実況!4割打者の新井さん
食事制限の新井さん。
午後1時。20キロ走、筋力トレーニングとメニューをこなし、昼飯の時間となったので、練習場内の食堂に向かう。
室内のトレーニングシューズからスリッパに履き替える間に、食欲をそそる美味しそうな匂いが辺りに漂っていた。
その匂いに釣られながら、食堂に足を踏み入れると、カウンターの席で、恰幅のいいおばちゃんが忙しそうに料理を並べていた。
そのおばちゃんにお疲れ様ですと挨拶してみると………。
「ルーキーの新井君てのはあんたかい。早くここに座りな。冷めちゃうよ」
食堂のおばちゃんにバンバン背中を叩かれて、今まさに用意していたテーブルに座らせられる。
「球団にわざわざ頼まれて、私がじきじきに用意したスペシャルメニューだよ。たんとお食べ」
スペシャルメニュー?
すごいな、わざわざ俺のためにメシを用意してくれるなんて………。
えーっとメニューは………あれ?
なんかおかしいなあ。
美味しそうな匂いがあまりしてこないぞ。
「それは蒸し鶏のサラダだよ。ドレッシングはこの青じそドレで食べな」
蒸し鶏のサラダ? まあまあまあ、サラダは嫌いではないけど。
えっと、となりの小鉢は………。
「それは蒸し鶏とワカメの和え物だよ」
また蒸し鶏?なんかあっさりメニューばっかりだな。
そして、この大皿に乗った炒めものは………。
「それは、ササミと芽キャベツの塩こしょう炒めだよ。何か文句があるのかい?」
ギロッとおばちゃんに睨まれては、文句などありませんと下を向くしかなかった。
「あんたはこれから、2か月3か月で筋肉を大きくするんだから、炭水化物や油ものはなるべく控えるんだよ。早くそれを食べて午後の練習に行きな!」
まあ、いいや。おばちゃん、とりあえずご飯ちょーだいと言ったら、おたまで頭を叩かれた。
なにやら練習だけでなく、食堂のおばちゃんまで抱き込んで、俺の食事まで制限するつもりらしい。
「いいかい? 蒸した鶏肉は低カロリー、高タンパクで、今のあんたみたいにいじめ抜いている体も修復に1番なんだよ。結構高価で貴重な鶏肉なんだから、ありがたく食べな!」
ずいぶんおばちゃんは鶏肉に詳しいなあと思ったら、こう見えても栄養士の資格も持っているからねえと、豪快に笑った。
それなりに考えはあるんだなあと感じながら、俺は出されたヘルシー鶏肉メニューを全て平らげた。
そしてすぐにまたトレーニングだ。
「おらぁ! 新井がんばれ! あと10メートル!!」
1人寂しく練習場横の坂道でひたすらダッシュをして下半身を鍛える。
昼飯の鶏肉料理が込み上げてくるような感覚を必死に我慢して、20本30本と坂道ダッシュを繰り返す。
1時間みっちりと行うわけだが、手を抜いてやってやろうと企んでみるも、3本に1本くらいの割合で、代わる代わる知らないコーチが坂の頂上で見張っているので、なかなかサボることが出来ない。
結局、終わった頃には太ももに乳酸がパンパンに溜まってしまう状態で、俺はアスファルトの上でゼーハーゼーハーしながら倒れ込んだ。
「少し休んだら、ケータリングでなんかつまんでこまめにエネルギーを補給しておけよ。それが終わったら、またトレーニング室に行けよ、じゃあな」
最後に見張っていたコーチがそう言い残して、去っていく。
それからしばらくすると、また違う足音が聞こえてきて、俺のすぐ側で立ち止まった。
「なんでこんなところで寝てんの? チョー、ウケる」
あん? なんか聞いたことがあるしゃべり方だなぁ。
室内のトレーニングシューズからスリッパに履き替える間に、食欲をそそる美味しそうな匂いが辺りに漂っていた。
その匂いに釣られながら、食堂に足を踏み入れると、カウンターの席で、恰幅のいいおばちゃんが忙しそうに料理を並べていた。
そのおばちゃんにお疲れ様ですと挨拶してみると………。
「ルーキーの新井君てのはあんたかい。早くここに座りな。冷めちゃうよ」
食堂のおばちゃんにバンバン背中を叩かれて、今まさに用意していたテーブルに座らせられる。
「球団にわざわざ頼まれて、私がじきじきに用意したスペシャルメニューだよ。たんとお食べ」
スペシャルメニュー?
すごいな、わざわざ俺のためにメシを用意してくれるなんて………。
えーっとメニューは………あれ?
なんかおかしいなあ。
美味しそうな匂いがあまりしてこないぞ。
「それは蒸し鶏のサラダだよ。ドレッシングはこの青じそドレで食べな」
蒸し鶏のサラダ? まあまあまあ、サラダは嫌いではないけど。
えっと、となりの小鉢は………。
「それは蒸し鶏とワカメの和え物だよ」
また蒸し鶏?なんかあっさりメニューばっかりだな。
そして、この大皿に乗った炒めものは………。
「それは、ササミと芽キャベツの塩こしょう炒めだよ。何か文句があるのかい?」
ギロッとおばちゃんに睨まれては、文句などありませんと下を向くしかなかった。
「あんたはこれから、2か月3か月で筋肉を大きくするんだから、炭水化物や油ものはなるべく控えるんだよ。早くそれを食べて午後の練習に行きな!」
まあ、いいや。おばちゃん、とりあえずご飯ちょーだいと言ったら、おたまで頭を叩かれた。
なにやら練習だけでなく、食堂のおばちゃんまで抱き込んで、俺の食事まで制限するつもりらしい。
「いいかい? 蒸した鶏肉は低カロリー、高タンパクで、今のあんたみたいにいじめ抜いている体も修復に1番なんだよ。結構高価で貴重な鶏肉なんだから、ありがたく食べな!」
ずいぶんおばちゃんは鶏肉に詳しいなあと思ったら、こう見えても栄養士の資格も持っているからねえと、豪快に笑った。
それなりに考えはあるんだなあと感じながら、俺は出されたヘルシー鶏肉メニューを全て平らげた。
そしてすぐにまたトレーニングだ。
「おらぁ! 新井がんばれ! あと10メートル!!」
1人寂しく練習場横の坂道でひたすらダッシュをして下半身を鍛える。
昼飯の鶏肉料理が込み上げてくるような感覚を必死に我慢して、20本30本と坂道ダッシュを繰り返す。
1時間みっちりと行うわけだが、手を抜いてやってやろうと企んでみるも、3本に1本くらいの割合で、代わる代わる知らないコーチが坂の頂上で見張っているので、なかなかサボることが出来ない。
結局、終わった頃には太ももに乳酸がパンパンに溜まってしまう状態で、俺はアスファルトの上でゼーハーゼーハーしながら倒れ込んだ。
「少し休んだら、ケータリングでなんかつまんでこまめにエネルギーを補給しておけよ。それが終わったら、またトレーニング室に行けよ、じゃあな」
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それからしばらくすると、また違う足音が聞こえてきて、俺のすぐ側で立ち止まった。
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