クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔法少女よ、気付かないで。

桃浦さんの透明具合に改めて驚かせられた魔法少女候補生達に、休息の時間はあまりない。





「次は向こうの広場に向かえと、ジルハ先生がさっき……」





「ありがとう、桃浦さん。皆さん、行きましょうか」





「次は、ボール投げなのだ。ずっとソフトボールをやっていたから、すごく自信があるのだ」





「うふふ。うらやましいですわ。私も負けませんわよ?」





ジャージの袖をまくり腕をグルグル回す黄名さん。それを、緑川さんが微笑ましく見つめている。





「ボール投げかあ……。めんどくさいなあ……」





「青山さん。そんな事言っちゃダメですよ。魔法少女になるためなんですから」





「はいはい」





50メートル走ですっかりやる気をなくした青山さんの背中を赤嶺さんが押している。



「新井くーん。測定器具を運んで下さい!」





「はーい。今、行きまーす」





ジルハ先生に呼ばれ、ダッシュする俺。せっかくだから、レーンの上を走ってみた。





何故か普通のグラウンドを走るよりも、圧倒的に体が軽く感じた。





50メートル先にいたジルハ先生まで、2秒と掛からなかった気がする。





ゲームのやり過ぎで感覚がおかしくなっているのか?















「ん?」





「青山さん、どうかしました?」





「いや、今さ。あいつがレーンの上を普通に走って行った気がして……」





「魔力がある私達でさえ、歩くのにも苦労するんですよ。魔力のない、一般人の新井君では、レーンの上で立つ事も出来ないはずですよ」





「だよね。……それにしては、尋常じゃない速さで先生の所に走って行ったような……」





「まさか。気のせいですよ」



「次はボール投げになります。使うボールには、ウォームストーン。魔力を、運動エネルギーに変換する、魔力石が埋め込まれています。120メートル以上が基準点ですね」





俺が抱えていたカゴから、銀色のソフトボールを取り出したジルハ先生。





そして、お前は私のお尻ばかり見て気持ち悪いから、ボールの着地点へ行けと指示された。





白線の引かれたボール投擲地点から、体感距離100メートル。





安全のためながらも、気休めにもならないヘルメットをかぶった俺は、バインダーを構えて、ボールが飛んでくるのを待つ。











「それでは、赤嶺さんからどうぞ。2回計測して、よい方が正式な記録になります」





「分かりました」





「綾音さん。頑張って下さいませ!」





「綾音! 目標は高くなのだ!!」

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