実況!4割打者の新井さん
初ヒットのボールは何処へ?
俺の記事のコメント欄にはその他にもわりかし多くの書き込みがあった。
バント終わりのバッティングセンターとか、休みの日もパチンコとかようみんなそんなことまで知ってるなあ。
誰にも話したことないのに。今の情報社会は怖いぜ。
「はい、ポニ…………山名さん、ケータイ返すね」
「……なんです? ………ポニ?」
「いやー、なんでもないよー」
危ない、危ない。ポニテおっぱいちゃんと言ってしまいそうだった。
「あ、2人ともマイプロ登録した?」
ギャル美もスマホを取り出して、何かいじっている。
「したよ。さやちゃんもした?」
「しました。今登録しとけとば、スペシャルレアが貰えるんですよね!」
みのりんとポニテちゃんがなんだか楽しそうな口振り。
「あんたも事前登録しておきなさいよ。ユーザー同士で選手トレードが出来るんだから、あたしにいい選手は寄越しなさい」
ギャル美はなぜだか嬉しそうに命令口調で俺に通告する。
ああ、マイプロって今スレッドの広告にも出てた新しいスマホのプロ野球ゲームか。
まあ、みのりんもやるみたいだし、ギャル美のご機嫌取りにも使えそうだから、俺もそのマイプロってやつを登録しておこう。
「あっ!!!」
「どうしたの? マイちゃん、びっくりしたなー、もー」
ホイコーローの最後の一口を食べたら隣に座るギャル美が何か急に大声を出した。
そして睨み付けるようにして俺に迫る。
「あんた、初ヒットの記念のボールは?」
…………あっ!!!
俺もギャル美と同じ顔になった。
「………しまったー。もらってなかったー」
俺は一気に絶望の淵へと叩き落とされる。
ボールもらうの忘れたー。
「新井さん。初ヒットを打つとそのボールを貰えるものなんですか?」
「うん。普通はね。ヒットになったボールが内野に返ってきたら、コーチャーがボールをくれって言ったり、相手がベンチにボールを返してくれたりするんだけどね」
「新井くんの打ったボール。ワンバウンドして、エキサイティングシートに入ったよね」
みのりんの言う通り、俺が打ったライト線への打球は、ライン上でワンバウンドすると、鋭くスライスしてファウルグラウンドにせりだしたエキサイティングシートへ。
なんとなく見ていた感じだと、大阪ジャガースのユニフォームを着た子供がキャッチしたように見えた。
「俺の初ヒットがどうこうより、ノーヒットノーランがなくなったのかどうかって場面だったからな。誰1人として俺の初ヒットなんてどうでもいいような状況だったし。…………そして2軍に落とされる始末………」
「新井くん。元気出して」
そう自虐るとみのりんがテーブルに乗り出してよしよしと俺の頭を撫でてくれた。
「そうよ。ほら、もう1本飲んじゃいましょ」
そして、ギャル美が冷蔵庫から取り出した発泡酒をあけて、俺のグラスへと注いでくれた。
          
バント終わりのバッティングセンターとか、休みの日もパチンコとかようみんなそんなことまで知ってるなあ。
誰にも話したことないのに。今の情報社会は怖いぜ。
「はい、ポニ…………山名さん、ケータイ返すね」
「……なんです? ………ポニ?」
「いやー、なんでもないよー」
危ない、危ない。ポニテおっぱいちゃんと言ってしまいそうだった。
「あ、2人ともマイプロ登録した?」
ギャル美もスマホを取り出して、何かいじっている。
「したよ。さやちゃんもした?」
「しました。今登録しとけとば、スペシャルレアが貰えるんですよね!」
みのりんとポニテちゃんがなんだか楽しそうな口振り。
「あんたも事前登録しておきなさいよ。ユーザー同士で選手トレードが出来るんだから、あたしにいい選手は寄越しなさい」
ギャル美はなぜだか嬉しそうに命令口調で俺に通告する。
ああ、マイプロって今スレッドの広告にも出てた新しいスマホのプロ野球ゲームか。
まあ、みのりんもやるみたいだし、ギャル美のご機嫌取りにも使えそうだから、俺もそのマイプロってやつを登録しておこう。
「あっ!!!」
「どうしたの? マイちゃん、びっくりしたなー、もー」
ホイコーローの最後の一口を食べたら隣に座るギャル美が何か急に大声を出した。
そして睨み付けるようにして俺に迫る。
「あんた、初ヒットの記念のボールは?」
…………あっ!!!
俺もギャル美と同じ顔になった。
「………しまったー。もらってなかったー」
俺は一気に絶望の淵へと叩き落とされる。
ボールもらうの忘れたー。
「新井さん。初ヒットを打つとそのボールを貰えるものなんですか?」
「うん。普通はね。ヒットになったボールが内野に返ってきたら、コーチャーがボールをくれって言ったり、相手がベンチにボールを返してくれたりするんだけどね」
「新井くんの打ったボール。ワンバウンドして、エキサイティングシートに入ったよね」
みのりんの言う通り、俺が打ったライト線への打球は、ライン上でワンバウンドすると、鋭くスライスしてファウルグラウンドにせりだしたエキサイティングシートへ。
なんとなく見ていた感じだと、大阪ジャガースのユニフォームを着た子供がキャッチしたように見えた。
「俺の初ヒットがどうこうより、ノーヒットノーランがなくなったのかどうかって場面だったからな。誰1人として俺の初ヒットなんてどうでもいいような状況だったし。…………そして2軍に落とされる始末………」
「新井くん。元気出して」
そう自虐るとみのりんがテーブルに乗り出してよしよしと俺の頭を撫でてくれた。
「そうよ。ほら、もう1本飲んじゃいましょ」
そして、ギャル美が冷蔵庫から取り出した発泡酒をあけて、俺のグラスへと注いでくれた。
          
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