も自己紹介をして、会釈をする。
すると、田代さんは、途端に驚いた顔をした。
「え?
将軍、彼女、もしかして、例の子か?」
例の子?
何の事?
「ああ、だから、邪魔すんな」
ああって、何?
私の噂話でもしてたの?
「うまくいったのか?」
「ああ」
えっ?
「よかったなぁ。
あ、将軍、取っつきにくい所もあるかもしれないけど、いい奴だから、見捨てないでやってね」
と田代さんは、私に言う。
どういうこと?
よく分からないまま、私は
「はい」
と返事をする。
すると、
「じゃ、お邪魔さま」
と田代さんは席を立ち、別の席へ移動した。
「あの……?」
私は将軍さんを見た。
「例の子って……?」
将軍さんは、なんだかバツが悪そうに目を逸らす。
「いや、何でもない。
大した事じゃないんだ」
何?
聞かれたくない事?
気になるけど……
ま、いっか。
将軍さんが言いたくなさそうなので、私はそれ以上は聞かない事にした。
2人でビールと共に食事をして、帰りは代行運転を頼んだ。
後部座席に2人で座る。
すると、将軍さんがそっと腕を伸ばして肩を抱く。
えっ、これ、どうすれば……
私は一瞬、戸惑うけれど、将軍さんの腕も肩もその温もりも心地良くて、そのまま頭を将軍さんの肩に預けて帰った。
ふふっ
なんだか、とっても幸せな気分……
うちのマンションに着くと、将軍さんも1度車から降りた。
「今日は、楽しかったです。
ありがとうございました」
私がお礼を言い終わらないうちに、将軍さんはそっと私を抱き寄せた。
「俺も楽しかった。
明日も誘っていいか?」
低い声で囁かれて、ドキドキが止まらなくなる。
「……はい」
私はそれだけ返事をするのがやっとだった。
「おやすみ、爽」
「おやすみなさい、将軍さん」
将軍さんは腕を緩めると、私の額にそっとキスを落とした。
「明日は昼頃、電話するから、ゆっくり寝てていいぞ」
と言ってくすっと笑った。
ああ!
朝、寝ぼけて電話に出た事を言ってるんだ。
「はい! 今夜はぐっすり寝ます!」
と私もくすりと笑った。
それを見届けて、将軍さんは、自分の車の助手席に乗り込み、手を振って去っていった。
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