実況!4割打者の新井さん
新井さん、舞い戻る2
「おう、新井か。ずいぶん遅かったな。迷ったか?」
名も知らんコーチがベンチ裏に現れ、外の屋台で買ったたこ焼きを食っていた俺は見つかった。
「サブグラウンドの場所分かるか? そこで体動かしてウォームアップしてこい」
飲み込むようにたこ焼きを完食した俺はグラブとバットを持ってドーム内の専用通路からサブグラウンドである室内練習場に向かう。
チラッと見たブルペンでは既に大量リードを許している影響か2人のピッチャーが投球練習をしていた。
それを横目に通路を小走りで走り、アルミの大扉を開けて、ネットをくぐる。
「おお、ここか」
内野グラウンドより少し広いサイズのスタンダードな室内練習場。
試合前は野手がティーかマシン打撃とかしていたかもしれないが、トンボがところどころに放置されていて、もうきれいに片付けされている。
誰もいないかと思っていたが、奥の方で試合の映像を見ながらマットでストレッチしているもっちゃりした台湾人がいた。
「よー、ロンパオ!」
「オー、アライサン!」
「調子はどうよ、ロンパオちゃん」
「ニホンノボール、ブレーキングナゲレル。カーブヨクマガルヨ」
ガッチリと強めに握手をかわすと、ロンパオはニカッと笑った。それを見て、彼の調子のよさが伺える。
入団したばかりの頃は、左肩の故障歴もあり、それほど首脳陣から期待されていなかった。
しかし、投げてみたら評価は激変。最速150キロのストレートにブレーキがかかりながら鋭く落ちるドロップカーブが切れ味抜群。
どうやら日本の野球環境が合うようで、常に気持ちよさそうに投げていた。
初登板から8試合連続無失点と、気づけば今となっては、リードした8回を任せられるセットアッパーに君臨している。
そんな彼も今0ー7となっては、よほど打線が頑張らないと今日の出番はないので、ちょうどいい練習相手を見つけたと思った。
「ロンパオ、ちょっとキャッチボールとティーバッティング付き合って」
「イイヨ。……アライサン、ボクガ、ナゲテアゲマスヨ」
「え? マジで? じゃあ、ヘルメット持ってくるわ」
軽く走って、ストレッチしてキャッチボールが終わると、なんとロンパオが軽く投球してくれると申し出てきた。
軽いティーバッティングか、バッティングピッチャーのおじさんにちょこっと投げてもらおうかと思っていたので大ラッキー。
今チームの左ピッチャーで1番いい球を投げているからな。
こんな生きたら球を打てるなんて、2軍の試合でも打つ機会がなかった俺にこんなありがたいことはない。
俺はダッシュでベンチ裏にいって、ヘルメットとペットボトルに入ったスポーツドリンクを2本持って、サブグラウンドへと戻る。
「お待たせー、ロンパオ」
「ジャー、イクヨ!」
ロンパオは室内練習場のマウンドに立つと、軽く足場をならすと、セットポジションから鋭く左腕を振り抜く。
ギュン! というくらいの時間であっという間にホームベースまでボールが到達。
俺は当てるのが精一杯。真ん中付近のストレートだが、真後ろのファウルボールになった。
「おーい、大丈夫かよ。そんなに力いっぱい投げて」
「アライサン、イキナリアテルナンテヤルネ。ツギハカーブイクヨ!」
「おう! 来やがれ!!」
          
名も知らんコーチがベンチ裏に現れ、外の屋台で買ったたこ焼きを食っていた俺は見つかった。
「サブグラウンドの場所分かるか? そこで体動かしてウォームアップしてこい」
飲み込むようにたこ焼きを完食した俺はグラブとバットを持ってドーム内の専用通路からサブグラウンドである室内練習場に向かう。
チラッと見たブルペンでは既に大量リードを許している影響か2人のピッチャーが投球練習をしていた。
それを横目に通路を小走りで走り、アルミの大扉を開けて、ネットをくぐる。
「おお、ここか」
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試合前は野手がティーかマシン打撃とかしていたかもしれないが、トンボがところどころに放置されていて、もうきれいに片付けされている。
誰もいないかと思っていたが、奥の方で試合の映像を見ながらマットでストレッチしているもっちゃりした台湾人がいた。
「よー、ロンパオ!」
「オー、アライサン!」
「調子はどうよ、ロンパオちゃん」
「ニホンノボール、ブレーキングナゲレル。カーブヨクマガルヨ」
ガッチリと強めに握手をかわすと、ロンパオはニカッと笑った。それを見て、彼の調子のよさが伺える。
入団したばかりの頃は、左肩の故障歴もあり、それほど首脳陣から期待されていなかった。
しかし、投げてみたら評価は激変。最速150キロのストレートにブレーキがかかりながら鋭く落ちるドロップカーブが切れ味抜群。
どうやら日本の野球環境が合うようで、常に気持ちよさそうに投げていた。
初登板から8試合連続無失点と、気づけば今となっては、リードした8回を任せられるセットアッパーに君臨している。
そんな彼も今0ー7となっては、よほど打線が頑張らないと今日の出番はないので、ちょうどいい練習相手を見つけたと思った。
「ロンパオ、ちょっとキャッチボールとティーバッティング付き合って」
「イイヨ。……アライサン、ボクガ、ナゲテアゲマスヨ」
「え? マジで? じゃあ、ヘルメット持ってくるわ」
軽く走って、ストレッチしてキャッチボールが終わると、なんとロンパオが軽く投球してくれると申し出てきた。
軽いティーバッティングか、バッティングピッチャーのおじさんにちょこっと投げてもらおうかと思っていたので大ラッキー。
今チームの左ピッチャーで1番いい球を投げているからな。
こんな生きたら球を打てるなんて、2軍の試合でも打つ機会がなかった俺にこんなありがたいことはない。
俺はダッシュでベンチ裏にいって、ヘルメットとペットボトルに入ったスポーツドリンクを2本持って、サブグラウンドへと戻る。
「お待たせー、ロンパオ」
「ジャー、イクヨ!」
ロンパオは室内練習場のマウンドに立つと、軽く足場をならすと、セットポジションから鋭く左腕を振り抜く。
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俺は当てるのが精一杯。真ん中付近のストレートだが、真後ろのファウルボールになった。
「おーい、大丈夫かよ。そんなに力いっぱい投げて」
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「おう! 来やがれ!!」
          
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