クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔法少女じゃない子達。

「あたいはこれから、このおにぎりを食べる。そういう訳で、さらば! なのだ!」





さらばと言った後、黄名さんは音速で自分の席に戻りムシャムシャとおにぎりを頬張り始めた。








もう少しでホームルームが始まる。





先生に怒られないといいけど。





「黄名さん。面白い子ですね」





「あっ。ごめん、桃浦さん。おにぎりを拾ってから、完全に君の存在を忘れてたよ」





「ひどいっ!  そんなはっきり言わなくてもいいのに!……いや、逆に気を使われた方が私は可哀相になる……?」





危ない、危ない。ずっと横にいたのに、桃浦さんの姿が全く視界に入っていなかった。





というより、脳が彼女を認識する事を止めたみたいな……?俺の意思とは関係なく。





自己紹介タイムの時、みんなそんな感じだったんだろうね。





魔法少女なのに、可哀相な子。


「皆さん、揃いましたね。ホームルームの続きを始めます。まず、明日の予定ですが……」





15分間の休み時間が終わり、ジルハ先生が教壇に立つ。





1番後ろの席から後ろを見渡してみる。





1番右側には、5人の魔法少女達。





「がつがつ……がつがつ……むしゃむしゃ……」





黄名さんがおにぎりを頬張っている。誰も突っ込まないのだろうか。





魔法少女の隣の列にも女の子がずらり。





少し小柄で見た目は普通の女の子がいる。





このクラスにいるんだから、何かしらの能力があるのかもしれない。





その後ろの子の席からは、溶接音が聞こえる。





はんだごてというやつか。そんな事をやっている女の子の机の上には、ネジやらボルトやら、何かの基盤やらで、それは壮大に散らかっている。



俺からはおさげの髪の毛が見えるだけ。





これにも例によってツッコミなし。





そう後ろ。3番目の席、出席番号8番の女の子は、メイド服姿。





藍色がベースの生地に白とピンクのフリル。





頭には、小さな花がワンポイントのカチューシャを乗せている。





自己紹介の時は、その格好通り、礼儀正しい感じだったけど。





「あら……うっかりしましたわ」





何か、銃のマガジンのようなものを落としたように見えたけど……。





「見ましたわね……」





キラリと光るメイド娘の瞳。クラス全員がジルハ先生の話を聞いているその最中。





席はだいぶ離れているのに、まるで耳元で囁かれたようにメイド娘の声が俺だけに聞こえた。





全身の鳥肌という鳥肌が、一斉に起立。





頷いたらメイド娘に消される。





俺は首を可能な限り横に降りながら、10秒間程の記憶を脳から消そうとしばらくの間試みていた。

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