冷たい部長の甘い素顔【コミカライズ連載中】
第5話 連絡先
合コンが始まって、30分ほど経った。
「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね」
私は、小声で隣の男性に声を掛けて、立ち上がる。
すると、
「あ、俺も」
とその男性も席を立った。
用を足し、軽く化粧を直して出てくると、さっきの男性は、その場で待っている。
ああ、そういうことね。
私は、彼が口を開く前に、なんとなく察した。
「爽ちゃん、連絡先教えてくれない?」
やっぱり。
よくあるパターン。
合コン慣れしてるのかな。
そんなことを思いながらも、私は白々しく答える。
「えっと……
通信アプリでもいいかな?」
「もちろん」
男性は満面の笑みで答える。
私たちは、スマホを取り出すと、並んで一緒にフリフリした。
アプリだと、簡単に拒否できるし、何かあっても、アカウントを削除してアプリのIDを変えてしまえば、リセットできてしまう。だから、あとあと楽なのよね。
明日以降、デートのお誘いを受けて、断ったら、そのままブロックが私の中の合コンルール。
ごめんね。
私は、心の中でひそかに謝罪する。
でも、合コンに来る男性陣も、本気で出会いを求めてるとは限らない。
実は、本命の彼女がいる人や、特定の人を作る気がない人だっているはず。
あーあ、前はこんな風にうがったものの見方なんてしなかったのにな。
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