実況!4割打者の新井さん

わーたん

テレビゲームの新井さん2

「とりあえずスタメンの能力は……」

座布団にぺたんと座ったマイちゃんがピコピコと画面を操作してビクトリーズの選手達の能力が画面に映し出された。

1番 センター 柴崎  右左

ミEパD走A肩D守D 内野安打◯意外性 三振

2番 ファースト高田 右右

ミDパE走D肩D守C バント チャンスB

3番サード 阿久津 右右

ミEパB走E肩B守D 広角打法 対左B 三振

4番 ショート 赤月 右左

ミDパC走C肩B守備E プルヒッター チャンスB

5番レフト シェパード  左左

ミEパB走E肩C守F パワーヒッター 併殺 三振

6番 ライト 桃白 右左

ミDパD走B肩B守C チャンスメーカー レーザー

7番 キャッチャー 鶴石 右右

ミFパC走F肩C守D 流し打ち キャッチャーB

8番 セカンド 浜出  右左

ミEパE走B肩E守C 内野安打 ヘッスラ 対左F

一通り能力を見終わったマイちゃんは柴ちゃんと桃ちゃんの能力を何回も見比べる。

「やっぱりこの2人の能力は上がってるわね。特に桃白の守備能力が上がってるのはでかいわ」

「マイさん。あと、浜出君の能力も上がってますよ」

「ほんとだ。でも、赤月とシェパードの守備がひどいわね」





「ねえ」

俺は恐る恐るマイちゃんに声をかける。

「なによ。あんたもやりたいの?」

「うん。まあ、やりたいけど。ちなみに俺の能力は………」

「ああ、あんたね。……………えっと、いないわね。チョー、ウケる」

「えっ!? 俺、いないの!?」

嘘でしょ!? 選手名鑑にもいないくて、俺ゲームにもいないの?

「マイさん。新井さんいましたよ。ほら、野手の1番下に」

ポニテちゃんが大きな体を乗り出してテレビ画面を指差す。

「あ、ごめん。あんたいるじゃない。チョー、ウケる」

新井 外野手 右右

ミFパF走E肩E守E バント◎ 流し打ち


「あんた、よっわ! ピッチャーだったかしら? メッチャウケる!!アハハハハ!」

俺の能力を見て、マイちゃんがゲラゲラと笑う。

「大丈夫です、新井さん! これからですよ」

「みんな。ご飯出来たよ」





カキーン!!

みんなでご飯を食べた後、今日はみのりんの仕事もお休みなので、みんなで実況ミラクルプロ野球を楽しんでいた。

「打ったー! 大きい当たりー! 入ったー! ホームラン! 赤月、ホームランです!!」

様子見で投げた連城君のスライダーをポニテちゃん操る赤ちゃんにライトスタンドに叩きこまれてしまった。

「ちょっと、あんたなにやってんのよ!」

すかさずジャンケンで同じチームになったマイちゃんにはたかれる。


悪い気はしない。

「それじゃあ、こっちはみのりさんに交代します!」

みのりんが俺の横で正座になってコントローラーを握る。

俺がチラッと見ると、彼女もチラッと俺の方を見る。

「山吹さん。打ちたい?」

「………コクン」

「じゃあ、真ん中にスローボールを投げるね」

「………コクン」

「ピッチャー投げました! 真ん中スローボール! 打ったー! センターへ大きな当たり! 入ったー! シェパード、ホームラーン!!」




「イエーイ!! ナイバッチン!!」

「いえーい」

ホームランを打ったみのりんとハイタッチをかわすと、左からギャル美のエルボーが飛んできた。

「なにやってんのよ、あんたは! 八百長してんじゃないわよ! 私に返しなさい」

コントローラーを奪い取られた。

俺の打たれた分を取り返そう必死にプレイするギャル美から、わりとゲーム上手なみのりんが7番鶴石8番浜出の代打川田の連続ヒットでチャンスメイク。

ノーアウト1、2塁になり、みのりんがスタートボタンを押す。

「ここで代打新井くん!」

9番碧山のところで、みのりんは俺を起用した。

すると、ギャル美は………。

「ふふ。どーせバントでしょ。一応バント◎の特殊能力あるし」


そう言ってギャル美は甘いボールを投げた。

それに対し、みのりんはニヤリと笑った。

「バントの構えから…………バスターだ! 打球はライトへ!!」

「なんですって!!」

ゲームの中の俺は、バントの構えからバットを構え直し、外角のボールに合わせてスイングした。

バントシフトを敷いた守備陣を嘲笑うかのような打球は、ライト線をふらふらっと上がった。

ギャル美は驚きながら、ライト桃白で打球を追ってダイビングキャッチを試みたがわずかに届かず。ライト線のちょうど真上に落ちるヒット。

そして、スピンがかかった打球は1塁後方のエキサイティングゾーンへと飛び込んだ。

「やった。 新井くんが初ヒット」

「みのりさんすごいですね! ナイスバッティング」

「新井くんのおかげ。新井くんには、流し打ちの特殊能力もあるから」

なるほどね。ギャル美よ。みのりんが1枚上手だったようだな。

「ううー。くやしいー!」




          

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