今日からフリーになりまして

Joker0808

第19話

「いや、だって清瀬さんって絶対に男とは仲良くならないって有名だぜ?」

「はぁ? どう言う事だよ?」

「俺が聞いた話だと、女子としか遊びに行ったりとかしないらしいぞ? それどころから、あんまり男子と会話もしないらしい」

「そうなのか? そんな風には見えないけど……」

清瀬さんは最初に会ったときから俺に話し掛けてきたし、教室まで俺を迎えにくるから、クラスでも男子と仲良くやってるんだろうと思っていたが……。

「そうなんのか……」

「で? どうやって仲良くなったんだ?」

「え? いや、清瀬さんから話し掛けてきたけど……」

「はぁ? 嘘つくなよ」

「本当だって、図書室で清瀬さんが俺に話し掛けてきたんだよ」

「はいはい、もうそう言う嘘は良いから、どんな催眠術を使ったのか教えろ」

「は?」

「もしくは、どうやって洗脳したのか教えろ」

「アホか」

もうダメだこいつらは……早くなんとかしなきゃ……。
しかし、清瀬さんの意外な話しを聞いてしまった。
そう言えば……俺は清瀬さんの事をまだ全然知らないなぁ……。
自分の事を好いてくれているからこそだろうか?
俺は清瀬さんの事をもっと知りたいと思った。





放課後。

「……ん」

「おう……帰るか……」

俺が帰る準備を終えて自分の机で待っていると、藍原が鞄を持って俺の方にやってきた。 俺と藍原は並んで歩く。
お互いに会話は無く、気まずい空気が流れる。
ヤバいなぁ……俺こう言うの苦手なんだよなぁ……。
何か話さないとと思っていると、俺が口を開く前に藍原が口を開いた。

「昨日は……本当にありがとう……アンタが居なかったら、私どうなってたかわからない……」

「え? あぁ、いや気にすんなよ。お前も一応女の子だろ?」

「一応って何よ! でも……アンタが走ってきてくれて……本当に安心したわ」

「な、なんだよ……今日はやけに素直だな……」

「私をなんだと思ってるのよ、私は毎日素直よ……」

「そうか? 毎日怒ってるイメージしかねぇ……」

「そんな事無いわよ」

俺は毎日怒られてたような気がするが……気のせいだろうか?

「それより……アンタ良いの? 私と一緒に帰ってて」

「お前が頼んできたんだろ?」

「そうだけど……清瀬さん、怒ってるんじゃない? 他の女と帰るって聞いて」

「別に怒ってねぇよ……それに状況も状況だ。お前が誰かと一緒に帰りたいって気持ちもわかるよ」

「そ、そう? あ、ありがと……」

「気にすんな、怖かったろ?」

「こ、怖くなんて無かったわよ!」

「強がるなよ、泣いてたくせに」

「うるさい!」

「イテっ! すぐに手を出すなよ……」

俺は藍原に足を蹴られた。
こいつはすぐに手を出す……変わってねぇなぁ……。

「なぁ……」

「なによ?」

「なんで俺たちって……なんで仲悪くなったんだけ?」

「……知らないわよ……お互いに合わなかったからでしょ?」

「そうか……なんで合わなかったんだろうな……」

「……もう……終わったことでしょ?」

「そうだよな……悪い……変事を聞いた」

「良いわよ、気にしてないわ」

変な事聞いちまったな……。
そんな事、俺だってわからないのに、藍原がわかるはずないか……。
そんな事を考えていると、もう藍原の住んでいるマンションに到着していた。

「ん……ここで良いか?」

「うん……ありがと」

「じゃあ、俺はもう帰るな、機種変行かないとだし……」

俺はそう言い残して、藍原の前から立ち去ろうとした。
しかし……。

「ん?」

「あ……いや……」

藍原が俺の制服の袖を急に掴んできた。





放課後、私は藍原由羽は元彼の湊斗と一緒に下校していた。
会話がまったく無かったので、私はとりあえず改めて昨日のお礼を湊斗に言うことにした。

「昨日は……本当にありがとう……アンタが居なかったら、私どうなってたかわからない……」

「え? あぁ、いや気にすんなよ。お前も一応女の子だろ?」

「一応って何よ! でも……アンタが走ってきてくれて……本当に安心したわ」

「な、なんだよ……今日はやけに素直だな……」

いつも素直よ!

「私をなんだと思ってるのよ、私は毎日素直よ……」

「そうか? 毎日怒ってるイメージしかねぇ……」

「そんな事無いわよ」

私にどんなイメージを抱いているのよこいつは!
まぁでも……確かに付き合ってた頃は私……怒ってばっかりだったかも……。
だって……湊斗が悪いんじゃない……時間に遅れたり、他の女の子と仲良くしたり……。 てか、湊斗は清瀬さんと一緒に帰らなくてよかったのかな?
私なんかより、今良い感じの清瀬さんとの関係の方が大事なんじゃ……。

「それより……アンタ良いの? 私と一緒に帰ってて」

「お前が頼んできたんだろ?」

「そうだけど……清瀬さん、怒ってるんじゃない? 他の女と帰るって聞いて」

私だったら多分怒ってる。
てか、なんかそんな事前に無かったかしら?

「別に怒ってねぇよ……それに状況も状況だ。お前が誰かと一緒に帰りたいって気持ちもわかるよ」

「そ、そう? あ、ありがと……」

何よ……なんでそんなに優しいのよ……。
もう私の事なんて……なんとも思って無いくせに……。

「気にすんな、怖かったろ?」

「こ、怖くなんて無かったわよ!」

「強がるなよ、泣いてたくせに」

「うるさい!」

「イテっ! すぐに手を出すなよ……」

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