転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜

ドラ猫

第五十話 改煉死す

ーーー力を与えてやろうーーー

ん?なんだ?空耳か?

ーーー力を与えてやろうーーー

いや、空耳じゃないな。これは魂の声ってやつだな。

力をくれるのか?

ーーーああ。だが、お前は死ぬ。ーーー

は?俺も死ぬ?

ーーーこの力を使えば、今の
      お前じゃ耐えられないーーー

そうか。まあ、しょうがないか。それ以外、邪神を倒す方法がないのだろう。

叡智之王ラファエル。お前はどう思う?

【私は、、、、】

珍しいな。今まで、叡智之王ラファエルが口籠るなんてことなかったのに。

まあ、俺の中では決まっている。

俺はここで死ぬ。





そもそも、俺はこのためにこの世界に転生したのだろう。それならば、俺を転生させた奴が俺が邪神に勝つことのできる道を提示するはずだ。

俺が負けるなら、俺を呼ぶ必要がないからだ。

つまり、用意された勝つための道というのは、俺が死んで、邪神も倒すというものなのだ。

つまり、俺は死ぬために転生したのだ。

なんかややこしくなってるな笑。

【マスター、、、その通りです。神はここであなたが死ぬ代わりに莫大な力を手に入れ邪神を倒す。というシナリオを描き、あなたを転生させました。ちょうど、邪神復活のタイミングが、最終進化形態の最高レベルの時になるようにして。】

えー。まじかー。それで、俺はそのあとどうなるの?

【通常の輪廻に戻されます。つまり、あなたの人格も死ぬということです。】

なるほど。なるほど。なるほど、、、。

あーあ。死にたくねーなあ。恵に会いてーなあ。桜とクリスにもお別れ言えてないしな、、。

俺は自然と涙が出でくる。

「はあ。俺は死ぬのか。」

【私は!マスターに死んで欲しくありません、、。】

ああ。ありがとよ。でも、このままだと、どうせ俺は死ぬ。それも世界も滅びるという最悪の形でな。

おーい。、誰か知んねーけど、力貸してくれる奴!

ーーーなんだ?ーーー

俺は死んでやるぞ。

ーーーそうか。
   技名は自然と出てくる。
   俺の得意技だったものだ。ーーー

そうか。

そして、俺は桜を俺の異空間に入れる。
異空間は時間が流れているため、別れができるのだ。

〜異空間〜

「クリス、桜。今までありがとう。」

「「え!?」」

「どうゆうことですか?」

そりゃあ、いきなりこんなこと言われたら驚くよな。

「どうやら、邪神を殺すには俺が死ぬ必要があるらしいんだ。正確にいうと、邪神を殺せるほどの技を放つんだが、それに俺の体が耐えられないんだ。」

「そ、そんな!」

「ほ、他に方法はないんですか?」

【残念ながらありません。】

「ラファエルちゃん!」

「そ、そんな、、、。」

クリスが涙目になる。

「私にできることはもうないの?」

「ああ。そうだ。あとは、俺がやるしかないんだ。」

「そ、そうなんですか。」

そう言ったあと、桜は俯く。

そんな2人を俺だ抱きしめる。

「俺は2人と生活できた日々が何よりも楽しかった。これからは2人仲良く暮らしてくれ。できれば、俺のことも忘れないでほしい。」

「ひゃい!とうぜぇんですぅ!」

もう、クリスは半泣きだな。

桜は俯いたままだ。

「桜とクリスは異空間にいてくれ。俺が死ぬと同時に叡智之王ラファエルが外に出してくれる。」

「あ、あの!だいすきでしたぁ!」

クリスはもう泣いちゃってるな。ポロポロと涙を流しながら、顔がすごく赤くなっている。特に耳だな。

「ああ。俺も好きだよ。クリス。それに、桜も。2人とも、幸せになってくれ。じゃあな。」

そう言って、俺は異空間から出る。

結局、桜は俯いたままだった。まあ、、しょうがないか。急に俺が死ぬなんて言われても思考が追いつかないよな。

じゃあ、決着をつけるか。

時間遅延タイムディレイ

俺は再び遅延世界をつくりだす。そして、空間転移で邪神から少し離れたところに位置取る。

「君、今どうやって逃げたのかな?」

邪神が狂気になりながら俺へと近づいてくる。

さあ、力をくれよ。、、、ゼイル!!

ーーー!!!!ーーー

ーーー当然だーーー

龍星天雷神槍覇ドラグニル!!」

「な、!?」


その瞬間、邪神は消滅した。いや、空気や魔素すらもなくなり、無の空間を作り出した。幸いだったのは、斜め上に打ったことにより、地表への被害が少なかったことだ。もし、地面に打っていたら、この星は消滅していただろう。

それはともかく、邪神は消えた。この星は救われたのだ。1人の犠牲によって、、。

しかし、この話は今まで何千回と繰り返されてきた同じ歴史のこと。今回は一味違ったのだった。それはある出会いによって因果が巡ったおかげで、、。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品