クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

魔人、魔王になる

赤く染まったアネットさんの瞳が潤んでいた。彼女も不安だったはずだ。





1000年と16年。俺がここを訪れるまでの間、彼女にはどれ程長い時間に感じただろうか。





「しかし、それに反して自分でもどうしようもはい邪悪な心が目を覚ましてしまう。魔王様は、魔界と永遠なる地球に暮らす全ての人々を救う使命があるのです。その指輪を手に取り、その使命を果たして下さい」





体の奥から感じる反応はまだ消えない。依然として俺の体は、指輪を拒み続けている。





「御理解頂けたでしょうか。魔王様には、指輪を身につける以外の選択はございません」





「なるほど。俺にこの指輪を着けさせるのが、あんたの役目ってわけか。その為に俺を拉致してこんな場所に連れ込んだってわけか」



「どう取るかは、魔王様の自由ですが、この指輪を手にしなければ、地球にも魔界にもいい事はありません。分かって下さい。あなたがその指輪をはめれば、ひとまずは地球と魔界、2つの世界の人々が救われるのです」



ひとまずはか。一筋縄ではいかないわけか。



まあ、仕方ないのか。



俺は深く何度も深呼吸をして、祭壇に奉られる黒い指輪に手を伸ばした。


俺は黒い指輪を手に取り、アネットさんに言われるがまま、右手薬指へ。





「ゆっくりと。指の付け根まではめ込んで下さい」





きついわけでもなく、緩いわけでもない。





まるでその指輪は、俺の為に作られたかのように。





怖いくらい俺の指のサイズにピッタリだった。





初めは冷たい感触だったけど、段々と体に馴染む。





体の底から得体のしれない力が湧いてくるような気が。





「魔王様から、凄まじいエネルギーを感じます。心が落ち着きます」





アネットさんはまるで指輪をはめた俺に心を掴まれたようにぐーっと引き付けられるような目をしていた。



「それでは、帰りましょうか」





祭壇のある部屋の外に出ると、再びアネットさんが扉に手を当てる。





そして、開いた時よりも簡単に重たい鉄の扉はしまった。





「その指輪は、魔力を高める効果もあるのです。私にも感じます、自分のエネルギーが高まる事を」





そんなアネットさんの話を聞きつつ、眠たい目を擦りながら、再び長い階段を上がる。





「私は魔王様に会える事を心から望んでおりました。1000年の間、私は魔王様を忘れた時間はございません」

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