恋を知らない小鳥~幼馴染の愛に包まれて~

安里紬@書籍発売中

エピローグ


「詩陽」

伶弥が両手を広げ、熱い視線を向けてくる。

詩陽は恥ずかしくて、少し見ただけで、舌を向いてしまった。

素直に甘えるの、やはり簡単ではない。

だが、ゆっくりと歩いて、その腕の中に納まった。

伶弥のグレイのパジャマは肌触りが良くて、気持ちがいい。

その向こうにある硬い胸板に温もりを感じて、詩陽はぎゅっと抱き着く。

伶弥に促され、二人は伶弥のベッドに向かい合って正座をした。

詩陽はなんだか落ち着かなくて、おしりを動かしてみる。

それでも落ち着かなかったため、気になっていたことを聞くことにした。

「結局、素の伶弥は男言葉なの? オネエ言葉なの?」

その質問に、伶弥は苦笑する。

「自分でも、なんだかわからなくなってきたわ。詩陽はどっちが好き?」

詩陽は腕を組んで、考えてみる。だけど、やはり結論は以前と変わらなかった。

「どっちも伶弥だから、私はどっちも好き」

「詩陽!」

叫びながら、勢いよく大きな体が突進してきた。

そのまま体当たりされて、詩陽は仰向けに転がり、伶弥はその体に覆いかぶさった。

「詩陽は攻められるのが好きだから、抱くときはこっちだな」

耳元で囁かれ、どくんと心臓が飛び跳ねる。

ふるふると首を振ってみるが、見下ろしている伶弥はにやりと笑い、頬にキスを落とした。

「さあ、これまでの分、たっぷり愛してやるから、覚悟しろ。もう無理って言っても、やめてやれないからな」

いじわるを言われているのに、詩陽の体はそんな伶弥を求めるかのように、熱くなっていった。

それから、二人の濃厚で熱い時間が始まった。




「詩陽、大丈夫?」

息も絶え絶えの詩陽を覗き込み、伶弥は心配そうに、詩陽の前髪を指で掻き分けた。

汗で張り付いている髪は少しだけ気持ち悪い。

だが、体に感じる倦怠感は心も体も満たされていることを実感できて、幸せなものだ。

「だ、大丈夫」

「こんな時に言うことじゃないかもしれないけど、どうしても言いたいから、聞いてくれる?」

「うん」

伶弥は詩陽の上に覆いかぶさり、真っ直ぐ見つめる。

詩陽も伶弥の言いたいことがわからないながらも、まっすぐ見返した。

「物心のついた頃から、私たちは一緒にいたね」

「そうだね」

「大きくなっても、大人になっても、私たちは一緒にいる」

「うん」

恋人になったのは、今日だけど、二人の人生には常にお互いがいた。

「これからも、ずっと一緒に生きていきたい。詩陽、結婚しよう」

詩陽は途中から予想していた言葉であったが、聞いた瞬間、涙が溢れた。

「私に、詩陽を守らせて。おばさんになっても、おばあちゃんになっても、ずっと二人で笑い合っていこう」

「……うん、よろしくお願いします」

詩陽の返事は、声が掠れてしまって、最後まで聞き取れなかったかもしれない。

それでも、伶弥は嬉しそうに微笑み、額に唇を押し当てる。

「ありがとう」

伶弥の声も震えていることに気付き、詩陽は重たい腕を伶弥の体に回して、引き寄せた。

「こちらこそ、ありがとうだよ。二人で、幸せになろうね」

「ええ。詩陽、愛してるわ」







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