クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔法少女

「はぁ~……疲れた~……」





ひとまず自分の席に着き、椅子の背もたれでダラダラしながら、大欠伸をかましてみる。





「1番だらけてたあんたが、そんなに疲れるはずないですの」





「そんな事言ってもさ、楓だって疲れたでしょ?」





「たかだか40分じっとしているだけですの。私は、くのいちですのよ」





だいたい、今の時代にくのいちって。





漫画でもなかなか出てこないよね。





楓と話すと怒られてばっかりだな。楓の前の席にいるイロハに相手して貰おう。





「はい。私もじっとしているのは苦手なんです。正直、退屈ですよね」





「イロハ!  こいつの肩なんて持たなくてもよろしいですのよ」





「邪魔すんなよ、楓」





「私の妹に手を出したら……。魔王であるあんたとはいえ、容赦はしませんわよ」





双子の姉が言うお約束の台詞じゃん。





ベタ過ぎるよ。




「皆さん、自分の席に着いて下さい」





教室まで引率してくれた先生がそう声を発した。





少し緊張の解けたクラスメイト達の雰囲気がぎゅっと引き締まる。





「私がA組担任の、ジルハです」





スーツ姿で、銀縁の眼鏡がよく似合っている知的な女性だ。



アネットさんもそうだけど、やっぱ年上女性は知性な巨乳眼鏡に限るね。



目玉焼きには醤油と胡椒をかけるようなものだ。



胸元のポケットに、これも銀色の金属製っぽい細い棒。さっきも見かけた材質不明のあれだ。





それを持っているという事は、担任のジルハ先生は、何かしらの魔法的な能力があると推測出来る。





樺羅杜学園1年A組は、魔法少女がいる特殊なクラスだ。





1000年毎にたった5人だけ、存在する魔法乙女達を預かるんだ。





担任やその周りの人間が、魔法の類いを操れなければ、何かと不都合な事があるだろう。





俺は、ジルハ先生の銀色の棒より、その奥で存在感を放つ胸元が気になって仕方ないけどね。



「それでは出席番号順に自己紹介をして貰いましょう」





入学式のお約束。自己紹介タイムがやってきた。





「まずは、出席番号1番の、赤嶺綾音さん」





「はい」





ジルハ先生に呼ばれ、出席番号1番の女の子が席を立ち教壇へ。さっき、入学式で挨拶していた子だ。





「横浜から来ました、赤嶺綾音です。魔法少女としてこの学園に入学出来た事を誇りに思います。これから3年間よろしくお願いします」





そう言って頭をぺこり下げた赤峰さんに、自然とクラスメイツから拍手が起こる。





この子は、さっきの入学式で挨拶をしていた魔法少女だ。





きっと、かなり出来のいいおつむをお持ちなのだろう。





明るく社交的な感じだし、なんだか魔法少女達のリーダー的存在になりそうだ。

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