冷たい部長の甘い素顔【コミカライズ連載中】

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第31話 帰り道

車は、海岸線に出る。

しばらく走ると、街道沿いに、海産物の土産物店がいくつも見えてきた。

干物、しらす、桜えび、幾つもののぼりがはためいている。

将軍さんは、そのうちのひとつ「浜焼き」の看板が上がっている店に車を寄せた。

車を降りると、土産物売り場の横が、いくつもの囲炉裏端のようになっている。

お店の人に案内されて、その一角に座ると、私たちは、食べたいものを次々と注文する。

さざえ、大アサリ、海老、蛤などのシーフードからアジの開きまで、私たちはたくさん焼いて食べた。

「お腹いっぱい! おいしかったです。
 ご馳走さまでした」

私がお礼を言うと、

「喜んでもらえて、良かった」

と将軍さんは、笑ってくれた。

店を出ると、将軍さんは、砂浜を見て尋ねる。

「海に寄ってもいいけど、その靴じゃ、
 やめた方がいいよな?」

私は、今、5㎝ヒールのパンプスを履いている。
砂浜に降りれば、埋まるのは目に見えていた。

「将軍さんが行きたいなら、
 私、裸足で歩くから、大丈夫ですよ」

裸足で砂浜って気持ちよさそうだし。

「くくくっ
 そこまでして、行きたいわけじゃない」

そう言った将軍さんは、私の頭をぽんぽんと軽く撫でながら、笑った。

「でも、もし、爽が行きたいなら、お姫様抱っこで連れてってやってもいいけど?」

っ!!

それは、恥ずかしすぎる。

「いえ、結構です!」

と私が言うと、

「くくっ」

と将軍さんが笑った。

帰りは、将軍さんは、私のために海岸線をドライブしながら、帰ってくれた。

行きより時間は掛かったけど、将軍さんと過ごす時間は楽しくて、あっという間だった。


「晩飯、何がいい?」

将軍さんが聞く。

まだ、一緒にいられるの?

正直、もう家に送り届けられて終わりだと思ってたから、ちょっと嬉しくなる。

「何でもいいですよ。
 将軍さんは、何食べたいですか?」

私は、ご機嫌で将軍さんに尋ねる。

「俺に聞くと、飲み屋しか出てこないぞ」

そう言って笑う将軍さんには、もう会社での冷たい表情は、微塵もない。

「そうなんですか?
 まぁ、私はそれでも構いませんけど……。
 あ、じゃあ、由美香んとこ、行ってもいいですか?」

私はふと思い立って、将軍さんにお願いする。

「ん?
 あの合コンしてた居酒屋か?」

「はい!
 由美香に将軍さんを紹介して、もう合コンには行かないって、言ってきたいです」

私がそう言うと、将軍さんは、
ふっ
と優しい笑みを浮かべた。

「分かった。
 じゃあ、行こう」

そう答えた将軍さんは、そのまま由美香の店に向かってくれた。


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