好き同士ってめんどくさい
第59話
俺がそんな事をしている間に、ユートはレイミーとルマルドを追い詰めていた。
「もう……逃げられないよ……」
「うっ……やっぱり強いわね……ユート」
「もうやめにしよう……」
「………」
ユートに勝てないことも、これ以上逃げる事が出来ない事もレイミーも分かっているのだろう。
しかし、彼女の中でも葛藤があるのだろう。
地位も名誉もすべてを捨ててやってきたことを簡単には捨てられない。
「レイミー……君ならやり直せる……」
ユートはレイミーに手を差し出し、優しくそう言う。 レイミーもその手を取ろうとしていた、しかし……。
「良いのですか? レイミー様?」
「ルマルド……」
「ここまでやってきて、あと一歩なのですよ……」
「で、でも……」
「ルマルド! 君は何を!」
「レイミー様……勝てば良いのです、貴方はその力を持っています……ここさえ乗り切れば、すべて貴方が正しくなります」
ルマルドは薄らとした笑みを浮かべながらレイミーに囁きかける。
「何の為に貴方はそこの彼女を攫ったのですか? 彼女から奪った力を使えば……貴方は彼よりも強くなれる」
「……強く…」
「そうです」
「レイミー惑わされるな! ルマルド! 君は一体!!」
ユートもルマルドに負けずにレイミーを説得する。
「レイミー! もう君が罪を背負う必要はない!」
「ユート……私……」
「っち……やはり勇者の言葉は強力だな……ならば……フン!」
「うっ!!」
「レイミー!!」
ユートの手を取ろうとしたレイミーの胸をルマルドはナイフで貫く。
「あ……る、ルマルド? 貴方……は……」
「レイミー様、貴方の役目は終わりました……後はあの世で事の行く末を見届けてください」
「そん……な……」
レイミーはそのまま地面に倒れ込む。
ユートは慌てて駆け寄り、レイミーを抱きかかえる。
「レイミー!! 大丈夫か!」
「ユート……私は……」
「喋るな! 今直ぐ回復魔法を!」
「果たして聞きますかね」
「何!」
ルマルドは笑みを浮かべながら、手に持ったナイフをユートに向ける。
「このナイフには魔法を掛けてありましてねぇ……治癒魔法の類いが効かないのですよ」
「なんだと!?」
ユートはルマルドを睨み付ける。
ルマルドはそれを言い終えると、背後に魔方陣を出現させる。
「それでは私はこれで……必要な物はいただきましたので」
「貴様ぁぁ!!」
「レイミー様を……許さん!!」
逃げようとするルマルドをデルサとグレブは止めようとする。
しかし、そんな二人をユートは制する。
「ユート様! なぜ止めるのです!」
「君たちはレイミーを頼む……後は……」
ユートはそう言ってルマルドの前に出ると、剣に手を掛けながら続ける。
そして……。
「僕がやる」
ユートがそう言い終えた瞬間、ルマルドの後ろの魔方陣を衝撃波で吹き飛ばす。
目にも見えない早業でユートは剣を抜き、剣撃を飛ばしたのだ。
「なっ……」
剣を抜いたユートの目はいつもの目では無かった。
明るく陽気な表情では無く、感情を押し殺したような暗い表情だった。
「ま、まずいですねぇ……まさかこれほどとは……」
「………」
ユートはルマルドの元に向かってゆっくり歩き始める。
一歩、また一歩とルマルドに近づき剣を振るう。
「ぐあっ!! くっ! ここまでの事が水の泡になる!! かくなる上は!」
ルマルドはそう言うと、懐から野球ボールくらいの光る玉のような物を取り出す。
「フフ……これが何だか、貴方には分かりますか?」
「……関係ないよ……僕は君を……許さない」
「そうですか……なら身を以て味わってください!」
ルマルドはそう言って、光る玉を体に押し当てる。
「な、なんだ……」
「な、何よ……何が起こってるのよ!」
俺と彩は目の前で怒っている不可解な出来事にお揃いていた。
ルマルドが玉を体に押し当てた瞬間、ルマルドの腕は禍々しい姿に変わっていった。
筋肉が増量され、色は黒々とし、所々から角のような物が生え始めた。
「もう……逃げられないよ……」
「うっ……やっぱり強いわね……ユート」
「もうやめにしよう……」
「………」
ユートに勝てないことも、これ以上逃げる事が出来ない事もレイミーも分かっているのだろう。
しかし、彼女の中でも葛藤があるのだろう。
地位も名誉もすべてを捨ててやってきたことを簡単には捨てられない。
「レイミー……君ならやり直せる……」
ユートはレイミーに手を差し出し、優しくそう言う。 レイミーもその手を取ろうとしていた、しかし……。
「良いのですか? レイミー様?」
「ルマルド……」
「ここまでやってきて、あと一歩なのですよ……」
「で、でも……」
「ルマルド! 君は何を!」
「レイミー様……勝てば良いのです、貴方はその力を持っています……ここさえ乗り切れば、すべて貴方が正しくなります」
ルマルドは薄らとした笑みを浮かべながらレイミーに囁きかける。
「何の為に貴方はそこの彼女を攫ったのですか? 彼女から奪った力を使えば……貴方は彼よりも強くなれる」
「……強く…」
「そうです」
「レイミー惑わされるな! ルマルド! 君は一体!!」
ユートもルマルドに負けずにレイミーを説得する。
「レイミー! もう君が罪を背負う必要はない!」
「ユート……私……」
「っち……やはり勇者の言葉は強力だな……ならば……フン!」
「うっ!!」
「レイミー!!」
ユートの手を取ろうとしたレイミーの胸をルマルドはナイフで貫く。
「あ……る、ルマルド? 貴方……は……」
「レイミー様、貴方の役目は終わりました……後はあの世で事の行く末を見届けてください」
「そん……な……」
レイミーはそのまま地面に倒れ込む。
ユートは慌てて駆け寄り、レイミーを抱きかかえる。
「レイミー!! 大丈夫か!」
「ユート……私は……」
「喋るな! 今直ぐ回復魔法を!」
「果たして聞きますかね」
「何!」
ルマルドは笑みを浮かべながら、手に持ったナイフをユートに向ける。
「このナイフには魔法を掛けてありましてねぇ……治癒魔法の類いが効かないのですよ」
「なんだと!?」
ユートはルマルドを睨み付ける。
ルマルドはそれを言い終えると、背後に魔方陣を出現させる。
「それでは私はこれで……必要な物はいただきましたので」
「貴様ぁぁ!!」
「レイミー様を……許さん!!」
逃げようとするルマルドをデルサとグレブは止めようとする。
しかし、そんな二人をユートは制する。
「ユート様! なぜ止めるのです!」
「君たちはレイミーを頼む……後は……」
ユートはそう言ってルマルドの前に出ると、剣に手を掛けながら続ける。
そして……。
「僕がやる」
ユートがそう言い終えた瞬間、ルマルドの後ろの魔方陣を衝撃波で吹き飛ばす。
目にも見えない早業でユートは剣を抜き、剣撃を飛ばしたのだ。
「なっ……」
剣を抜いたユートの目はいつもの目では無かった。
明るく陽気な表情では無く、感情を押し殺したような暗い表情だった。
「ま、まずいですねぇ……まさかこれほどとは……」
「………」
ユートはルマルドの元に向かってゆっくり歩き始める。
一歩、また一歩とルマルドに近づき剣を振るう。
「ぐあっ!! くっ! ここまでの事が水の泡になる!! かくなる上は!」
ルマルドはそう言うと、懐から野球ボールくらいの光る玉のような物を取り出す。
「フフ……これが何だか、貴方には分かりますか?」
「……関係ないよ……僕は君を……許さない」
「そうですか……なら身を以て味わってください!」
ルマルドはそう言って、光る玉を体に押し当てる。
「な、なんだ……」
「な、何よ……何が起こってるのよ!」
俺と彩は目の前で怒っている不可解な出来事にお揃いていた。
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