クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

誘拐されて始まる魔王生活。

「それじゃ、あれだ。その封印の魔法とやらから逃れた魔王軍の子孫が俺だって言いたいんだよね?」

「いいえ……。子孫などではなく、ジャミマ様の息子さんが、魔人様あなたなのです」

「へ?  でも、1000年前の話なんじゃ……」

あらー。どういう事ー?

そんな俺の疑問をくのいち姉妹が説明してくれた。

「あんたは16年前まで、凍結の魔法で生まれたままの姿で、魔界にて保管されていたのですわ」

保管……。冷凍保存的な事か。

助手席に座る姉くのいちに続き、妹くのいちも口を開いた。

「そして16年前。魔王様は、人間と魔族両方の血を受け継いだ家庭で、今の今までお育ちになった」

「ああ……。うちの母ちゃんと父ちゃんには、魔界の血が混じってるんだ。どっちも市役所で働いてるのに……」



「着きましたぞ。お乗り換え下され」

魔界やら何やらと、意味不明な話を聞くこと30分。

俺を乗せた車は、木々が生い茂る山の中を進んでいき、とある施設に入った。

金網と警備員に守られたその施設。

作業着を着た幾人ばかりかの人が働いていた。

地図にも載っていない、この地域にずっと住んでいた俺も知らない、何かの工場のようだ。

そして車はさらに施設の奥へ進み、そこに現れたのはヘリポート。

1機のヘリコプターが俺の到着を今か今かと待っているようだった。

「ヘイ、アネット!  このボーイが1000年ぶりのブラックボスかい?」

車を降りると、陽気なアメリカかぶれが声を掛けてきた。

「しばらくでしたね。今日は、よろしくお願いしますよ」

「オッケー!  俺の相棒に乗り込んでくれ。すぐに出発するぜ!準備はオーケーかい?」


「ええ。大丈夫ですよ」

ヘリの操縦席に座ったアメリカかぶれがノリノリでこちらを振り向いて来たからシートベルトを締めながら返事をした。

「ヒアウィ、ゴオォ~~!」

やはりノリノリな掛け声と共に、ヘリは、ヘリポートに轟音と突風を撒き散らしながら飛び立つ。

ものの10秒程で、施設があっという間に小さくなっていく。

気になったのは、どうやらこのヘリには、ランチャーや機関銃が装備されている。

俺が座る席の前にはもスコープ付きのライフルが何丁も。

まさか、何かとバトらないよね?

大丈夫だよね? まだ死にたくないですよ?

無事に目的地に着く事を、目の前に座るスーツの女性の豊満な胸元をガン見しながら、俺はただ切実にそう祈る事にした。

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