クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

何も知らない魔王様。

「魔法少女とは、常に注目される存在ですわ。なんたって、世界を魔王から、魔界から唯一救う事の出来る1000年に1度の救世主なんですもの」





確かに楓の言う通りだ。





魔法少女なんてものは、漫画やアニメなんかでしかお目にかかれない存在だ。



しかし、1000年に1度のとか言われても全然実感沸かないし、なんとも受け入れ難いよなあ。



今見る限りは、みんな普通の女の子達だし。



魔物相手に魔法をビシバシ放つように見えないし。



そんな彼女達を俺は魔王という立場で育てないといけないのか。



はあ、魔法少女とは出来れば普通に出会いたかったな。



「今日はこれにて終了になります。明日は定時通りに登校して下さい」





担任のジルハ先生がそう言って、クラスに安堵のため息が漏れる。





樺螺杜学園は私立であるため、皆顔見知りは少ない。





何だか、余計な神経を使うよね。





「イロハ。早速行きますわよ」





「はい。お姉様」





解散となるやいなや、くの一姉妹がかばんを持ち席を立つ。





「2人してどこかに行くの?」





「あんたには関係ありませんわ」





こちとらも別にそこまでの興味はなかったけど、お約束として聞いただけなのに、楓にきつい視線を向けられた。





「すみません、魔人さん。お先に失礼しますね」





スタスタといの一番で教室を去る楓を追い掛けるように、イロハは俺にぺこりと申し訳なさそうに頭を下げ、同じく教室を出て行った。



何だかなあ。くの一らしく何か隠し事かよ。





まあ、いいけど。





「にゃは! まと~! まっと~!」





俺も帰り支度をして、席を立とうとすると背後から、ぷにっと頬っぺたを誰かにツンツンされた。





振り返ると、床にしゃがみ込んで、にゃはにゃは笑っている女の子がいた。





「まと~。私が誰だか分かる?」





女の子は悪戯に猫撫で声を発した。





「君はえっと……。ごめん。何処かで会ったっけ」





俺がそう尋ねると、女の子はますます顔をニヤつかせた。





「あたし、夜は中華料理屋さんでバイトしているの。この前、楓イロハとアネットしゃんと一緒に来てくれたの」





中華料理……? ああ。確かに行ったけど、こんな女の子に会ったかな?





うーん……。

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