実況!4割打者の新井さん
ススキノに行けない新井さん2
「いやー、お腹いっぱいになりましたね!! げふー」
お前はな。
俺はそう思ったが、目の前でなぜか俺を見張る敵だとはいえ、女の子が幸せそうな顔をしているのは悪い気がしない。
彼女のグラスにウーロン茶を注いであげながら、拗ねるのは止めにして、彼女との雑談に花を咲かせた。
「それじゃあ、新井さん。行きますか」
「え? どこに?」
俺がそう返すと、名も知らん彼女はバンとテーブルを叩きながら立ち上がった。
「あなたが相手をしろって誘ったんじゃないですか!今晩は、俺の相手をしろって!!」
彼女が大声を出し、周りの客の視線が俺ら2人に集まる。
「あっ! すみません……」
彼女もそれに気付いて、気まずそうにしながら顔を赤くして、しゅんとしながら席に着いた。
危ない、危ない。他にチーム関係者はいないようだから助かった。
何を大声で言ってんの? この子は。
「と、とにかく! 行きますよ、新井さん。ここまで来たら、覚悟を決めて下さいよ」
レストランを飛び出すように出た彼女は、俺の袖やそんなところではなく、俺の手を直にぎゅっと握ってグイグイと引っ張る。
どこか彼女の様子は落ちつきなく、顔も紅潮している様子で、エレベーターに乗っている間もずっとそわそわしていた。
ウィーンと開いたエレベーターの先は、知らない階層。
照明が少し暗めに落とされていて、なんだか俺には慣れないムードがあって、エントランス付近では既に、アダルトなカップルがポツポツとよろしくやってい空間。
ゆっくりとお酒を飲めそうな雰囲気のバーがいくつかある。
「もう今日は部屋に帰れないかもしれませんからね。こうなったのは…………新井さん。あなたのせいですよ」
「あ、ああ。………男に二言はないさ………」
しどろもどろな俺をさらに引っ張って、チームジャージの彼女は行く。
階層の1番奥のお店に入ろうとする。
「あの、女の子とこういう行為をするのは初めてで………」
「そうですか。私は別に新井さんとするのは全然嫌じゃないんでそれは安心して下さい。でも、私をがっかりさせたりはしないようにお願いします」
「お、おう……」
最近の女子大生はこういうタイプの真面目そうな子でも結構積極的なんだな。
俺はそう思って彼女に着いていき、言われたとおりに覚悟を決めることにした。テクニックとかマナーには自信はないが、大切なのは心、そして相手を思いやる気持ちのはずだ。
初めから上手く出来るやつなんてなかなかいないんだから。
こういうのは経験、経験だ。
「イエーイ!! 20のトリプルー!! あっ、さらにブルも!!新井さん、見て下さい! 結構私上手でしょう? 野球選手相手でも、ダーツなら負けませんよ!!」
ちっ。ただのダーツかよ。ちょっとドキドキしたのに。
さて、試合。試合。
「4回表、北関東ビクトリーズの攻撃は………2番、レフト、新井」
札幌を本拠地とする、北海道フライヤーズと仙台を本拠地とする、東北レッドイーグルス。
2つのチームと移動日なしで3連戦ずつを戦う札仙シリーズの第4戦。
昨日、 なんとか勝利を挙げて北海道での3連敗は阻止した我が北関東ビクトリーズ。
この仙台の3連戦では、まずはなんとか初戦に勝利を挙げて、波に乗りたいところ。
その初戦は、両チームの先発ピッチャーの好投が光り、序盤3イニングは互いに0が並んだ。
そして4回表、うちの攻撃である。
「さあ、この回北関東ビクトリーズは、2番の新井が先頭打者、打席に入ります。1打席目はフォアボールでした。ここまでは53打数の23安打。打率は4割3分3分という数字を残している新井です」
「打席はまだ少ないんですが、彼はいいバッティングしますねえ。右打者でこれほど流し打ちに徹する選手は久しぶりに見ましたよ」
お前はな。
俺はそう思ったが、目の前でなぜか俺を見張る敵だとはいえ、女の子が幸せそうな顔をしているのは悪い気がしない。
彼女のグラスにウーロン茶を注いであげながら、拗ねるのは止めにして、彼女との雑談に花を咲かせた。
「それじゃあ、新井さん。行きますか」
「え? どこに?」
俺がそう返すと、名も知らん彼女はバンとテーブルを叩きながら立ち上がった。
「あなたが相手をしろって誘ったんじゃないですか!今晩は、俺の相手をしろって!!」
彼女が大声を出し、周りの客の視線が俺ら2人に集まる。
「あっ! すみません……」
彼女もそれに気付いて、気まずそうにしながら顔を赤くして、しゅんとしながら席に着いた。
危ない、危ない。他にチーム関係者はいないようだから助かった。
何を大声で言ってんの? この子は。
「と、とにかく! 行きますよ、新井さん。ここまで来たら、覚悟を決めて下さいよ」
レストランを飛び出すように出た彼女は、俺の袖やそんなところではなく、俺の手を直にぎゅっと握ってグイグイと引っ張る。
どこか彼女の様子は落ちつきなく、顔も紅潮している様子で、エレベーターに乗っている間もずっとそわそわしていた。
ウィーンと開いたエレベーターの先は、知らない階層。
照明が少し暗めに落とされていて、なんだか俺には慣れないムードがあって、エントランス付近では既に、アダルトなカップルがポツポツとよろしくやってい空間。
ゆっくりとお酒を飲めそうな雰囲気のバーがいくつかある。
「もう今日は部屋に帰れないかもしれませんからね。こうなったのは…………新井さん。あなたのせいですよ」
「あ、ああ。………男に二言はないさ………」
しどろもどろな俺をさらに引っ張って、チームジャージの彼女は行く。
階層の1番奥のお店に入ろうとする。
「あの、女の子とこういう行為をするのは初めてで………」
「そうですか。私は別に新井さんとするのは全然嫌じゃないんでそれは安心して下さい。でも、私をがっかりさせたりはしないようにお願いします」
「お、おう……」
最近の女子大生はこういうタイプの真面目そうな子でも結構積極的なんだな。
俺はそう思って彼女に着いていき、言われたとおりに覚悟を決めることにした。テクニックとかマナーには自信はないが、大切なのは心、そして相手を思いやる気持ちのはずだ。
初めから上手く出来るやつなんてなかなかいないんだから。
こういうのは経験、経験だ。
「イエーイ!! 20のトリプルー!! あっ、さらにブルも!!新井さん、見て下さい! 結構私上手でしょう? 野球選手相手でも、ダーツなら負けませんよ!!」
ちっ。ただのダーツかよ。ちょっとドキドキしたのに。
さて、試合。試合。
「4回表、北関東ビクトリーズの攻撃は………2番、レフト、新井」
札幌を本拠地とする、北海道フライヤーズと仙台を本拠地とする、東北レッドイーグルス。
2つのチームと移動日なしで3連戦ずつを戦う札仙シリーズの第4戦。
昨日、 なんとか勝利を挙げて北海道での3連敗は阻止した我が北関東ビクトリーズ。
この仙台の3連戦では、まずはなんとか初戦に勝利を挙げて、波に乗りたいところ。
その初戦は、両チームの先発ピッチャーの好投が光り、序盤3イニングは互いに0が並んだ。
そして4回表、うちの攻撃である。
「さあ、この回北関東ビクトリーズは、2番の新井が先頭打者、打席に入ります。1打席目はフォアボールでした。ここまでは53打数の23安打。打率は4割3分3分という数字を残している新井です」
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