転生して、小魚から龍になる〜人化して国王に〜
第四十六話 世界の終わり(マルク)
"ウィルフィードの奇跡"と呼ばれる、悪魔の襲来から半年ほどが過ぎた。
その間、騎士団の強化を図り、一層の訓練を行った。当然、私も自身の強化を行なった。
そもそも、この領で一番強いのは私なのだ。それなのに、あの時は何もできなかった。それが悔しくてたまらなかった。
悔しいのは騎士団の面々も同じだろう。あの出来事から目つきが変わり、一層の訓練に励むようになった。
そして、現在。またもや、我が領は危機に瀕していた、、、、。
それは当然だった。
私が通常の業務をこなしている時、騎士団員達が切磋琢磨に訓練を行っている時に、、、それは起きた。
突然、地面が揺れだしたのだ。さらに、どす黒い"何か"があたり一面に広がる。いや、これは書物で読んだことがある。
これは、、、、瘴気だ!!!
しかし、どこか瘴気にしては弱いと感じる。書物の中では、触れたら皮膚が黒くなるとされているが、実際はそんなことにはなっていない、、、。しかし、、、
まずい!薄まっているとはいえ、この瘴気を大量に浴びたら!
私は妊娠中の妻、セリナのことを案じた。セリナは今、私たちの次男を誕生されるのがあとわずかなんだから!
私はすぐにセリナの部屋に駆け込んだ。
「セリナ!」
ベットに寝転んだまま、すこし震えているセリナを見る。セリナの侍女はこの瘴気に気を失っているようだ。
「あ、あなた、、!」
弱々しい声で返事をするセリナを俺はそっと抱きしめる。
薄々感じてはいたが、ある程度のステータスがないと気絶してしまっているみたいだ。ということは、、騎士団や俺以外のこの領の人たちはもう、、、。
私は一瞬、絶望の顔を見せたが、セリナの前であることを思い出しすぐに笑顔になる。
「安心してくれ、セリナ。私が守る。」
「ええ。し、信じているわ、、、。」
そして、セリナは気を失った。
「セ、セリナ!大丈夫か?」
俺は首元に手をやり、心臓が動いているかどうかを確認する。
「い、生きてるか、、。良かった、、。」
しかし、、このままで危ないかもしれない。一応、瘴気はもうないとはいえ、体内で広がってしまうかもしれない。
しかし、あいにく、私は回復魔法を持っていない、、、。騎士団の中には使えるものもいるが、、。
そう考えていると、、、
「マルク様!!!悪魔が、悪魔が出現しました!!!」
な、なんだと、、!!このタイミングでか、、。
私はセリナの顔と、私を呼びにきた副騎士団長の顔を見比べる。
私はすでに泣きそうだった。回復魔法が使える者は悪魔との戦いに行ってしまったということだからだ。つまり、セリナを治すことはできない、、、。
「わかった。私も戦おうではないか。」
そう言った途端、顔から一滴の涙が落ちたが、すぐに戦いに行く戦士の顔になる。
「よ、よろしいのですか!!」
どうやら、副騎士団長も私の心中を察したようだ。
「ああ。悪魔を倒してこの街を救うまで、生きていてくれることを願うだけだ。」
私は今どんな顔をしているだろうか。
「その必要はございません。」
その瞬間、美しい声が聞こえた、、、。
「な、何者だ!?」
私の目の前には、天使のような格好をした美女が立っていた。
「き、貴様!?悪魔の仲間か!?こ、殺す!!」
副騎士団長が剣を握って駆け出してくる。しかし、私は、、、。
「待て!!!アルカ!!」
「え!?」
しかし、副団長アルカ、急には止まれない。剣先が謎の美女に当たりそうに、、、
んん??
そこには、剣先を2本の指で挟んだ謎の美女の姿があった。
「せっかく、そちらの方を回復させてあげようかと思いましたのに、、、そうきましたか。」
な、なんだと!?こいつ、、今なんて言った?セリナを回復させるだと!?
「か、回復魔法を使えるのか?」
私は恐る恐る聞いてみた。おそらく、こいつは私よりもはるかに強い。下手なことはできない。
「ええ。まあ。」
使えることがさも当然だとでもいうように、頷いて見せた。
「お願いだ!直してやってくれ!セリナにはお腹の中に子供がいるんだ!!」
俺は、土下座をする勢いで頼み込む。しかし、女の表情は一層暗くなる。
「ど、どうしたんだ!?」
耐えかねて、私は聞いてみる。
「そちらの女性は辛うじて生きていますが、お子様はすでに亡くなっています。」
「な、、なんだと!?そ、それは本当なのか!?」
「ええ。おそらくこのままではそちらの女性も亡くなってしまうでしょう。」
「そ、そうか、、、。」
一瞬、ものすごい悲しみが襲ってきたが、なんとか冷静になる。
「わかった。妻だけでも助けてやってくれないか?お願いだ!頼む!」
私は今度は本当に土下座をした。
「お、おやめください。マルク様!」
それをアルカが止めに入る。おそらく、領主としての体裁を気にしたのだろう。しかし、今はそんなことどうでもいい。愛するものを守れるかどうかの問題だ。
「わかりました。では、パーフェクトヒール!!」
その技名を聞いた途端、私とアルカの目は大きく見開かれた。
「ぱ、パーフェクトヒールだと!?」
パーフェクトヒールとは回復魔法のさらに上の大回復魔法のレベル10で使える魔法ではないか!この女ここまで強いのか。そして、ここまでしないとセリナは死んでいたのか!
私は二重の衝撃を受けた。
パーフェクトヒールを受けたセリナは、妊娠により膨れていたお腹が通常に戻ったようだ。つまり、私たちの子供は消えてしまったということか、、、。
「う、うう。」
「セリナ様!!」
「あら、アルカじゃない。どうしたの?」
ああ、懐かしい声が聞こえる。ほんの数分前まで聴いていた声なのに、、、。
「あら、マルク。泣いているの?」
「ああ。本当によかった。それと、セリナ。大事な話だ。お腹を見てくれ。」
セリナは自分のお腹に視線を向ける。すると、だんだん暗い表情になる。
「思い出したわ。私は気絶をして、、。」
「ああ。あの瘴気によって、私たちの子は死んでしまった、、。」
「そう、、。」
セリナはすでに目の周りには溢れんばかりの涙を浮かべている。よくそれで溢れないなというほどに。
「セリナ。こう行く時は泣いていいんだ。」
「う、、うう。」
 セリナの我慢していたものが崩れ、涙を流した。
まるでダムが決壊したように、、、
その間、騎士団の強化を図り、一層の訓練を行った。当然、私も自身の強化を行なった。
そもそも、この領で一番強いのは私なのだ。それなのに、あの時は何もできなかった。それが悔しくてたまらなかった。
悔しいのは騎士団の面々も同じだろう。あの出来事から目つきが変わり、一層の訓練に励むようになった。
そして、現在。またもや、我が領は危機に瀕していた、、、、。
それは当然だった。
私が通常の業務をこなしている時、騎士団員達が切磋琢磨に訓練を行っている時に、、、それは起きた。
突然、地面が揺れだしたのだ。さらに、どす黒い"何か"があたり一面に広がる。いや、これは書物で読んだことがある。
これは、、、、瘴気だ!!!
しかし、どこか瘴気にしては弱いと感じる。書物の中では、触れたら皮膚が黒くなるとされているが、実際はそんなことにはなっていない、、、。しかし、、、
まずい!薄まっているとはいえ、この瘴気を大量に浴びたら!
私は妊娠中の妻、セリナのことを案じた。セリナは今、私たちの次男を誕生されるのがあとわずかなんだから!
私はすぐにセリナの部屋に駆け込んだ。
「セリナ!」
ベットに寝転んだまま、すこし震えているセリナを見る。セリナの侍女はこの瘴気に気を失っているようだ。
「あ、あなた、、!」
弱々しい声で返事をするセリナを俺はそっと抱きしめる。
薄々感じてはいたが、ある程度のステータスがないと気絶してしまっているみたいだ。ということは、、騎士団や俺以外のこの領の人たちはもう、、、。
私は一瞬、絶望の顔を見せたが、セリナの前であることを思い出しすぐに笑顔になる。
「安心してくれ、セリナ。私が守る。」
「ええ。し、信じているわ、、、。」
そして、セリナは気を失った。
「セ、セリナ!大丈夫か?」
俺は首元に手をやり、心臓が動いているかどうかを確認する。
「い、生きてるか、、。良かった、、。」
しかし、、このままで危ないかもしれない。一応、瘴気はもうないとはいえ、体内で広がってしまうかもしれない。
しかし、あいにく、私は回復魔法を持っていない、、、。騎士団の中には使えるものもいるが、、。
そう考えていると、、、
「マルク様!!!悪魔が、悪魔が出現しました!!!」
な、なんだと、、!!このタイミングでか、、。
私はセリナの顔と、私を呼びにきた副騎士団長の顔を見比べる。
私はすでに泣きそうだった。回復魔法が使える者は悪魔との戦いに行ってしまったということだからだ。つまり、セリナを治すことはできない、、、。
「わかった。私も戦おうではないか。」
そう言った途端、顔から一滴の涙が落ちたが、すぐに戦いに行く戦士の顔になる。
「よ、よろしいのですか!!」
どうやら、副騎士団長も私の心中を察したようだ。
「ああ。悪魔を倒してこの街を救うまで、生きていてくれることを願うだけだ。」
私は今どんな顔をしているだろうか。
「その必要はございません。」
その瞬間、美しい声が聞こえた、、、。
「な、何者だ!?」
私の目の前には、天使のような格好をした美女が立っていた。
「き、貴様!?悪魔の仲間か!?こ、殺す!!」
副騎士団長が剣を握って駆け出してくる。しかし、私は、、、。
「待て!!!アルカ!!」
「え!?」
しかし、副団長アルカ、急には止まれない。剣先が謎の美女に当たりそうに、、、
んん??
そこには、剣先を2本の指で挟んだ謎の美女の姿があった。
「せっかく、そちらの方を回復させてあげようかと思いましたのに、、、そうきましたか。」
な、なんだと!?こいつ、、今なんて言った?セリナを回復させるだと!?
「か、回復魔法を使えるのか?」
私は恐る恐る聞いてみた。おそらく、こいつは私よりもはるかに強い。下手なことはできない。
「ええ。まあ。」
使えることがさも当然だとでもいうように、頷いて見せた。
「お願いだ!直してやってくれ!セリナにはお腹の中に子供がいるんだ!!」
俺は、土下座をする勢いで頼み込む。しかし、女の表情は一層暗くなる。
「ど、どうしたんだ!?」
耐えかねて、私は聞いてみる。
「そちらの女性は辛うじて生きていますが、お子様はすでに亡くなっています。」
「な、、なんだと!?そ、それは本当なのか!?」
「ええ。おそらくこのままではそちらの女性も亡くなってしまうでしょう。」
「そ、そうか、、、。」
一瞬、ものすごい悲しみが襲ってきたが、なんとか冷静になる。
「わかった。妻だけでも助けてやってくれないか?お願いだ!頼む!」
私は今度は本当に土下座をした。
「お、おやめください。マルク様!」
それをアルカが止めに入る。おそらく、領主としての体裁を気にしたのだろう。しかし、今はそんなことどうでもいい。愛するものを守れるかどうかの問題だ。
「わかりました。では、パーフェクトヒール!!」
その技名を聞いた途端、私とアルカの目は大きく見開かれた。
「ぱ、パーフェクトヒールだと!?」
パーフェクトヒールとは回復魔法のさらに上の大回復魔法のレベル10で使える魔法ではないか!この女ここまで強いのか。そして、ここまでしないとセリナは死んでいたのか!
私は二重の衝撃を受けた。
パーフェクトヒールを受けたセリナは、妊娠により膨れていたお腹が通常に戻ったようだ。つまり、私たちの子供は消えてしまったということか、、、。
「う、うう。」
「セリナ様!!」
「あら、アルカじゃない。どうしたの?」
ああ、懐かしい声が聞こえる。ほんの数分前まで聴いていた声なのに、、、。
「あら、マルク。泣いているの?」
「ああ。本当によかった。それと、セリナ。大事な話だ。お腹を見てくれ。」
セリナは自分のお腹に視線を向ける。すると、だんだん暗い表情になる。
「思い出したわ。私は気絶をして、、。」
「ああ。あの瘴気によって、私たちの子は死んでしまった、、。」
「そう、、。」
セリナはすでに目の周りには溢れんばかりの涙を浮かべている。よくそれで溢れないなというほどに。
「セリナ。こう行く時は泣いていいんだ。」
「う、、うう。」
 セリナの我慢していたものが崩れ、涙を流した。
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