実況!4割打者の新井さん
たい焼き食われた新井さん2
早く準備しないと、マシンも片付けるぞと打撃コーチがさらに煽ってきたので、俺はベンチの上にたい焼きを置いて、急いでバットを持ち、ヘルメットをかぶって、ネット裏で待機。
軽くバットを体の後ろに回すようにしてストレッチをしながら体を起こす。
目の前には同じルーキーの浜出君。開幕こそ調子がよくてコンスタントに試合に出ていたが、最近は同じ左打ちの守谷ちゃんというライバルにポジションを奪われた形。
その悔しさも晴らすように、必死になってやっている彼のマシン打撃をぼんやりと見ていた。
カァン!
「ありがとーございましたー!!」
最後にいい当たりのセンターへのライナーを打って終わりにした浜出君がマシンにボールを入れてくれていたスタッフに頭を下げて、ネット裏に。
続いて俺が入る。
「お、最後は新井くんか! 君も意外と真面目だな。ちゃんと練習に来るなんて」
マシンの側で、顔見知りのスタッフが挨拶がてらに、そんなことを口にしながら、おいーっすと手を上げた。俺のことを普段どのように思っていたのだろうか。
「それじゃ、新井くん。とりあえず20球いくよー!」
「はーい、よろしくお願いします!」
そんな返しをながら、バットを構えて足元の人工芝に撒かれた砂をならしていると、背後で浜出君が何か言っていた。
「新井さん、このたい焼き差し入れっすか! 有り難くいただきます!! あーん!」
「浜出君、ちょっと、待て! それは俺のたいや………ギャー!!」
ボゴッ!
オイラの可愛いおケツにボールがー!!
「何をやってるんだ、新井くん! 急にホームベースに立つなんて!」
痛い。非常に痛い。
プロ野球で使用しているボールっておケツに当たってしまうと非常に痛いということを改めて実感しました。
じんじんと痛む右の丸おケツ1号改をなでなでしながら滲んだ涙を拭く。
「新井くーん、大丈夫か? 時間ないから、次いくよー!」
「おいーす!」
グオングオンと駆動音を立てるマシンから放たれたボール。ボゴンッ! という音がして、白いボールがビュイッと一気に距離を詰めてくる。
130キロくらいの真ん中付近の真っ直ぐのボール。
視覚的なトレーニングにもなるので本来の18、44メートルから、やや短い距離にセッティングされたマシンのボール。
意外とタイミングがないことに気づいて慌ててバットを振り出すと、ファウルチップになって背後に飛んだ。
足元に転がったボールをバットの先で転がし返そうとすると、後ろのベンチに怪しい影。
「アラサーン、ノードロボー、ノードロボー………モグモグ」
あっ、イタリア人が俺のたい焼きを食ってやがる!
「シェパード、てめえ! それはジャパニーズソウルフードなんだぞ! 鼻の高いイタリアンが容易く口に出来ると思うな…………」
ボゴッ!!
ギャー、今度左の丸型おケツ2号改がー!!」
「新井くん! だから、ホームベースに立つな!!」
痛い。早く真面目に練習しよう。
カンッ!
「オッケー。新井くん、ナイスバッティング!」
カアンッ!!
「おお、これもヒットだ!いいねえ!」
マシンから放たれたボールを俺は、騒がず力まずな、6割7割くらいの力で打ち返す。
ガッツリ力を入れてバッティングするというよりは、ボールを打ち返す感覚を確かめる練習だ。
自分の中で、このスピードのボールなら、このタイミングで打てばライト前に落ちるような打球になる。
少しだけポイントを手前に置けば、ライト線に飛び、こういうバットの返し方をすれば、ピッチャーの足元付近に打ち返せる。
そういう感覚を試合のない移動日に確かめられるのは確かに大事なことかもしれないが、もう7月だ。
出来ればたまの休みにはきっちり休んで試合に備えたい気持ちもある。
現に、自主練習を命じられたのは野手陣だけだし。
まあ、夏場に差し掛かるこの時期にはピッチャー陣の踏ん張りがものを言うからな。
「アライサン。タイヤキ、イタダキマス!!」
「ロンパオ、お前もか!?」
ボゴッ!
「ギャー、俺のおケツがー!!」
「ダイジョブ? アライサン」
「ロンパオ……。なんでピッチャーのお前が自主練に?」
「マケテバッカリ。オレ、デバンナカッタ」
ああ、そうか。勝ちパターンリリーフ陣のロンパオやキッシーは試合展開的に全然登板機会がなかったもんね。
どうでもいいけど。
軽くバットを体の後ろに回すようにしてストレッチをしながら体を起こす。
目の前には同じルーキーの浜出君。開幕こそ調子がよくてコンスタントに試合に出ていたが、最近は同じ左打ちの守谷ちゃんというライバルにポジションを奪われた形。
その悔しさも晴らすように、必死になってやっている彼のマシン打撃をぼんやりと見ていた。
カァン!
「ありがとーございましたー!!」
最後にいい当たりのセンターへのライナーを打って終わりにした浜出君がマシンにボールを入れてくれていたスタッフに頭を下げて、ネット裏に。
続いて俺が入る。
「お、最後は新井くんか! 君も意外と真面目だな。ちゃんと練習に来るなんて」
マシンの側で、顔見知りのスタッフが挨拶がてらに、そんなことを口にしながら、おいーっすと手を上げた。俺のことを普段どのように思っていたのだろうか。
「それじゃ、新井くん。とりあえず20球いくよー!」
「はーい、よろしくお願いします!」
そんな返しをながら、バットを構えて足元の人工芝に撒かれた砂をならしていると、背後で浜出君が何か言っていた。
「新井さん、このたい焼き差し入れっすか! 有り難くいただきます!! あーん!」
「浜出君、ちょっと、待て! それは俺のたいや………ギャー!!」
ボゴッ!
オイラの可愛いおケツにボールがー!!
「何をやってるんだ、新井くん! 急にホームベースに立つなんて!」
痛い。非常に痛い。
プロ野球で使用しているボールっておケツに当たってしまうと非常に痛いということを改めて実感しました。
じんじんと痛む右の丸おケツ1号改をなでなでしながら滲んだ涙を拭く。
「新井くーん、大丈夫か? 時間ないから、次いくよー!」
「おいーす!」
グオングオンと駆動音を立てるマシンから放たれたボール。ボゴンッ! という音がして、白いボールがビュイッと一気に距離を詰めてくる。
130キロくらいの真ん中付近の真っ直ぐのボール。
視覚的なトレーニングにもなるので本来の18、44メートルから、やや短い距離にセッティングされたマシンのボール。
意外とタイミングがないことに気づいて慌ててバットを振り出すと、ファウルチップになって背後に飛んだ。
足元に転がったボールをバットの先で転がし返そうとすると、後ろのベンチに怪しい影。
「アラサーン、ノードロボー、ノードロボー………モグモグ」
あっ、イタリア人が俺のたい焼きを食ってやがる!
「シェパード、てめえ! それはジャパニーズソウルフードなんだぞ! 鼻の高いイタリアンが容易く口に出来ると思うな…………」
ボゴッ!!
ギャー、今度左の丸型おケツ2号改がー!!」
「新井くん! だから、ホームベースに立つな!!」
痛い。早く真面目に練習しよう。
カンッ!
「オッケー。新井くん、ナイスバッティング!」
カアンッ!!
「おお、これもヒットだ!いいねえ!」
マシンから放たれたボールを俺は、騒がず力まずな、6割7割くらいの力で打ち返す。
ガッツリ力を入れてバッティングするというよりは、ボールを打ち返す感覚を確かめる練習だ。
自分の中で、このスピードのボールなら、このタイミングで打てばライト前に落ちるような打球になる。
少しだけポイントを手前に置けば、ライト線に飛び、こういうバットの返し方をすれば、ピッチャーの足元付近に打ち返せる。
そういう感覚を試合のない移動日に確かめられるのは確かに大事なことかもしれないが、もう7月だ。
出来ればたまの休みにはきっちり休んで試合に備えたい気持ちもある。
現に、自主練習を命じられたのは野手陣だけだし。
まあ、夏場に差し掛かるこの時期にはピッチャー陣の踏ん張りがものを言うからな。
「アライサン。タイヤキ、イタダキマス!!」
「ロンパオ、お前もか!?」
ボゴッ!
「ギャー、俺のおケツがー!!」
「ダイジョブ? アライサン」
「ロンパオ……。なんでピッチャーのお前が自主練に?」
「マケテバッカリ。オレ、デバンナカッタ」
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