クラスメイトは魔法少女。俺、黒幕。

わーたん

誘拐されて始まる魔王生活。3

絶対には聞いていけない事。

尋ねてはいけない瞬間ていうのがある。

今、目の前でハンカチを目尻に当てている女性に尋ねてはいけない。

自分から、非常識。非日常。

そんなボタンを押してしまうようなものだ。

そりゃあ、中には今の生活にウンザリだ。非日常でも何でも楽しければいいぜ!

そう思う奴だっているかもしれない。

だけど、もう一度よく考えろ。

魔王だぞ?

魔界だぞ?

確実にあぶねえ。絶対にヤバい。

これが逆にヒーローとか、勇者様って言われたなら、俺は間違いなくそのボタンを押しただろう。



ボタン押してニコニコ顔で女性に着いていくよ。異次元世界にでも行って勇者の剣とか、まずはそんな感じの物をを手にするんだろう?

そうしたら、レベルを上げる前に、薬草を買う前に、俺は教会に行くよ。そしてお祈りしているシスターとまずはお近づきになるさ。

そして、年上のムチムチ巨乳女戦士。引っ込み思案だけど、一生懸命回復してくれる可愛い僧侶。後は、ツンデレ魔法使いといったところか。

みんなだって、そんなハーレムパーティを組みたいでしょ?

え? 不器用な男勝り武闘家や、ボクッ娘盗賊のがいいって?



急用を思い出しちゃった。だから、ちょっとお出かけしてくるね!てへっ!

まあ、そんな感じで俺が女性に背を向け、逃げ出そうとした瞬間。

会議室の隅で何かがキラリと光った。誰かがいやがる。

「私にお任せを。アネット殿」

「いろはさん!」

俺は今感づいた。いつの間にか会議室に紛れ込んでいた、しのび系の女の子。

真っ黒のくのいち衣装を身に纏い、外からは目元だけが見える。くりっとした大きな瞳だ。

そいつが逃げる俺を捕らえようとしている確率100パーセント。攻撃を加えてくる確率もそのくらいだろう。

「これでも食らいなさい!  ふっ!!」

思った通りだ。

悪い予感だけはよく当たる。

何かがキラリと光ったのも、気のせいではなかったようだ。

何か当たったら眠くなるか、体がしびれそうな鋭い矢が飛んできてやがる。

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