クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔法少女以外の人達。

「私の名前は、沢谷パン子なの!」





「えっ!? パン子!? あの、中華料理屋にいた時は、パンダそのものだったじゃん!」





「そうなの。12時間周期で人とパンダと、姿が変わるの」





うーん。彼女が何を言っているか分からない。





「これからバイトがあるから、失礼するの。まと~。これからもよろしくなの!」





パン子ちゃんはそう言って、教室から飛び出していった。





人からパンダに変身する?12時間周期で?





んな馬鹿な。





「あ、あかん!そのボルト拾ってえな!」





パン子ちゃんとの触れ合いの余韻に浸っていると、足元に大きなボルトが転がってきた。





前から2番目の席。





パン子ちゃんの後ろの席ではんだジュージューしている女の子が落としたものらしい。



「すまんなぁ。どーもこの机は狭すぎてあかんわ」



短く髪を切り揃えた眼鏡を掛けた女の子がゴーグルを外しながら、頭をかいていた。



「君は確か、大阪から来た……」





「そうや。うちの名前は、本城ひでみ。ちっさい頃から機械いじりが好きでなぁ。魔法少女に関するものを結構いろいろ発明していてな、それでこの学園にスカウトされたんや」





本城さんか。女の子関西弁や。





彼女の机の上には、ケータイ電話サイズの丸っこい銀色の機械。





カメラのレンズのようなものが内蔵されているように見える。





「今、浮遊型の監視マシンを制作してんねん。いつ、魔物が襲ってくるか分からん物騒な世の中やからなあ」





「そうだね。ほんと困ったもんだよ」





「巷の噂では、魔王いう存在が誕生するかもしれんらしいで。兄ちゃんも気ぃつけや。うちらみたいな普通の人間が魔物に襲われたら、ひとたまりもないんやから」





うん、そうだね。魔物には気をつけるよ。





魔王としてね。





はあ……。



「校舎裏に建つ研究所の完成がまだやねん。こんな机じゃ、狭くてしゃあないわ!」





本城さんは欠伸をしながら、面倒臭さそうに再び机に向かった。





俺が拾ったボルト以外にも、製作中の監視マシンとやらの接続部に使用するみたいだ。





手先の不器用な俺には、何が何だか分からなかったので、本城さんには特別何も言わずに席を離れた。





その瞬間だった。





「危ない! 伏せて!!」





これから卑しい何かの行為が始まっても不思議ではないくらいの平和な教室に響く、危機迫る声。





その声の主は、ぼやっとしていた俺の体を抱き抱えるように、床に倒れ込んだ。





「ぐはああっ!!」





当然俺はダメージを受ける。





堅い床に頭をぶつける、なかなかのダメージだ。

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